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2015/09/19

歴史を歩く136

18 宗教改革

1 ルターの宗教改革①

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マルティン・ルター(1483年~1546年)

 1517年にドイツでおこった宗教改革は、単に宗教面のみならず、政治、経済、社会のあらゆる面に大きな影響を及ぼしました。

 宗教改革がおこった背景として、
(1)教会大分裂(シスマ)等の出来事によって教皇や教会の権威は更に衰え、教会の世俗化や腐敗が進んだ為に教会を批判し、教会の革新を主張するウィクリフやフスによって先駆的な運動が行われたものの、カトリック教会内部での革新が進まなかったこと。

(2)エラスムスの『愚神礼賛』やドイツのロイヒリンやメランヒトン等により聖書の文献学的研究が進んだこと等、ルネサンスのヒューマニストの影響が広まるなかで、人々が教会の世俗化や腐敗に疑問を抱くようになったこと。

(3)国王の中央集権化が進むなかで、国王は教会の束縛を離れようとする傾向を強めていたこと。
等を掲げることができます。

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教皇レオ10世

 ルネサンスの保護者として知られるメディチ家出身の教皇レオ10世は、サン・ピエトロ大聖堂の改築資金を調達する為に、当時のマインツ大司教にドイツでの贖宥状(免罪符)販売を許可しました。

 カトリック教会では、罪を告白し、悔い改めた者に、祈りや巡礼、金銭の喜捨等の償いを課し、罪の償いを金銭の喜捨で免除できるとしたのが贖宥状なのですが、中世末には贖宥状は教皇庁の財源をまかなう手段として乱用され、贖宥状を購入すれば罪そのものが許されるという考え方が広まっていました。

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贖宥状

 レオ10世が、ドイツでの贖宥状の販売を許可したのは、当時のドイツが「ローマの牝牛」と呼ばれていた様に、ドイツは分裂を続け、皇帝権力が弱く、教皇に対する抵抗がほとんど見られなかったからであり、しかも、この時のドイツでの贖宥状販売には、ドイツに於ける教皇庁財政の独占的管理者でもあったアウグスブルクの大富豪フッガー家が協力していました。

 マインツ大司教は、贖宥状販売をドミニコ派修道会の説教僧であるテッツェルに委ね、テッツェルは、教皇の紋章をつけた十字架を先頭に行列をつくって町をねり歩き、「お金が賽銭箱のなかでチャリンと音を立てさえすれば、魂は煉獄の焔の中から飛び出してくる」等と云う露骨で巧みな説教により、身分や収入に応じて寄進の額を定めて贖宥状を売りまくり、人々からお金を集めて行きました。テッツェルの一行はザクセン選帝侯領内のヴィッテンベルクの近くでも贖宥状を売りまくったのです。

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テッツェルによる贖宥状の販売

 この時、修道士でヴィッテンベルク大学の神学教授でもあったマルティン・ルター(1483年~1546年)は、1517年10月31日に、ヴィッテンベルク城教会の扉に、贖宥状の悪弊を攻撃する「九十五カ条の論題」を発表し、この出来事が宗教改革の発端と成りました。

 ルターは、中部ドイツのチューリンゲンの鉱夫の家に生まれ、エルフルト大学で学び、友人の死や落雷体験をきっかけに修道院に入り(1505年)、後にヴィッテンベルク大学の神学教授となり(1512年)、1517年に「九十五カ条の論題」を発表して、宗教改革の口火をきったのでした。

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「九十五カ条の論題」を掲示するルター

 ルターは「九十五カ条の論題」の中で、
『第一、我々の主にして師たるイエス・キリストが、「汝ら悔い改めよ」と云う時、信徒の全生活が、改悛であらんことを望んでいるのである。
 第二十七、彼等は人に説教して、金銭が箱に投げ入れられて、音がするならば、霊魂は(煉獄から)飛び逃げる、と云っている。
 第二十八、箱の中で金銭が音を立てる時、財貨と貪欲とがいやますことは、確かではあれ、教会の(赦宥の)援けは、ただ神の意思のうちにのみよっている。
 第八十二.もし、教皇が教会をたてるというような瑣末な理由で、いともけがらわしい金銭をあつめるため、無数の霊魂をすくうのならば、なぜ、あらゆることのうち、もっとも正しい目的てある、いとも聖なる慈愛と霊魂の大なる必要のために、煉獄から(霊魂)をすくいださないのであろうか。』(山川出版社、世界史史料・名言集より)
と述べ、魂の救済は善行や儀式によるのでなく、悔い改めと福音への信仰によってのみ人は救われるとして、贖宥状の販売を激しく攻撃しました。

 「九十五カ条の論題」は、神学上の論争を求めたものであり、教皇の権威を否定するものでは在りませんでしたが、たちまちドイツ中に広まり、大反響を呼び起こしたのです。

 教皇は使節を派遣し、ルターに説の取り消しを求めますが、ルターは之に応じず(1518年)、神学者エックとのライプチヒの公開論争では教皇権を否定し(1519年)、『キリスト者の自由』(1520年刊)を著し、「人は信仰によってのみ義とされる」と云う信仰義認説を主張します。

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神聖ローマ皇帝カール5世

 教皇は、ルターが60日以内に自説を撤回しない場合は破門に処すとの教書を発しますが、ルターは破門状を公衆の面前で焼却し(1520年)、破門され(1521年)、教皇は、神聖ローマ皇帝カール5世(在位1519年~56年)に、ルター破門の実行を要求し、イタリア戦争を有利に展開するために教皇との緊密な関係を必要としていたカール5世は、ルターを弾圧するためにヴォルムスの帝国議会への出頭を命じますが、ルターの友人達は、ルターに出頭は身の危険が多大に在るので中止するように勧告しますが、ルターは「ヴォルムスの屋根の瓦程多くの悪魔が居ても、私は行くつもりだ」と答えています。

 カール5世から自説の撤回を求められたのに対し、ルターは聖書に明らかな証拠がある以外は取り消さないと拒否し、「我ここに立つ、神我を助け給え」という言葉で答弁を終わったと云われています。
カール5世はルターを法律の保護外において帝国追放に処し、ルター派を禁止して彼の著書の購買や頒布を禁じ(1521年)、その後、ルターは突然人々の前から姿を消してしまいますが、その時ルターはザクセン選帝侯の居城ヴァルトブルク城に匿われており、そこで彼は『新約聖書』のドイツ語訳を完成し、一般の人々にも広く聖書が読める道を開いたのでした。

ジョークは如何?

NHK「音楽の広場」で芥川が言った

愛を語るならフランス語。
文学を語るなら英語。
宗教を語るならドイツ語。
農業を語るならロシア語。


続く・・・

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コメント

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秋葉奈津子様 おはようございます。

先ほどご挨拶のメール送ったのですが反映されていないようです。

今日は仕事で夜は訪問できないようです。
朝再度お送りさせていただきました。

Re: 秋葉奈津子様 おはようございます。

おはようございます。

9月20日、日曜日のご挨拶です。

今日からシルバーウィークですね。
私は、23日の水曜日迄売出し応援で、仕事ですが、その後24日木曜日から連休になります。
人出の少ないときのお休みを、嬉しく感じています。

良いお天気に恵まれ、朝晩の冷え込みと反対に日中は、暖かい毎日が続きそうです。

何時の間にか、さそり座は西に傾き、殆どその姿を見ることが出来なくなりました。
いて座も最後の姿を見せてくれています。
その中で三日月が黄色い光を放ち、星座の世界も季節が移っています。

秋葉奈津子様 こんばんは。

いつもありがとうございます。

夕方からは曇り空になり雨かなと思わせる雲行きでした。
連休中は雨は降らないと言っていましたので、
大丈夫だと思いますが。

気温は朝晩寒いくらいですが、日中は暑いくらいですね。
こちらも今三日月がきれいに見えます。
もうすぐ秋の夜長になりますね。

葉山左京様、おはようございます。

おはようございます。

9月23日、火曜日のご挨拶です。

好天が続いています。
他県ナンバーの車も多く見かけますが、東北方面のナンバーも数台見かけました。
流石に距離感を感じます。

9月も下旬になると、先月のお盆期間とは違い、陽射しに中でも暑さは、それ程感じません。
木陰に入ると涼しささえ覚えます。
風の向きも北からの風に変わっています。

シルバーウィークも終盤、私の店舗応援も今日、明日の2日になりました。

秋葉奈津子様 おはようございます。

店舗応援大変ですね。
お疲れ様です!

今日は抜けるような青空が広がっています。
秋晴れの天気は心を外に誘いかけるようです。
家の中にいるのがもったいない気がします。

まだ紅葉には早いですが、
秋を見つけに出かけようかと思います。

葉山左京様、おはようございます。

おはようございます。

9月23日、水曜日のご挨拶です。

シルバーウィークの天候は、無事に今日の日中迄は雨の心配は無さそうです。
私の売り出し応援も今日が最終日。
4日間が、本当に早かったですね。

市内の高速道路のインターチェンジやランプには、他県ナンバーの車が大変多かったです。
昨日は、帰省のピークだった様です。

私は、明日から3日間、遅めの連休になります。
お天気が少々心配ですが、衣類、暖房器具の準備だけはしておこうと思っています。

秋葉奈津子様 こんばんは。

シルバーウイークも終わりましたね。
振り返ればあっと言う間の出来事でした。
連休中は秋葉さんは大変でしたね。
又明日から天気が崩れそうです。

今日は金木犀の香りを嗅ぎました。
ほんのわずかな開花ですが、
香りが強く周囲に漂っています。
秋ですね!

葉山左京様、おはようございます。

おはようございます。

9月24日、木曜日のご挨拶です。

シルバーウィークも終わり、今日から普段の生活に戻る皆さんも多いかと思います。
私は、今日から土曜日迄3連休になります。
(日曜日は3連休中の業務消化で出勤予定)

今回の連休は曜日の並びも、天候も良く、人の動きも通常の連休に比べても良かったように思います。

北九州は昨日の夕方から雨に成りました。
今も弱い雨が窓ガラスを濡らし、時折雫が跡を引いて流れています。

今日は、1日ゆっくり過ごしたいと思っています。