アンデスの昔話(Ⅵ)
文字を持たない文明

その昔、インカの人達は文字を持っていませんでした。
では、どうやってコミュニケーションを取っていたのでしょうか?
チャスキと呼ばれる伝達使の男達がいました。
彼らは、屈強な体と、鍛え抜かれた筋肉の塊のような足腰をしていました。
東西南北の険しい山道に張り巡らされた「インカ道」を、風のごとく駆け抜けていたのです。
道のない高い山々に、土を石で削って足場を作り、さらにもう一段上の土を削っては、少しずつ登っていきました。
その土の道に石を置き、何人ものチャスキが踏み固め、頑丈な石の階段を作り上げ、今日でも多くの観光客に利用され喜ばれています。
チャスキ達は、文字の代わりにキープという結束縄で、いくつもの紐を結んだ暗号のようなものを伝達に使用していました。
紐の結び方によって、多種多様な意味が表現できます。
大インカの命令を、そのキープを用いて、すべての民に伝えていました。
又、人々の服や帽子、持ち物を入れる風呂敷包みにような織物には、様々なシンボルが織り込まれています。
コンドル・プーマ・ヘビ・はちどり・リャマ・太陽・月・湖・星・雪・川・海・虹・雷・花・草・人・村・・・
どれもみな男女一対で、楽しそうに踊り笑っていて、バランス良く、とても仲良く織り込まれています。人々の想像力によって、普段の生活で目にする自然界の、様々な新しいシンボルが作られていきました。
女だけではなく、男達もリャマの放牧などの合間に、糸を紡ぎ、布を織りました。そして、親から子へ、またその孫へと受け継がれました。
村によって、使うシンボルや服の流行も違います。
今でも、チュージョ(毛糸の帽子)・シャツ・ポンチョ・ズボン・スカート・女性の肩掛け・帽子・小物入れ・袋などの模様によって、すぐにどこの村の出身か判ります。
結婚前の若者達は、鮮やかな色とりどりの虹の7色を、たくさん身に着けているので、交際を申し込む時に、独身か既婚者か、いちいち聞く手間が省けます。
おばあさんでさえ、野の花を飾った帽子、原色のセーター、美しい肩掛け、ひらひらの可愛いスカートを着ているので、アンデスの広大な緑のじゅうたんの中で、家畜を放牧して歩いてる姿を遠くから見ると、まるで10代の花盛りの少女のようです。
いつの時代でも、男性は可愛らしい女性を見ると、心がウキウキするものですよね。(笑)
では、なぜインカの世界に文字が、登場しなかったのか?
アンデスには、葦や竹、木、木の実、動物の骨や皮・爪、サボテン、ひょうたんなどから作った、何千種類もの楽器があります。
ケーナ・サンポーニャ・アンターラ・キンライピトゥ・ケーナッチョ・ボンボ・チャクチャス・ほら貝などで奏でられる曲を、目を閉じて聞いていると、いろいろな情景が脳裏に浮かんできます。
又、祖父母は、膝の上に孫やひ孫を抱えながら、遥か悠久の昔から語り継がれた物語を、様々な役柄の声色を変えて、語って聞かせてくれます。
村の長老達は、まるで巨大な図書館のように、たくさんの昔話を知ってます。
子供達は、家族や親戚、村中の人々が1つになって暖を取りながら楽しんで聞く、夜の物語が待ち通しくてたまりません。
物語は、音楽と歌によって、面白おかしく語られるので、時間の経過がわからなくなってしまうほど、登場人物達に引き込まれます。
年寄り達が集まると、ケーナ(縦笛)から流れる低い音とともに、魂から声を絞り出すように歌い、合唱します。
何度も同じメロディーが繰り返され、マントラのような低いうなり声が響く中、周りにいる者も含めて、全員がだんだんと深い、集団トランス状態へと入っていきます。
すると、太古の時代と今の時代との境が無くなり、異次元の扉が開いて融合し、時の感覚も、空間も消え、大自然の聖霊達が、私達の体の中に宿り語り始めるのです。
文字を使わなくても、個々の魂に刻まれた創始の記憶がよみがえってくるのです。
現在でも、クスコ近郊にある、原住民だけが住む山深い村「ケロ村」などに行くと、インカ文明以前の何時の時代のものか判らないほど大昔の、曲と歌と踊りが残っています。
こうして、アンデスの人々は、昔の伝統的な教えを、今でも大切に守り続けているのですね。
独自アフィリエイトツール

その昔、インカの人達は文字を持っていませんでした。
では、どうやってコミュニケーションを取っていたのでしょうか?
チャスキと呼ばれる伝達使の男達がいました。
彼らは、屈強な体と、鍛え抜かれた筋肉の塊のような足腰をしていました。
東西南北の険しい山道に張り巡らされた「インカ道」を、風のごとく駆け抜けていたのです。
道のない高い山々に、土を石で削って足場を作り、さらにもう一段上の土を削っては、少しずつ登っていきました。
その土の道に石を置き、何人ものチャスキが踏み固め、頑丈な石の階段を作り上げ、今日でも多くの観光客に利用され喜ばれています。
チャスキ達は、文字の代わりにキープという結束縄で、いくつもの紐を結んだ暗号のようなものを伝達に使用していました。
紐の結び方によって、多種多様な意味が表現できます。
大インカの命令を、そのキープを用いて、すべての民に伝えていました。
又、人々の服や帽子、持ち物を入れる風呂敷包みにような織物には、様々なシンボルが織り込まれています。
コンドル・プーマ・ヘビ・はちどり・リャマ・太陽・月・湖・星・雪・川・海・虹・雷・花・草・人・村・・・
どれもみな男女一対で、楽しそうに踊り笑っていて、バランス良く、とても仲良く織り込まれています。人々の想像力によって、普段の生活で目にする自然界の、様々な新しいシンボルが作られていきました。
女だけではなく、男達もリャマの放牧などの合間に、糸を紡ぎ、布を織りました。そして、親から子へ、またその孫へと受け継がれました。
村によって、使うシンボルや服の流行も違います。
今でも、チュージョ(毛糸の帽子)・シャツ・ポンチョ・ズボン・スカート・女性の肩掛け・帽子・小物入れ・袋などの模様によって、すぐにどこの村の出身か判ります。
結婚前の若者達は、鮮やかな色とりどりの虹の7色を、たくさん身に着けているので、交際を申し込む時に、独身か既婚者か、いちいち聞く手間が省けます。
おばあさんでさえ、野の花を飾った帽子、原色のセーター、美しい肩掛け、ひらひらの可愛いスカートを着ているので、アンデスの広大な緑のじゅうたんの中で、家畜を放牧して歩いてる姿を遠くから見ると、まるで10代の花盛りの少女のようです。
いつの時代でも、男性は可愛らしい女性を見ると、心がウキウキするものですよね。(笑)
では、なぜインカの世界に文字が、登場しなかったのか?
アンデスには、葦や竹、木、木の実、動物の骨や皮・爪、サボテン、ひょうたんなどから作った、何千種類もの楽器があります。
ケーナ・サンポーニャ・アンターラ・キンライピトゥ・ケーナッチョ・ボンボ・チャクチャス・ほら貝などで奏でられる曲を、目を閉じて聞いていると、いろいろな情景が脳裏に浮かんできます。
又、祖父母は、膝の上に孫やひ孫を抱えながら、遥か悠久の昔から語り継がれた物語を、様々な役柄の声色を変えて、語って聞かせてくれます。
村の長老達は、まるで巨大な図書館のように、たくさんの昔話を知ってます。
子供達は、家族や親戚、村中の人々が1つになって暖を取りながら楽しんで聞く、夜の物語が待ち通しくてたまりません。
物語は、音楽と歌によって、面白おかしく語られるので、時間の経過がわからなくなってしまうほど、登場人物達に引き込まれます。
年寄り達が集まると、ケーナ(縦笛)から流れる低い音とともに、魂から声を絞り出すように歌い、合唱します。
何度も同じメロディーが繰り返され、マントラのような低いうなり声が響く中、周りにいる者も含めて、全員がだんだんと深い、集団トランス状態へと入っていきます。
すると、太古の時代と今の時代との境が無くなり、異次元の扉が開いて融合し、時の感覚も、空間も消え、大自然の聖霊達が、私達の体の中に宿り語り始めるのです。
文字を使わなくても、個々の魂に刻まれた創始の記憶がよみがえってくるのです。
現在でも、クスコ近郊にある、原住民だけが住む山深い村「ケロ村」などに行くと、インカ文明以前の何時の時代のものか判らないほど大昔の、曲と歌と踊りが残っています。
こうして、アンデスの人々は、昔の伝統的な教えを、今でも大切に守り続けているのですね。
独自アフィリエイトツール
スポンサーサイト