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2009/01/31

ギリシア神話ⅩⅦ・プレイアス達

プレイアス達

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<青き輝きをまとう姉妹星>

  寒気に凍てつく冬の夜空は、黒々と澄み渡った背景に無数の輝星が散らばってとても華やかなものです。
長く屋外に出るのは辛い季節ですが、恐らく1年の内で最も眺め甲斐のある夜空ではないでしょうか。

  そんな冬の代表的星座の1つに牡牛座があります。
神々の王ゼウスが、フェニキアの王女エウロペをさらう時に、変身した雄牛として有名な星座ですが、視力の良い人ならその牛の肩先に6個ほどの小さな星が寄り集まっているのが見えるでしょう。
日本では「昴(すばる)」の名で知られているプレヤデス星団です。

  誕生後まだ数千万年という若さで、母体である星間ガスに包まれたまま潤んだような蒼白の光を放っている非常に美しい星の群れです。
天体写真をご覧になれば、正に天界の至宝とも言うべき美観にきっと息を呑まれる事でしょう。
ギリシア人達は、この素晴らしい星団を、仲睦まじい7人姉妹の女神プレイアス達が昇天した姿であると考えました。
初々しい煌きは、確かにうら若き女神の化身に似つかわしいものがあります。
 
<壮大なる逃走劇>

  プレイアス達は、天空を支える巨神アトラスとオケアニスたちの1人プレイオネの間に生まれた娘達でした。
名前はそれぞれマイア・エレクトラ・タユゲテ・ケライノ・アルキュオネ・ステロペ・メロペ。
何れも、母に似て大変愛らしい女神達です。

  最初は処女神アルテミスに侍女として仕えていましたが、やがてその美貌のために男達に目をつけられてしまいました。
7人の中でも、最も美しい長女マイアが、ゼウスと臥所を共にして、伝令神ヘルメスを生んだことは有名です。
又他の5人の姉妹達もそれぞれゼウス・ポセイドン・アレスらの愛人となり子を生みました。
只、1人メロペだけは男神ではなく人間の男シシュポスの妻となり、キマイラ退治で有名な英雄ベレロポンの父となるグラウコスを生みました。
7人とも男と交わりを持った時点でアルテミスのお伴からは外れたものと思われます。

  ある日、母のプレイオネと一緒に森の中で踊っているところを美男の狩人オリオンに目撃されたプレイアス達は、女好きな彼に追い回される羽目になってしまいました。
何と7年(あるいは5年)もの長きに渡って逃げ回った末、嘗ての主人アルテミスにばったり行き会ったので、「女神様、お助け下さい! しつこい男が追いかけてきます!」と嘆願すると、女神はこれに快く応じて彼女たちを純白の鳩に変え、天に放ってくれました。
更にこれを迎え入れたゼウスが彼女達を星に変え、姉妹仲良く夜空に輝くように計らったのだといわれます。

  しかしながら、その後オリオンもアルテミスとゼウスによって星座にされ、しかもプレヤデス星団の属する牡牛座のすぐ隣に配置されたため、哀れにもプレイアス達は未だに安息を得られず、好き心を再燃させたオリオンに追いかけられ続けています。
ゼウスももう少し配置場所を考えてやればよいものを、よりにもよって真横とは……彼一流の悪戯心ゆえと見るか、それとも無神経ゆえと見るか、実に悩ましいところです。
 
<消えたプレヤード> 

 さて、プレイアス達は7人姉妹ですが、実際に夜空のプレヤデス星団を見上げても肉眼では6個しか星は見えません。
この見えない1つは俗に「消えたプレヤード」と呼ばれており、7人姉妹のうちの1人がとある理由から姿を消したものであると考えられています。

  誰が消えたのかについては2つの説があります。
1つはゼウスの愛を受けて、トロイア王家の祖であるダルダノスを生んだ、エレクトラが我が子の都の滅亡を嘆き、振り乱した髪を長く引いた彗星の姿となって天から去ったと云うもので、もう1つは姉妹の中で1人だけ人間に嫁いだことを恥じたメロペが姿を消したというものです。
どちらにしても然も在らんといった感じですが、それ以来残された6人は失踪した姉妹を慕って毎夜涙に暮れているのだそうです。

  7人姉妹とされているのに6個しか見えない矛盾の解決と、ガスに包まれた星団が潤んだように霞んで見えることの説明とを同時にやってのけた、なかなか出来のいいエピソードだと思います。
神話的にも十分納得のいく理由づけですし、星の神話に必要なロマンにも不足はありません。
あえて蛇足を申し上げるならば、エレクトラ説の方がトロイア戦争の絡みでドラマティックな印象が強い為、より優れていると言えるかもしれませんね。
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2009/01/30

ギリシア神話ⅩⅥ・オリュンポスの十二神(そのⅣ)

オリュンポスの十二神(そのⅣ)

<アプロディナ>(英語名ヴィーナス)

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 愛と美の女神。
聖鳥は”白鳥”や”鳩”、聖なる植物は”バラ”や”ケシ”や”カリン”。
ゼウスの娘という説と、海の泡から完璧な姿で生まれたという説があります。
ヘラやアテナをはじめ、オリュムポスの女神達はみな気高く美しい!
しかし、アプロディナの場合は、その完璧な容姿に加え、男を虜にする官能的な美しさが備わっていました。
彼女は、その類まれな美貌からどんな男も手に入れたと伝えられています。
家庭的なヘパイストスの妻となりながら、粗野なアレスとの不倫を続けました。
「ミロのヴィーナス」をはじめ、美術作品の題材として数多く取り上げられているのは、有名なお話です。

<ヘルメス>

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 ゼウスの伝令役であり、神々の使者、旅人、盗人(泥棒)、商売の神でもあります。
ゼウスとニンフのマイアの息子、象徴は”伝令杖”や”ペタソス(つばの広い帽子)”。
ヘルメスは、翼の生えたサンダルで躍動します。
運動神経が抜群で徒競走の創始者とも言われています。
幸福や富を齎した逸話が、どの神よりも多いことから、オリンポスの山でも一番の人気者です。

<ディオニソス>

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 酒とブドウの神、演劇(劇場)の神でもあります。
人間を親にもつ唯一の神、ゼウスと人間のセメレの息子。
聖樹は”ぶどう”、聖獣は”山羊”や”イルカ”や”蛇”。
彼は、その魔法でブドウの木から恍惚と錯乱の液体を生みだしました。
それを飲んで酔う者は、陽気になるが混沌も味わいます。
古代では、彼の崇拝者たちが森に集い、飲んで踊り、酩酊の極みに達していました。
又、彼は劇場の神でもあり、古代では、最も優れた詩が捧げられ、脚本家から出演者まで、舞台人は全員ディオニソスの使徒でした。


<12神以外の神>

 冥界の王ハデスは、殆ど地下に閉じこもっていた為、オリュムポスの12神には数えられていません。
他にもオリュムポスには、多くの神々が住んでいました。
例えば、アプロディナの従者である愛の神エロス、ヘラの娘のヘベエイレイテュイア運命の女神モイラ季節の女神ホラ達などです。

 更にティタン神族でもゼウスに反抗しなかった者達、例えば掟の女神テミスや、勝利の女神ニケ(ナイキの語源)などは、オリュムポスでゼウスらと共存していました。
神々の宮殿では、日々華やかな饗宴が繰り広げられ、彼らは神の食べ物アムブロシアや、神の酒ネクタル(果汁飲料ネクターの語源)を堪能しのです。
因みに、これ等を人間が口にすると永遠の生命を得られると言います。
神々は地上に住む人間達を天上から観察したり、彼等についての議論をして過ごしたのです。

2009/01/29

ギリシア神話ⅩⅤ・オリュンポスの十二神(そのⅢ)

オリュンポスの十二神(そのⅢ)

<アレス>

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 残忍な戦いの神、人間の汚点を象徴する存在。
ゼウスとヘラの息子、象徴は”盾”や”槍”。
アテナと同じ戦いの神だが、知性とは無縁の存在。
嘆き、不和、混乱、恐怖を連れ合いとして、荒廃を求めて地球を歩いたと伝えられます。

<アポロン>

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 予言、音楽、医術の神。太陽神ともされ、ゼウスとレトの息子。
象徴は”弓”や”リラ(竪琴)”、聖樹は”月桂樹”。
彼の知恵が神と人間の橋渡しをしました。
銀の弓を操り、弓術にも優れ、人類に医術を授けた最初の神で、音楽もその一環だったと伝えられます。
彼の啓蒙が、人間から最大限の力を引き出しました。
時を経て、人類は宇宙への旅を実現しましたが、宇宙への憧れに影響した神アポロンにちなみ、宇宙船には「アポロ」と名付けられました。
   
<アルテミス>

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 野性味あふれる狩猟と弓術の女神。
ゼウスとレトの娘でアポロンとは双子、アポロンが太陽神であるのに対してアルテミスは月の女神です。
聖獣は”牝鹿”、聖樹は”杉”。
弓術で彼女に勝る女神は、存在せず、彼女は常に弓と矢を必携していました。
子供を庇護し、純潔を守ち、地上の処女地を平和に治めました。
アルテミス伝説は、現代でも世間の因習に屈せずに、自由に生きる女性の中に息づいています。
彼女は、今も月の精となり、森に住むと伝えられています。
2009/01/28

ギリシア神話XⅣ・オリュンポスの十二神(そのⅡ)

オリュンポスの十二神(そのⅡ)

<デメテル>

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 穀物、農業、豊作の女神。
ゼウスの姉。象徴は”麦の穂”や”ケシ”、聖獣は”豚”。
大地から収穫を得ることを教えました。
豊作と凶作を左右する力を有し、季節や自然現象を支配する能力があると言われます。

<ヘスティア>

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 かまど、家庭生活の守護神。(ヘスティアに関しては、後日、詳細解説致します)

<アテナ>

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 手工芸品、家政学の女神、知恵と戦いの神でもあります。
文武両道で才能を発揮し、象徴は”盾”や”槍”や”兜”、聖鳥は”フクロウ”、聖樹は”オリーブ”。
ゼウスの最も愛すべき娘であり、ゼウスの頭から、武装した成人の状態で生まれました。
ゼウスは、自らの盾と稲妻の矢の運び役に彼女を選んだほどです。
他の女神達が、自然を好むのに対し、アテナは都市を愛しました。
その名を冠したアテネの都市には、世界の宝である彼女のパルテノン神殿があります。

<ヘパイストス>

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 火と鍛冶の神。芸術家や職人の守護神でもあります。
ゼウスとヘラの息子で、妻はアプロディナ、象徴は”鉄床(かなとこ)”や”円錐形の帽子”。
美しい神々の中で、唯一醜いとされる。
天からゼウスに投げ捨てられ、脚が不自由になり、容姿で劣る分を力で補い、美しい絶品を作り出しました。
地底の工房では、その優れた鍛冶の技術で他の神々の家や武器が生み出されたのです。
ゼウスの稲妻の矢もその一例と言われています。
人間に美と技をもたらした善良な神、その優しさは今も偉大な芸術品のデザインに宿っています。

2009/01/27

ギリシア神話XⅢ・オリュンポスの十二神(そのⅠ)

オリュンポスの12神

 オリュムポスの神々には、はっきりとした序列が在りました。
最高位は、ゼウスの兄弟姉妹や子供達で構成されるオリュムポスの12神と呼ばれる神々で、彼等は云わばオリュムポスの上流階級です。
尚、ヘスティアの代わりにディオニュソスが入る事もあります。
  
<ゼウス>

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 オリュムポスの最高神で、あらゆる気象を司る天空の支配者。
オリュムポスの王座から、神と人間を支配した秩序と正義の神。
象徴は”雷テイ”や”王シャク”など、聖鳥は”ワシ”。
その稲妻の矢による制裁は、何より恐れられていました。
トロイの戦争で神々がいずれか一方に加勢する中、黄金の定規で両者の均衡を図り、中立の立場を保ちました。
品行方正とは程遠く、女神や人間の女性を追い回す浮気な夫で、彼の不倫は、古代世界に欺きや暴力という禍根を残しました。
それでも、オリンピックや、偉大な宮殿、建造物にゼウスは、神として君臨しています。

<ポセイドン>

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 海の支配者で、すべての泉と地震の神。
地表の7割以上を占める水。その水を制御する役割の神がポセイドンです。
ゼウスの兄、象徴は”三叉のほこ”、聖獣は”馬”、聖樹は”松”。
地底の宮殿から、自らと同様に気まぐれな海を支配します。

<ヘラ>

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 ゼウスの姉で妻でもアリ、オリュムポスの嫉妬深い女王、結婚の女神。
象徴は”ユリ”や”ザクロ”、聖獣は”牝牛”、聖鳥は”クジャク”。
その勘の鋭さで妻達の守護神とされ、不貞に対する報復は凄まじいものが在りました。
淑やかな一面、逆らう者には容赦なかったのです。

 パリスが、アプロディーナを最高の女神と定めたのに怒り、トロイ軍が倒れる迄、ギリシャ軍に徹底的に加勢したと言われています。
”女性を怒らせると怖い”という定説はヘラから生まれました。
2009/01/26

ギリシア神話XⅡ・蜘蛛にされたアラクネ

蜘蛛にされたアラクネ

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 昔、リュディア地方に、アラクネと言う娘が住んでいました。
アラクネは、機織(はたおり)が大好きで、又とても上手だと評判の娘でした。
その仕事振りと出来栄えは、人間技とは思えないものだったので、「もしかしてアラクネは、技術の神アテナ様から、機織の技術を直々に伝授されたのではないか?」と、噂になるほどでした。

 けれど、このうわさを耳にしたアラクネは、それに対して激しく怒り、人々にこういいました。

「私の技術はアテナ様から教わった訳では無いわ。それどころか、機織の腕前ではアテナ様なんかには負けないでしょうし・・・。」

 この恐れを知らぬアラクネの暴言に、人々は「その言葉を撤回して、一刻も早くアテナ様に懺悔なさい。」と諭しましたが、アラクネは「本当のことを言って何が悪いの?」と聞きません。
人々は「何事もなければよいが・・・。」と、半ば呆れながらもアラクネを心配していました。

 しかし或る日、とうとうこのアラクネの事がアテナの耳に入ってしまいます。
当然、この様な人間の思い上がりを女神として見過ごす訳にはいきませんが、慈悲深いアテナは、彼女をすぐに罰することはせず、このアラクネの勘違いを悟らせる為に人間界に降りていきました。

 まず、アテナは自分を老婆の姿に変え、アラクネに「おまえは人間の分際で神々を侮辱する事が許されると思っているのかい?今なら間に合うから早くアテナ様に謝ってきなさい。」と、諭しました。
しかしアラクネは、聞く耳を持たず、「今すぐ腕比べをしても良い。早くアテナを連れて来るが良い。」とまで言い出しました。
此れには流石のアテナも呆れ果て、とうとう女神の姿に戻り、アラクネと機織の腕比べをする事になりました。

 競技はどちらも甲乙付けがたいものでした。
アテナから見てもアラクネの技術は非の打ち所が無い素晴らしいものです。
しかし、アラクネの織り上げる布には、ゼウスが人間の娘達を誘惑している様子が描かれており、なおも神々を侮辱していたのです。
アテナも、流石に此れには腹を立て、アラクネの布を引き裂き、手に持っていた杼(ひ:機織の道具)で、アラクネの頭を打ちたたきました。

 この時、やっと自分の犯した罪に気がつき、その恐ろしさに絶望したアラクネは、自殺を図ってしまいます。
しかし、これを哀れに思ったアテナは、彼女の命を助け、彼女を蜘蛛に変えることでその罪を許しました。

こうして、助けられたアラクネは、今でも空中にぶら下がって、懸命に機織を続けているのです。
2009/01/25

ギリシヤ神話XI・冬のある理由そのⅡ

冬のある理由そのⅡ

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 やっとの事で太陽神ヘリオスの住む、最果ての地にたどり着いたデメテルとヘカテー。
二人がヘリオスのもとに近づくと、ヘルメスは、二人にゆっくりと話し始めました。

「おぁ、レイアーの娘のデメテルよ、私は貴女がここを訪れるであるうことは、私には解っていましたよ。・・・さて、何から話してよいのやら・・・。」

「それでは話しましょう。貴女の娘であるペルセポネは、貴女の兄君にも当たる冥界の王ハデスによって連れ去られてしまったのです。これはゼウス大神も黙認の事、致し方ありますまい・・・。しかし、どうか酷くお嘆きにならないでください。冥界の主は、決して彼女に恥ずかしくないお相手でございます・・・。誉れ高きあなた方のご兄弟であり、また世界の三つ一の王なのですから。」

 ヘリオスは、こう言うと少し決まりの悪そうな素振りで、逃げるように中空高く飛んでいきました。

 一方デメテルは、このヘリオスの慰めも心には届かず、ただ呆然となって立ち尽くすばかりです。 そして、それは次第に怒りへと形を変えていき、ペルセポネの誘拐にかかわった者、特にゼウスに対して、激しい恨みを持つようになったのです。
デメテルは、オリンポスにも上がる事もなく、姿を窶して、人間界をさまよい続けたのでした。

 彼女の負った心の傷は、時が癒す事はありませんでした。
逆に、時が経てば経つほど、あの無情な神々に対する怒りが無限にこみ上げてきます。
彼女の思いは頂点に達し、終には何とかして奴らに思い知らせてやろうと考えるようになりました。

 彼女は恐ろしい復讐に出たのです。
作物の実りを操ることのできるデメテルは、一切の種子の発芽を許しませんでした。
このむなしい思いを皆にも知らせるために、地上に寒波を作り出しました。
それ以来畑では、農作業の甲斐なく、たくさんの麦が無駄にばら撒かれました。
こうして多くの人間が死に行き、オリンポスの神々も、人間からの奉げ物を無くしたのです。

 この事態の急を察したゼウスは、まず虹の女神イーリスをデメテルの元に送り、説得に努めさせました。
しかしまったく甲斐はなく、この後もゼウスの命で様々な神が、あらゆる貢物を持ってデメテルを訪ねますが、彼女はガンともしません。
とうとう根負けしたゼウスは、ヘルメスを冥界に送り、ペルセポネを連れ戻す事をデメテルに約束しました。

 ヘルメスは冥府の王に事の事情を話し、ペルセポネを地上に返すようにハデスにせまりました。
始めは渋っていたハデスですが、ゼウスの命令なら仕方ないと、ペルセポネを地上に戻す約束をしたのです。
ハデスは、ペルセポネに事を話し、早速用意するように言いました。
それを聞いて大喜びするペルセポネにハデスは、「せめてもの冥界の思い出に・・・」と、とても甘そうなザクロの実をペルセポネに与えました。
母に遭える嬉しさのためか、ペルセポネにはそのザクロが、ひときわ甘く感じられました。

 ペルセポネは早速地上への道を上がって行き、ついにデメテルの待つ冥府の入り口へとたどりときました。
久方ぶりの再会を果たした二人は、まるで狂わんばかりに抱擁をし、再会を喜び合いました。

 これにより頑なな、デメテルの心も溶かされ、畑ではいっせいに麦が芽を出しました。
暫く抱合っていたデメテルですが、急に何と無い心配に、胸騒ぎを覚えました。
それで、ペルセポネの顔をしげしげと見つめ、こう言いました。

「ペルセポネよ。あなたはもしかして、冥界で何か食べ物を口にしませんでしたか?答えてください。もし冥界で何かを食べてしまったのなら、冥界の掟としてあなたは冥界にふたたび帰らなければなりません。・・・あぁ、ペルセポネよ。さあ、食べてないといっておくれ。」

 その言葉を聞いたペルセポネの顔からは、さっきまでの笑みは消え、血の気も引いて、まさに冥府の女王の顔のようになっていました。
この顔色を見てそれを察し、ふたたびペルセポネを強く抱きしめました。

 一方、事を無難に済ませようとしたゼウスは、彼らの母であるレイアーをデメテルの許に遣わし、神々の仲間に戻ってくる事を勧めさせ、彼女に望むほどの栄誉を与える事を約束させます。
しかし、それでも余り好い顔をしないデメテルに、ゼウスは、特例としてペルセポネを一年の三分の一を冥界で過ごさなければならないが、残りは地上で暮らせるように計らいました。

 流石にデメテルも諦め、その条件を飲む事にしました。
こうして、ペルセポネは、一年の三分の二を母と共に暮らせるようになりました。
しかし、ペルセポネのいない残りの月は、寂しさのあまりデメテルの心も凍りつきました。

そしてその時期は、草木も生えず、後に”冬”と呼ばれるようになったのです。
2009/01/24

ギリシア神話Ⅹ・冬のある理由そのⅠ

冬のある理由そのⅠ

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 ゼウスの5人の弟妹の中に、デメテルという名の、髪の美しい豊穣の女神がいます。 
彼女は、ゼウスとの間にペルセポネと呼ばれる、それは愛らしい女神を儲けていました。
その愛らしさゆえか、デメテルはペルセポネを異常なまでに溺愛しており、彼女が浮気な神々達の目に付いたら一大事と、半ば隠すようにシチリア島のニンフ達の元に預けていたのでした。

 しかし、そんな美しい少女の噂が知られぬ訳もなく、母デメテルの心配もよそに神々達に広く知られるようになりました。
とは言うものの、母の態度を知る数多の神々は、ペルセポネに手出しするどころではありません。
デメテルは常に目を光らせていたのです。
しかしそんな折、こともあろうにゼウスの弟である、冥界のハデスが彼女に惚れてしまったのです。

 ハデスは早速その事を、ペルセポネの父でもあるゼウスに伝えにいき、結婚の承諾を懇願しました。
デメテルの態度を知るゼウスは、大変困ってしまいます。
デメテルが了承するとは思えなかったからです。
しかし、ハデスの頼みを、無下にする訳にもいきません。
そこでゼウスは、ペルセポネの誘拐を黙認するという形をとったのです。

 シチリア島では、辺り一面にクロッカスやヒヤシンスが咲き乱れています。
その美しい花々と見紛うかのような少女ペルセポネが、ニンフたちと共に野に出きました。
一面を美しい花々でおおわれたこの野に、さらにひときわ目立つ一輪のそれは見事な水仙がありました。
ペルセポネは、そのあまりの美しさに心奪われ、早速手を伸ばしてこれを取ろうとしました。
その時、突然大地は音を立てて二つに裂かれ、ぱっくりと開いたその口から神馬を御して冥界の王は現れ、ガバと少女を掴み挙げると、泣き叫ぶのをよそに黄金の馬車にペルセポネを乗せ、そのまま地の底に潜っていってしまいました。

 彼女の甲高い叫びを聞きつけたのは、女神ヘカテーと、太陽神ヘリオスだけでした。
しかしついに、山々に木霊した、彼女の叫びは母デメテルの耳に届きます。
血相を変えシチリアに向かうものの、既に其処には最愛のペルセポネの姿はありません。

「なんということなの?」

 まるで状況のつかめないデメテルは、力なく呟くと狂ったように駆け回って、陸の上、海の上を捜し歩きました。
出会ったすべてのものに聞いて回りましたが、何の手がかりもなく、探しにやらせた鳥達にも、一羽として知らせをもたらす者は無かったのです。
そうして九日の間デメテルは寝食も忘れ、最愛のペルセポネを探し続け、とうとう十日目の朝に女神ヘカテーと出会い、ヘカテーはこう言いました。

「私は姿は見ていないので、はっきりはいえませんが、何者かがあなたの娘をさらって行ったようです。私にはここまでしか解りませんが、その始終は太陽神ヘリオスが承知のはず。今から参ってヘリオスに伺いましょう?」

この言葉にデメテルは静かにうなずき、二人は太陽神ヘリオスの元へと向かっていきました。

(明日に続く)

2009/01/23

ギリシア神話Ⅸ・アキレウスの弱点

アキレウスの弱点

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 ペレウスとテティスの間に産まれたアキレウスは、その優秀さは約束されているものの、所詮人間でしかありません。
これには母である女神テティスは大変悩みました。
不死である身にとって、老いて死に行く息子の姿を見るのは、なんとも耐え難いことでしょう。
彼女は深く悩み、ついにアキレウスを不死の肉体にすることを決意しました。

 テティスは赤ん坊のアキレウスの体に、神の食べ物で不死の象徴でもある”アンブロシア”を塗り、アキレウスの足くびを掴んで、アキレウスを釜戸の中にいれ、その火であぶりました。
これにより、アキレウスの可死の部分を焼き払ったのです。
儀式は成功したかと思われた時、その場にいきなりペレウスが入ってきました。
釜戸の中で焼かれている我が子を見たペレウスは、気が動転して大声を上げながらアキレウスを取り上げ、テティスに罵声を浴びせました。
それに恐れたテティスは、人界を捨て海の底に潜ってしまいました。

 儀式は中断され、テティスが掴んでいたアキレウスの足首の部分には可死が残った状態のままだったのです。
妻に逃げられたペレウスは、母を失ったアキレウスをケンタウロスのケイロンの元に連れて行き、その養育を頼みました。アキレウスは、ケイロンのもとですくすく育ち、もはや人とは思えないほどに成長をとげていました。
そんなアキレウスの成長をよそに、母テティスには一つの悩みがありました。
それは予言者カルカスが述べたアキレウスについての予言で、「後に起こるトロイア遠征には、必ず彼を必要とするであろう。」というものでした。

 かねてよりテティスは、もしアキレウスがトロイア遠征に参加するようなことがあれば、討死の運命にあることを知っていました。
そこで何とかしてこれを防ぎとめようと、彼に女装を施し、少女達の中に隠しておきました。
時は流れ、トロイア遠征の折、アガメムノン一行のオデッセウスによってアキレウスは見つけ出され、遠征に参加することになりました。

そして、その戦争の最中に、可死の部分である足首に、毒矢を受け死を遂げたのでした。

(トロイア遠征の詳細は今後”オデッセイア"の項でおこないます)


2009/01/22

ギリシア神話Ⅷ・悲劇の女神テティス

悲劇の女神テティス

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 ゼウスの兄弟である、海の支配者ポセイドンは、アンピトリテという后をもらいました。
このアンピトリテは”海”ポントスの孫で、ネレイス達と呼ばれ、総勢50人の姉妹がいました。
そんなネレイス達の中に、”テティス”と呼ばれる女神がいました。
テティスはネレイスの中でも、とりわけ美しく、かつてはポセイドンやゼウスまでもが、こぞって求愛を迫っていたのです。

 しかし、そんな彼女には不幸な運命があったのです。
それは「彼女の産む子供は、必ず父より優秀な者になる。」と言う運命でした。
このことを知ったゼウスは、その子供に王位を奪われるのを恐れ(自分がそうしたように)彼女から身を引き、ポセイドンにも事情を話し諦めさせたのです。
そしてゼウスは、テティスが他の神の子を産んでは困ると、彼女を人間の男に嫁がせることにしたのです。

 それを聞かされたテティスは怒り悲しみました。
ネレイス一の美女と謳われた自分が、雅かあの野蛮で低俗な人間の妻になろうとは、しかも神である彼女は不死の身、そして寿命のある人間と如何して上手くやれようか。

 しかし彼女の怒りも、絶対神ゼウスの前では無力のものでした。
さっそくゼウスはテッサリア地方プティアの王であるペレウスのもとにテティスを送りやったのです。
ペレウスの腕に抱かれたテティスは、それから逃れる為に様々なものに姿を変えながら抵抗しました。
火や獅子や大蛇などに姿を変えるのですが、いっこうにペレウスはその腕を放そうとはしません。
ついに根負けしたテティスはペレウスとの結婚を承諾することにしました。

 やがて彼女は一人の男の子を産みました。その男の子は、人間でありながら大変優れた能力を持ち合わせていました。
彼はアキレウスと名づけられました。

2009/01/21

ギリシヤ神話Ⅶ・パンドラ

パンドラ

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 人間とプロメテウスに散々な仕打ちをしたゼウスですが、これだけでは腹の虫が納まりませんでした。
ゼウスは、彼らを絶望に追い込む、究極の妙案を思いついたのです。
まずゼウスは、工匠の神へパイストスを呼びつけ、粘土で人形を作るように命じました。
その人形に人間の声と力を打ち込ませ、姿を女神のように作らせました。
次に、その美しい姿エルピスの人形を人間にする為、他の神々達にはこの人形にあらゆる知識を教えるよう命じました。

 アフロディテが色気と悩ましさをおしえると、ヘルメスは、ずる賢さとウソと好奇心を教えました。
こうして世界で始めて生まれた”人間の女”にアテネたちは、美しい衣装を与えました。
ゼウスは、このとても美しい人間の女を”パンドラ"(「あらゆる贈り物を与えられた」の意)と名づけました。
そしてゼウスは、彼女に神々の贈り物を詰めた手箱を持たせ、プロメテウスの弟(エピメテウス)のもとに贈りました。

 エピメテウスの家に着くとパンドラは、彼に「私はゼウス大神の言いつけで、ここに遣わされました。どうか私をここに置いてください。」と言い、美しく微笑みました。
エピメテウスはかねてより兄から、ゼウスの贈り物には気をつけるよう言われていましたが、彼女のあまりの美しさにあてられたおろかな彼は、そんなことも忘れ、彼女を家に入れてしまいました。

 しかしさすがのエピメテウスも、彼女とともに贈られた手箱は怪しいと思い、これは開けずに取っておきました。こうして二人の楽しい生活が始まりました。
そんなある日、エピメテウスはどうしても家を留守にしなければならなくなりました。
彼女を気がかりに思った彼は、出かける間際に彼女に、「あの手箱だけには絶対に触れてはならないよ。」と言い残して出かけてしまいました。

 一方、残されたパンドラは、開けてはいけないと言われると、逆にどうしても中が見たくなってたまりません。
とうとう彼女は「少し覗くだけなら」とその手箱を開けてしまいました。
しかし、その中に入っていたものは、パンドラが期待したようなものではなく、「苦しみ」や「病気」「その他の災い」だったのです。

 それらは、一気に飛び出し、世界中に広がりました。あわてたパンドラがふたを閉めた時、箱の中には、唯一つ「希望」だけが飛び出せずに残っていたのです。
このために人間は、どのような苦労や災難があっても、この閉じ込められた希望のおかげで絶望せずに生き通す事ができるのです。

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2009/01/20

ギリシア神話Ⅵ・プロメテウスと人間

プロメテウスと人間

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 オリンポスの神々の統治が始まり、暫らく、ゼウスの権力は益々強大になり、又、地上では既に人間が溢れていました。
ある日、人間と神々が祭儀の事で言い争いをしていました。
お互い一歩も譲る気配はなく、口論は激しさを増していきました。
そんな中にプロメテウスが仲介にはいりました。

 人間びいきの彼は「ここは私に任せなさい」と人間を説得し、ゼウスのもとに談判に行きました。
プロメテウスは、大きな牛を解体し分けていきました。
肉と臓物などの食べられる部分は、牛の皮で包み、骨は脂肉で包みました。
これをゼウスの前に差し出し、「あなたの選んだほうを神の取り分、残ったほうを人の取り分としてください。」と言い、それを選ばせました。

 ゼウスは、一見美味しそうな脂肉で包んだ骨を選びました。
こうして神々への生贄は骨と脂身に決まったわけですが、騙されたゼウスは激しく怒り、ゼウスは人間に運命をあたえました。

「神々の取り分である骨は確かに食べられはしないが腐ることは無い。しかし肉や臓物はどうだ?時が経てば朽ち果てるであろう。これを人間のさだめとしよう。」といい、人間に老いと死を与えました。又、「命に限りあるものに”疲れを知らない”火を使わせるわけにはいかない。」と、人間から火を取り上げてしまいました。

 これに人は困惑し落胆しました。
プロメテウスはそれをみて哀れに思い、せめて火だけでもと、またもやゼウスの目を欺き、天界から火を盗み出して人間に与えました。
これにより怒りが頂点に達したゼウスは、プロメテウスを取り押さえ、カウカソスの高山に彼を貼り付けにしました。

 ゼウスは、プロメテウスを、鎖で縛り付け、内蔵をむき出しにした状態で、その肝臓を大鷲についばませたのです。
神は、決して死ぬことは無いので、その苦痛は絶えることなく今も続くのでした。
結局、プロメテウスは、後に英雄ヘラクレスによって助け出されるまでこの苦痛から解放されることはありませんでした。

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2009/01/19

ギリシア神話Ⅴ・ティタン族討伐

ティタン族討伐

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 ゼウスの一族とティタン族との戦いは、激しさを増し、ガイアを味方につけたゼウスは、彼女の助言どうりに、まず、地獄に幽閉されたキュクロプスやヘカトンケイルを開放しました。
彼等は喜んでゼウスの味方となり、その印としてゼウスには雷電を、ポセイドンには三叉鉾を、ハデスには姿隠しの兜を送りました。

 強力な武器と仲間を手に入れたゼウスは、一気に地上に駆け上がり、ティタン族を粉砕していきました。
各々の得た武器に加え、怪力キュクロプスはティタン族をなぎ倒し、ヘカトンケイルはその百の手で、敵に向かって石を投げつけました。
此れには、さしものティタン族も、手も足も出ず後退せざるをえませんでした。
又、ティタン族の中には、ゼウスの勝利を事前に知る者もおり、ゼウスに味方するものも現れました。

 10年間続いたティタン戦争は、ゼウスとその一族に、勝利をもたらしたのです。
この戦いに勝利したゼウスは、地獄タルタロスに青銅の壁を作らせ、そこに敵対したティタン族を幽閉し、ヘカトンケイル達を門番に置きました。

 ゼウスは「この勝利は、兄弟皆の功績である。」として、全世界を分配統治することに決め、男神三人でくじを振りました。
その結果、ゼウスが天界、ポセイドンが海、ハデスは冥界と決まりました。
これにより、天界を引いたゼウスが、神々の王となったのです。
彼はオリンポスの頂上に”青銅を敷く宮”を作り、そこより永遠の統治を行っているのです。

<解説・補足>

 勝利後の分配統治の下り等は、当時のギリシャが男性上位ではあるものの、高い社会性を持っていたことがうかがえます。
平等や分権という概念を、古代ギリシャ人は理解していたのです。

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2009/01/18

ギリシア神話Ⅳ・ゼウス誕生

ゼウス誕生

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 クレタ島に残されたレイアの子は、ゼウスと名づけられ、クレスと呼ばれる精霊達に守られ、育っていきました。
アマルティアという名の雌山羊の乳と、蜂蜜によりゼウスはすくすくと育ってゆきました。
すっかり成長したゼウスは、ガイアから事の全てを聞き、クロノス討伐を心に決めました。

 とは言っても相手は強大な世界の支配者です。
ゼウス一人ではどうすることも出来ません。
そこでガイアに助言を伺いをたてました。

 ガイアは、さっそくクロノスに吐き薬を与えることを助言します。
ゼウスは身分を偽り、クロノスのもとにおもむき、まんまと吐き薬を飲ませることに成功しました。
吐き薬を飲まされたクロノスの口からは、最初に産着を着た大きな石が吐き出され、やがて、ポセイドン、ハデス、ヘラ、デメテル、ヘスティアの順番に吐き出されました。

 それにより、最初にレイアから産れた、かまどの女神ヘスティアが末っ子になり、ゼウスが長男と言うことになったのです。
ゼウスは、その吐き出された、自分の身代わりの大きな石をパルナッソス山の麓に置き、救い出した5人の兄弟とともに、ティタン族に戦いを挑んだのです。

 この後、10年も続く戦争はこうして始まりました。

<解説>

 ゼウスは、ギリシャ神話では主役的存在であり、絶対的な神です。
全能の彼に対するギリシャ人の信仰は凄まじいものでした。
理由は、古代日本人が、恵みの対象を太陽に求めたように、古代ギリシャ人はそれを雨に求めました。
雷電の使い手であるゼウスは、すなわち雨であり、干ばつなどがギリシャ周辺では、当時のギリシャ人の死活は、このゼウスに懸かっているといっても、過言ではありませんでした。

 10年のティタンとの戦争では、一部のティタンがゼウスに加担します。
先見のある者プロメテウスなどが代表格であり、彼らの知恵が、勝利に大きく貢献したのでしょう。

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2009/01/17

ギリシア神話Ⅲ・クロノスの時代

クロノスの時代

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 天空の神ウラノスの統治は終わりを告げ、やがてティタン族の時代となりました。
この平和な時代はしばらく続き、12人のティタンの神々は、多くの子を産み繁栄を極めていきました。新しい世界の王であるクロノスは、自分の姉であるレイアと結婚しました。
母であるゲー(ガイア)も、これを見てとても満足げでした。
誰もがこの繁栄は、永遠に続くと信じていました。

 しかし、ある日の事。
世界の王であるクロノスは、やがて自分の地位に驕り始め、あらゆることを好き勝手に行うようになってしまいました。
とうとうクロノスは、自らの手で開放した弟であるキュクロプスとヘカトンケイル達を、醜いと言う理由でまた、地獄であるタルタロスへ詰め込んだのでした。
多少のふるまいには目をつむってきた母ガイアでしたが、さすがにこれには激しく怒り、クロノスに対して呪いの予言を放ちました。

 「父を裏切り王になった者、クロノスよ。お前はその因果から、やがて生まれるお前の息子から同じように王位を奪われる運命と決まっている。」

 これを聞いたクロノスは、「自分はそんな目には遭わない。」と、レイアから産れてくる子供を、次々と自分の腹の中に飲み込んでいったのです。
その予言が実行されないように・・・。

 2男3女の五人の子供達は、次から次へとクロノスの腹の中です。
しかしレイアはまた妊娠します。
このことを気に病んだレイアは、「せめて、このおなかの子だけでも無事に育てたい。」と言う思いが大きくなり、ついにガイアの元に相談をしにいきました。

 母ガイアはレイアに知恵を貸しました。
レイアはその助言どおり、こっそりとクレタ島で分娩を終え、その子をガイアに預け、自分は大きな石に産着を着せ、クロノスの元に向かいました。
産着を着た大きな石を見たクロノスは、それがレイアの産んだ子と何の疑いもなく、取り上げて飲み込みました。

 クロノスは、ガイアの策略にまんまとはまる形になったのでした。

<解説>
 ギリシャ神話においては、オリンポスの神々の父であり、以前の王であったクロノスを、あまり重要視は、していないようです。
これは、彼が特に目立った特性を持たず、タルタロスに幽閉されていることから、当時のギリシャ人の、信仰の対象になりえなかったからでしょう。

 しかし、ローマ神話ではサトゥヌスと呼ばれ、農耕の神とあがめられました。
このサトゥヌスは英語ではサタンと呼ばれ、つまり土星を表します。

 このティタンの繁栄と衰退の物語は、現在の支配者である、オリンポスの神々誕生についての説明文的な歌なので、あまり詳しくは触れられていません。
しかし、クロノスがガイアの怒りに触れるところなどは、如何に当時のギリシャ人が大地そのものに、尊敬と恐怖を抱いていたのかが伺えます。

 又、このくだりには、物語に書いたようなガイアの怒りによるものと言う説と、単純に因果応報とする説に分かれるところですが、本文では”ガイアの怒り”の方を選択しました。

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2009/01/16

ギリシア神話Ⅱ・ティタンの登場

ティタン登場

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 カオスがこれ等の神を生む一方で、女神ゲー(ガイア)は、自らの体に高い山々を作り、天空のウラノスを生み、さらに、波の逆巻くポントス(海)を生みました。
そして、ゲー(ガイア)は、天空の神ウラノスと結ばれ、二人の間には12の神々を儲けました。

 6男6女の彼等は、ティタンと呼ばれ、のちにこの世を支配する神々となります。
優秀な子供達に囲まれたゲー(ガイア)でしたが、幸せは長く続きません。
再び、ウラノスとの子を宿したゲー(ガイア)ですが、次に生まれてきた子供は、3体の1つ目の巨人キュクロプスだったのです。
また、その後に産んだ3人の子も、百本の手を持つ化け物ヘカトンケイルでした。
この醜い姿を見た天空の王ウラノスは、彼等を強引にゲー(ガイア)の腹に戻しました。

 我が子に対する酷い仕打ちに怒ったゲー(ガイア)は、アダマスという硬い金属を作り、それで鎌を作り上げると、子供達であるティタンに言いました。

「この鎌であの憎き、お前達の父ウラノスを仕留めておくれ。もし出来たのなら、そのものは世界の王になれるわ。」

 その言葉にティタン達は戸惑いを隠せませんでした。
王になれるとは言っても、倒すべく相手は自分の父であり、天空の大王・世界の支配者である、ウラノスです。
皆一様にしり込みをする始末でした。
そのとき一番年下のクロノスがゲー(ガイア)の前に勇み出て、「私がやります。」と名乗り出ました。
それに大変喜んだゲー(ガイア)は、クロノスに事細かく計画を教えます。

 計画通りに、天空の王ウラノスが、ゲー(ガイア)に覆い被さろうとした所を、待ち構えていたクロノスが、手に持つアダマスの鎌でウラノスの男根を切り取りました。
切り取られた男根は、海に落とされやがてそれは白い泡に包まれました。
そしてそれは一人の女神を誕生させます。
美と愛欲の女神アフロディテです。

 一方その時に流れた血しぶきは、やがて月が満ちるとともに復讐の女神エリニュースを誕生させました。

 こうしてウラノスに勝利したクロノスは、キュクロプスらを地上に戻します。これにより、天地の支配権はクロノスの物となりました。ティタン族の繁栄の始まりです。

<解説>
 ガイアは天空のウラノスを生み、結ばれるが、当時のギリシャ人にとって、古代の日本人がそうだったようにさほど近親婚をタブーとしていなかったのでしょう。

 それはさておき、二人の子供である12人のティタンは、英語で言うTitanes(タイタン・タイタニックの語源)のことで、日本では巨人族と訳されることもありますが、後に出てくるギガンテス(つまりジャイアンツ)と混同しそうなので、ここではティタン族とします。

彼らの名前は、女が、テイア、レアー、テミス、ムネモシュネー、ポイペー、テティス。
男が、オーケアノス、コイオス、クリオス、ヒュペリーオン、イーアペトス、クロノス。となっており、その末っ子クロノスが、ガイアの復讐を助け世界の王になるのです。

 そしてしばらくの間ティタン族の繁栄が続き、没落をたどるのですが、これは次回のお話です。
また、物語の中では直接触れてませんが、夜の女神ニュクスは、色々の神を生み出します。
余りにも多いので全ては紹介し切れませんが、ヒュプノス(眠り)、モイライ(運命)、ヘスペリデス(黄昏)、モーモス(非難)、ゲーラス(老齢)、エリス(争い)などがいます。

 そして、そのエリスからは、レーテー(忘却)、ポノス(殺戮)、アルゴス(苦悩)などの人性の悪を生み出しました。
ギリシャでは古代から、夜は忌まわしいものと考えられていたようです。

クロノスの時代へ続く

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2009/01/15

ギリシャ神話Ⅰ・天地創造

天地創造

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 世界の始まりは、なにもない無の世界。
そこに始めて生まれたのは、カオス(混沌)でした。
カオスは、その名のごとく混沌であり、あらゆるものが渦巻くものでした。

 しばらくして、カオスは、3つの神々を生みました。
大地ゲー(ガイア)、地獄タルタロス、そして愛の神エロスです。
ゲー(ガイア)は、大地そのもので、あらゆる神々はこの女神を祖とします。
タルタロスは、地獄そのものの男神であり、彼の中はとても不快で、不気味なのです。

 一方、エロスは、とても美しい男神で、彼には万物の愛をつかさどる力があり、彼の持つ矢は、射抜いた者の愛情を操作できる、不思議なものでした。

 その3体の神が産れた後に、ガイアは、新たに2体の神を作ります。
夜の女神ニュクスと暗闇の神エレポスでした。
この二人は、愛の神エロスの力により結ばれ、結婚をします。
二人の間には、アイテルとヘメラが生まれます。

 アイテルは、高空の光と輝きにみちており、ヘメラは、昼間の明るさを備えていました。
これにより、世界に光と闇、昼と夜が誕生したのです。

 そののち、カオスから、暗闇の神エレポスと夜の女神ニュクスが生まれます。

<解説>
 ギリシャ神話には、天地生成に関する物語(宇宙生成論)が幾つかあります。
最もよく知られているのが、カオス(無秩序に諸要素が散らばっている「混沌」を意味する)を万物のはじめとする物語です。
 
 「旧約聖書」の場合、カオスをつくったのは神ですが、一方、ギリシャ神話では、神よりもカオスが先であり、この後に生じる天地も神が創造したものではなく、あくまでも生成によって自然発生的にできたと説明されています。

 カオスの次に生まれたのは、大地ガイアと地底の奥底に渦巻くタルタロス(冥界の最深部)、そして全ての神々で最も美しく心を迷わす愛エロスです。
更にカオスは、次々と神を生み、そしてガイアも単独で、星を散りばめた天空ウラノス(天王星の語源)、山々、大海原ポントスを生みました。
  
 こうして、天と地と海が揃いましたが、天地生成の物語には、まだ人格化された神々は登場していません。
  
 エロスは後世の物語では、愛と美の女神アプロディナの息子ということになります。

次回 ティタンの登場

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2009/01/14

日本の神話(八岐大蛇・その十)

ヤマタノオロチ(八岐大蛇)

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 スサノオノミコトは、高天原(たかまがはら)を追い払われ、出雲の国(現在の島根県)の肥(ひ)の河上、鳥髪(とりかみ)という場所へ降り立ちました。
この河に箸(はし)が流れているのを見て、上流に人が住んでいるに違いないと思い、尋ねて行くと、老人と老婆が、小さな女の子を間に抱いて泣いていました。
スサノオノミコトが、
「御前達は、誰だ。」
と尋ねると、その老人が、答えました。

「わたしは、この国のオオヤマツミ(大山津見)という神の子で、名をアシナヅチ(足名椎)、妻はテナヅチ(手名椎)、この子の名は、クシナダヒメ(櫛名田比売)と申します。」

「お前達は、なぜ泣いているのだ。」

「私達の娘は、8人いましたが、ヤマタノオロチ(八岐大蛇)が毎年やってきては、食べてしまいます。今、そいつが又やってくる時期なので、泣いているのです。」

「そのヤマタノオロチというのは、どんな形の動物なのか。」

「はい。それはもう恐ろしい怪物です。その目は、ホオヅキの花のように真っ赤で、ひとつのからだに頭と尾が八つづつある大蛇(だいじゃ)です。そのからだには、コケや杉やヒノキの木などが生え、その長さは八つの谷と八つの山ほどもあり、その腹は、いつも血がしたたって、ただれています。」

と老人が説明すると、スサノオノミコトは、少し考えて老人にこう言いました。

「あなたの娘さんを私の妻としていただけませんか。」

「恐れおおいことですが、あなた様はどなたでしょうか。」

「わたしは、アマテラスオオミカミの弟です。今、天から降りてきました。」

「なんと、それは恐れ多い事です。ならば、 私の娘を差し上げましょう。」

 スサノノミコトは、その娘を櫛(くし)に変身させ、髪に刺しました。
そして、アシナヅチ、テナヅチの老夫婦にこう命じられました。

「貴方達は、まず強い酒を沢山造ってください。そして、家の回りを垣(かき)で囲んで八つの入り口を作ってください。その入り口すべてに、台を作り、その上に酒の桶(おけ)を置いて強いお酒をたっぷり入れておいてください。」

 老夫婦は、言われたとおりに準備をして待っていると、本当にヤマタノオロチがやって来ました。
怪物は、八つの桶に八つの頭を突っ込んで、酒を飲み始めました。
とうとう怪物は、酔っぱらって、その場にドーンというもの凄い大きな音とともに倒れて寝てしまいました。
スサノオノミコトは、持っていた長い剣で、大蛇を切り刻んでしまったので、肥の河が血の川となって流れていきました。
しかし、大蛇の尾を切り裂く時に、剣の刃が少し欠けました。
これは、おかしいと思って、剣の先を刺し、切り開いてみると、一本の立派な太刀が現れました。
スサノノミコトは、これは珍しい変ったものだとお思いになり、これをアマテラスオオミカミに献上されました。
これが、後にヤマトタケルが、敵から火攻めにあったときに、草を薙ぎ払ったということで有名になる「草薙の剣」(くさなぎのつるぎ)なのです。

 こうして、スサノノミコトは、自分の宮殿を作る場所をこの出雲の国に決められました。
やがて、須賀(すが)の地にたどりついた時に、
「私は、この地にやってきてから、心がたいへん”すがすが”しい。」
とおっしゃって、宮殿を建てられました。
そこを今でも「須賀」と言います。
そして、初めての宮殿を建てられたときに、そこから雲がもくもくと立ち昇りました。その時に、次のように歌を詠まれました。

 や雲たつ 出雲八重垣(いずもやえがき) 妻隠(つまご)みに 八重垣作る その八重垣を
 (たくさんの雲がわき立つ わたしの宮殿 妻と一緒に暮らすための宮殿を造ろう その見事な宮殿を)

 そして、アシナヅチの神をお呼びになり、
「あなたは、わたしの宮殿の長官におなりなさい。そして、稲田の宮主(いなだのみやぬし)須賀の八耳(すがのやつみみ)の神と名乗りなさい。」
と命じられたのでした。

アマテラスとスサノオ(終わり)

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2009/01/13

日本の神話(天の岩戸・その九)

天の岩戸

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 スサノオノミコトは、得意げに言いました。
「わたしの心が清らかだったので、女の子が生まれたのです。これで、わたしの勝ちですね。」
スサノオノミコトは、勝った勢いに任せて、次々と乱暴を働きました。
アマテラスオオミカミが作っていた田の畔(あぜ)を踏みつぶし、溝を埋め、大嘗祭を行う神殿に、汚物を散らかしたのです。

 しかし、アマテラスオオミカミは、
「汚物は、きっと酒に酔って戻してしまったのでしょう。田んぼの畔をこわし、溝を埋めたのは、その土地を再生させようとしたのでしょう。すべて、わたしのかわいい弟がやったことです。」
と、それを叱ったりせずに、むしろ弟をかばうようにおっしゃいました。
しかし、スサノオノミコトの乱暴は、止まることはありませんでした。

 ある日、アマテラスオオミカミは、神聖な機織場(はたおりば)で、神様のお着物を織らせている時に、スサノオノミコトは、斑(まだら)模様の馬の皮をはいで、その死体を機織場の天上に穴をあけて投げ込んだのです。
それに驚いた機織りの娘は、機織りで横糸を通すための道具板で、女陰をついて死んでしまいました。
これには、さすがのアマテラスオオミカミも恐ろしくなって、天の岩屋戸(とびらが大きな岩で作られた洞窟)の中に隠れてしまわれました。
高天原(たかまがはら=アマテラスオオミカミが支配する天の国)も真っ暗になり、葦原の中国(あしはらのなかつくに=高天原と黄泉の国の中間、すなわち地上の世界)も闇につつまれました。
永遠の夜となり、多くの神々が騒ぎだし、その声は湧き上がるように増えていき、あらゆる禍い(わざわい)が起きました。

 そこで、八百万(やおよろず=たくさんあること)の神様達は、高天原の安の河原に次々と集まって来て相談をしました。
まず、高御産巣日(たかみむすび)の神の子の思金の神(おもいかねのかみ=思索、思慮の象徴神)に考えさせて、不死鳥である長鳴鳥(ながなきどり)を集めて鳴かせてみました。
次に安の河の川上にあった大きな岩と天の金山から鉄を採ってきて、鍛冶屋(かじや)の天津麻羅(あまつまら)という人を尋ねて洗練させ、イシコリドメノミコトに命じて鏡を作らせました。
又、タマノオヤノミコトに命じて五百もの勾玉(まがたま)を貫いた玉の緒の飾りを作らせました。
更に、アメノコヤネノミコト(天児屋命)とフトダマノミコト(太刀玉命)とを呼び、天の香具山の牡鹿の死体から抜いた肩の骨を、採ってきた樺(かば)の木で焼いて占わせました。

 こうして神のお告げにより、天の香具山から五百本以上の賢木(さかき)を根こそぎ抜いて、上の方の枝には、先程の玉の緒の飾りを取り付け、中には八尺の鏡(やたのかがみ)を取り付け、下の枝には白と青の御幣(ごへい)を垂らしました。
フトダマノミコトが、この様々なものをお供えし、アメノコヤネノミコトが、荘重な祝詞(のりと)を唱えました。
タジカラオノミコト(手力男命)が、天の岩屋戸のわきに隠れて立ちました。
又、アメノウズメノミコト(天宇受売命)は、天の香具山のヒカゲノカズラ(シダ系の植物。別名カミダスキ)をたすきに懸け、ツルマサキを頭にかぶり、笹の葉を手にもって、天の岩屋戸の前に桶を伏せて、それをドンドンガラガラ踏みつけながら踊りだし、神懸かり(かみがかり)になりました。
女神の踊りは高揚し、乳房をかきむしり、陰部を広げて、そこに着物のひもを垂れたのです。
その様子に、高天原はどっと揺らぎ、見ていた神様達は、大声で笑いだしました。

 岩屋戸の中のアマテラスオオミカミは、外の大騒ぎを不思議に思って、岩戸を少し開いておっしゃいました。
「私が、隠れてしまったので、高天原も葦原の中国も闇につつまれ暗くなったというのに、どうしてアメノウズメノミコトは、楽しんで踊り、多くの神様たちは大声で笑っているのだろうか。」

 そこで、アメノウズメノミコトが、
「貴女以上の尊い神がいらっしゃるので、我々は皆喜んで笑い、楽しんでおりました。」
と申し上げている間に、アメノコヤネノミコトとフトダマノミコトは、鏡を差し出してアマテラスオオミカミにお見せしました。
すると、その姿が鏡に映ったので、アマテラスオオミカミは、ますます怪しいと思って、少し戸から出て外を覗かれたところ、隠れていたタヂカラオノミコトがアマテラスオオミカミの手をとって引き出し、すぐにフトダマノミコトが、注連縄(しめなわ)を天の岩屋戸の入り口に引き渡し、
「もう、ここから中へは、帰ることはできません。」
と申し上げました。

 こうして、アマテラスオオミカミが、天の岩屋戸から出て来られたので、高天原も葦原の中国も自然に明るくなったのです。
 又、八百万の神様達は、この事件の原因を作ったスサノオノミコトに罰として貢ぎ物(みつぎもの)を出させ、ヒゲを切り、手足の爪を抜き、高天原を追放してしまったのでした。

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2009/01/12

日本の神話(誓い・その八)

誓約(ちかい) 

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 海原の国を追放されたスサノオノミコトは、
「よし、それならアマテラスオオミカミに申し上げて、黄泉の国に行こう。」
と言って、天に昇られました。
しかし、その時に、山や川が大荒れの嵐になり、国中が揺れ動きました。
そこで、アマテラスオオミカミは、大変驚いて、
「わたしの弟が、天に昇ってくるのは、まちがいなく善い心を持ってくるのではないでしょう。わたしの国を奪おうと思っているのかもしれない。」
とおっしゃて、髪をふりほどき、左右の耳のところに輪を巻き、その髪の輪にも、鬘(かずら)にも、左右の手にもたくさんの勾玉(まがたま)がついた玉の緒(お)を巻きつかせました。(男の髪型にした。)
そして、背中には矢が千本入る筒をかつぎ、腰にも五百本入る筒を、腕には威勢のよい音が出る鞆(とも)をつけ、弓を振り立てて、力強く庭を踏みつけ、淡雪のように大地を蹴散らし、男のような威勢のいい声で叫びながら、スサノオを待ち受けた。

「おまえは、どういうわけで昇って来たのか!」
「わたしは、やましい心を持ってはいません。ただ、我父が、わたしが泣きわめく理由を聴かれたので、わたしは、母の居る黄泉の国へ行きたいと答えました。しかし、父は、それでは、お前はこの国いてはいけないとおっしゃて、追い払われてしまったのです。そこで、これから黄泉の国へ行く理由をお姉さんに報告しようと思ってここに参りました。謀反の心などはありません。」
「それなら、あなたの心の清いことをどうやって証明するのか?」
「神々に誓約(ちかい)を立てて、女の子を生んでみせましょう。」
とスサノオノミコトが、天の安河を間にはさんで誓約(ちかい)をしている時に、アマテラスオオミカミは、スサノオノミコトがつけていた長い剣を取り、三つに折って、音もさやかな神聖な井戸水で清めて、その剣をかんで吐き捨ててしまわれました。※

※ その時、吐き捨てる息が霧になった時に現れた神様は、タキリベミノミコト(多紀理?売命)又の名をオキツシマヒメノミコト(奥津島比売命)でした。
次に現れたのは、イチキシマヒメノミコト(市寸島比売命)又の名をサヨリビメ(狭衣?売命)、次にタキツヒメ(多岐都比売命)です。

 そして、スサノオノミコトがお願いし、アマテラスオオミカミの左の髪にまいておられた大きな勾玉のたくさんついた玉の緒を音もさやかな神聖な井戸水で清めて、それを噛んで吹き捨てました。
次に、右の髪につけていた玉の緒、鬘(かずら)にまいていた玉の緒、左手、右手にまいていた玉を同じように吹き捨てました。※

※ その時、吹き捨てる息が霧になった時に現れた神様は、マサカアカツカチハヤヒアメノオシホミミノミコト(正勝吾勝勝速日天忍穂耳命)、アメノホヒノミコト(天菩卑命)、アマツヒコネノミコト(天津日子根命)、イクツヒコネノミコト(活津日子根命)、クマノクスビノミコト(熊野久須?命)。
こうして、五柱の男の神様が誕生しました。

 そこでアマテラスオオミカミは、スサノノミコトに
「この後から生まれた五柱の男の子は、わたしが身につけていた玉の緒から生まれた神ですから、当然にわたしの子です。先に生まれた三柱の女の子は、すべてあなたが身につけていたものから生まれたのですから、すべてあなたの子です。」
とおっしゃて、生まれた神々を分けられました。

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2009/01/11

日本の神話(須佐之男命:素盞鳴尊・その七)

スサノオ

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 イザナギノミコトは、「わたしは、これまで多くの子を生んだが、一番最後に貴い三人の子供達を得た。」とお喜びになられました。
そして、ご自分の首に架けていた玉の首飾りをアマテラスオオミカミに授け、「貴女は、天を支配しなさい。」とおしゃっいました。
次にツクヨミノミコトに「貴方は、夜の国を治めなさい。」と言い、スサノオノミコトには、「貴方は、海原を治めなさい。」とおっしゃいました。

 其々の神は、イザナギノミコトから命じられた国を治められましたが、スナオノミコトだけは、海原の国を治めずに、ヒゲが胸元までのびたおとなになっても、泣きさわいでおりました。
その泣く有様は、ものすごくて、緑の山々が枯山になり、海や川の水が乾ききってしまう程でした。
この悪い神が起こした乱暴な物音は、ハエのように世界に満ち満ちてしまったので、あらゆる災い(わざわい)ごとが次々と起こりました。

 イザナギノミコトが、「なぜ、お前は、命じた国を治めないで、泣きさわいでいるのか。」とお聞きになると、スサノオは、「わたしは、お母さんのいる黄泉の国へ行きたくて、泣いております。」と答えたので、イザナギノミコトは、たいへんお怒りになり、「それならば、お前はこの国にいてはならない。」
とおっしゃって、スサノオノミコトを海原の国から追払われてしまいました。


※イザナギノミコトは、淡路島の多賀の社(やしろ)にお鎮(しず)まりになっておられます。


(イザナギトイザナミ)終わり

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2009/01/10

日本の神話(黄泉返りと禊ぎ)その六

黄泉返りと禊ぎ(よみがえりとみそぎ)

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 イザナギノミコトは、やっと黄泉の国から地上へ戻られました。
(このことから、日本語の「よみがえる=蘇る・蘇る」は、「黄泉の国から返る」という意味が元になっているのす。)

 イザナギノミコトは、「わたしは、とても汚く穢(けが)れた醜(みにく)い国へ行ってしまったので、みそぎ(禊ぎ)をしなければならない。」がおっしゃって、九州の日向(ひむか・ひゅうが=現在の宮崎県北部)の「橘の小門の阿波岐原(たちばなのおどのあはきはら)」にお出ましになり、禊をなさいました。
その時に、身につけていたもの(杖・帯・袋・衣服・袴・冠・腕輪)を投げ捨てする時に※十二柱の神々が出現しました。

※十二柱の神々
 衝立船戸神(つきたつふなどのかみ) 道之長乳歯神(みちのながちはのかみ)
 時量師神(ときはかしのかみ) 和豆良比能宇斯神(わずらいのうしのかみ)
 道俣神(ちまたのかみ)     飽咋之宇斯神(あきぐいのうしのかみ)
 奥疎神(おきさかるのかみ)  奥津那芸佐?古神(おきつなぎさびこのかみ)
 奥津甲斐弁羅神(おきつかいべらのかみ)  辺疎神(へさかるのかみ)
 辺津那芸佐?古神(へつなぎさびこのかみ)  辺津甲斐弁羅神(へつかいべらのかみ)

 そして、イザナギノミコトは、「上流の方は水の流れが速く、下流はおそい。」とおっしゃられて、海の真ん中で身体(からだ)をお洗いになった時に、十柱の神々がお生まれになりました。

 最初の二柱の神は、黄泉の国にいたときの汚れたものから生まれた神(禍の神)で、ヤソマガツヒノカミ(八十禍津日神)とオオマガツヒノカミ(大禍津日神)です。
次に生まれた三柱の神は、黄泉の国で取り憑いた禍(わざわい)を取り除くときに生まれた神で、カミナオビノカミ(神直?神)、オオナオビノカミ(大直?神)、イズノメ(伊豆能売)です。

次に生まれた六柱の神は、いずれも海の神です。

海の底で身体を洗われた時に生まれたソコツワタツミノカミ(底津綿津見神)とソコツツオノミコト(底筒男命)
海中で身体を洗われた時に生まれたナカツワタツミノカミ(中津綿津見神)とナカツツオノミコト(中筒男命)
海面で身体を洗われた時に生まれたウエツワタツミノカミ(上津綿津見神)とウエツツノオノミコト(上筒男命)

 以上のうち三柱のワタツミノカミ(綿津見神)は、安曇氏(あずみうじ)たちの祖先の神です。
又、ソコツツ、ナカツツ、ウエツツの三柱の神は、住吉神社に祭られている神です。
最後にうまれた三柱の神々は、左の目をお洗いになった時に出現したアマテラスオオミカミ(天照大御神)、右の目をお洗いになった時に出現したツクヨミノミコト(月読命)、鼻をお洗いになった時に出現したスサノオノミコト(須佐之男命)です。

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2009/01/09

日本の神話(黄泉の国・その五)

黄泉の国(よみのくに)

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 イザナギノミコトは、イザミノミコトにもう一度お逢いになりたいと思われ、その後を追って黄泉の国(地下にあると信じられた死者の世界)に行かれました。
黄泉の国の御殿の戸からイザナミノミコトがお出迎えになられると、イザナギノミコトは、
「わが愛しの女神よ。わたしとあなたで作った国は、まだ作り終えてはいない。もう一度戻ってきておくれ。」
とおっしゃいましたが、イザナミノミコトは、
「わたしは、とても悔しいのです。あなたは、すぐにわたしを助けに来てくださいませんでしたので、黄泉の国の食べ物を食べてしまいました。(黄泉の国の住人になっていまいました。)しかし、愛しいあなたが、せっかくおいでくださったので、わたしも帰りたいと思います。これから黄泉の国の神に相談いたしますので、その間は、決してわたしの姿を見ないでください。」
とおっしゃって御殿の中へ戻ってしまわれました。

 しかし、女神はなかなか出てこられないので、イザナギノミコトは、しびれを切らしてしまい、左がわの髪に付けていた櫛(くし)の太い歯をひとつ折って、それに火をともして御殿へ入って中をのぞかれました。

 そこには、世にも恐ろしい光景がありました。女神のからだに変化が生じ、ゴロゴロという音がしています。
頭からは、大きな雷(かみなり)が、胸には火の雷が、腹には黒い雷が、陰部には裂けるような雷が、左手には若い雷が、右手には土の雷が、左足には鳴る雷が、右足にははねる雷の八種類の雷が発生してゴロゴロと鳴りひびいています。
イザナギノミコトは、大変驚かれて一目散に逃げ出しました。

 イザナミノミコトは、
「あなたは、わたしに恥をかかせましたね。」
とおっしゃると、黄泉の国の醜い化け女を使わせて、後を追わせました。
イザナギノミコトは、頭に付けていた黒い木のつるで作った輪を、化け女に投げつけると、山ぶどうの木が生えました。
化け女が山ぶどうを食べているすきに逃げましたが、再びこの気味の悪い女は追いかけてきます。
そこで、右がわの髪に付けていた櫛の歯を折り、投げつけてやると、今度はタケノコが生えました。
化け女がタケノコを食べているすきに逃げました。

 するとイザナミノミコトは、先ほどの八種類の雷神に加えて、黄泉の国の千五百もの化け物達の軍隊を動員して後を追わせました。
イザナギノミコトは、長い剣を後ろの方へ振り回しながら逃げましたが、化け物達は、なおも追ってきます。
とうとう地上から黄泉の国の入り口へと降りる坂(黄泉比良坂=よみのひらさか)の坂下まで着いたときに、そこにあった桃の木から桃の実を三つ取って投げつけてやると、化け物達は皆逃げて行きました。

 そこでイザナギノミコトは、その桃の実に
「お前が、わたしを助けてくれたように、この葦原の中つ国(あしはらのなかつくに=葦原とは日本のこと。中つ国とは、天上の高天原と地下の黄泉の国との間にある地上の世界という意味)の人間達が、辛い事や苦しい目にあった時に助けてやって欲しい。」
とおっしゃって、オホカムヅミという名前を与えました。

 しかし、ついにイザナミノミコトが自ら追って、坂の下迄やって来ました。
驚いたイザナギノミコトは、大きな岩で坂を通れないようにふさいでしまいました。
その岩をはさんで、イザナギノミコトとは、イザナミノミコトに「離婚をしよう。」とおっしゃいました。
すると、イザナミノミコトが、
「愛しいあなたが、このようなことをされるのならば、わたしは一日にあなたの国の人間たちを千人殺してあげましょう。」
というと、オザナギノミコトは、
「愛しい女神よ。あなたがそうするなら、わたしは、一日に千五百の産屋(うぶや=出産のために建てる家)を建てましょう。」
とおっしゃいました。
この事から、人間は一日に千人が死に、千五百人が生まれてくるのです。

 イザナミノミコトの事をヨモツオオカミ(黄泉津大神)又は、チシキノオオカミ(道敷大神=道を追いかけてきたことによる。)と云います。
又、坂を塞いだ大きな岩は、ヨミドノオオカミ(黄泉戸大神=黄泉の入り口にある大神)と申します。
そして、所謂「黄泉比良坂」は、今の出雲の国の伊賦夜坂(いふやざか=島根県八束群東出雲町揖屋)という坂です。

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2009/01/08

日本の神話(神々の誕生・その四)

イザナミと火の神

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 イザナギノミコトとイザナミノミコトは、国をお生みになった後、次の十柱の神々をお生みになられました。

オオコトオシオノカミ   イワツチビコノカミ
イワスヒメノカミ      オオトヒワケノカミ
アメノフキオノカミ     オオヤビコノカミ 
カザモツワケノオシオノカミ                      
海の神であるオオワタツミノカミ
港の神であるハヤアキツヒコノカミとハヤアキツヒメノカミ

 このうちのハヤアキツヒコとハヤアキツヒメのご夫婦の神が河と海でそれぞれ分けて次の八柱の神々をお生みになられました。

アワナギ・アワナミ・ツラナギ・ツラナミ
アメノミクマリ・クニノミクマリ・アメノクヒザモチ・クニノクヒザモチ

更に、四柱の神々をお生みになりました。

風の神のシナツヒコ・木の神のククノチ
山の神のオオヤマツミ・野の神のカヤノヒメ(別名ノヅチノカミ)

このうちのオオヤマツミとカヤノヒメが山と野で分けて、次の八柱の神々をお生みになられました。

アメノサヅチ・クニノサヅチ・アメノサギリ・クニノサギリ
アメノクラト・クニノクラト・オオトマドイコ・オオトマドイメ

イザナミノミコトは、さらに次の八柱の(男女の神は一柱とする)神々をお生みになられました。

イワクスブネ・オオゲツヒメ
火の神であるホノカグツチ(火迦具土神。別名をホノヤギハヤオ、ホノカガビコ)
カナヤマビコ・カナヤマビメ
ハニヤスビコ・ハニヤスヒメ
水の神のミツハノメ、ワクムスビ、ワクムスビの神の子であるトヨウケビメ)

 しかし、イザナミノミコトは、火の神のホノカグツチの神をお生みになった時に、陰部を火傷(やけど)され、ご病気になられ、しばらくしてお亡くなりになられたのです。

 イザナギノミコトは、「あの火の子を産んでしまったがために、最愛の妻を亡くしたのはとても残念だ。」と悲しまれて、イザナミノミコトの枕元や足元でおなげきになられました。(※注1)
そして、イザナミノミコトを出雲(いずも=現在の島根県東部)と伯耆(ほうき=現在の鳥取県西部)の国境にある比婆山(ひば=広島県比婆郡)にお葬りいたしました。
その後でイザナギノミコトは、ホノカグツチを恨まれて、その首を長い剣で斬り落とされてしまわれました。(※注2)
この剣の名をアメノオハバリ(天尾羽張)といいます。

(注1)この時、イザナギノミコトの涙から香具山の麓の池の神のナキサワメノカミ(泣沢女)がお生まれになりました。

(注2)この時、剣についた血がしたたり落ちたところから八柱の神々がお生まれになられました。
また、殺されたホノカグツチの神の頭、胸、腹、陰部、両手、両足から八柱の神々が生まれました。

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2009/01/07

日本の神話(国生みの話・その三)

日本列島の誕生(二)(大八島国)

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 初めの国生みに失敗した二神は、「今、私達が生んだ子供達は、どうもよくない。もう一度、天つ神様の所へ行って、尋ねてみよう。」と二柱の神は相談され、ご一緒に天つ神に参上し、お伺いを立てました。
天つ神のご命令で、鹿の骨を焼いて占ったところ、「女が先に声をかける事はよくない。また戻って改めて言いなおせ。」とのお告げがありました。

 そこで二柱の神は、島に降り戻って、もう一度、天の御柱を前のようにお回りになられました。
順序を変えて唱え、今度は正常位で交わって、生まれた子が淡路島、四国、隠岐、九州、壱岐、対馬、本州(大倭豊秋津嶋(オオヤマトトヨアキツシマ))の大八島の神霊です。

 土地としての島を生むことは、同時にその土地に宿る神霊を生み出すことでもあり、この大八島の神霊の代表格が、生島神、足島神である。

 こうして、イザナギノミコトとイザナミノミコトが次々にお生みになったのは、以下の島々です。                  
四国(※古事記には、次のように書かれています。「この島は、身体が一つで顔が四つある。伊予の国をエヒメ(愛比売)といい、讃岐の国をイイヨリヒコと言い、阿波の国をオオゲツヒメと言い、土佐の国をタケヨリワケと言う。」)

隠岐島(おきのしま。島根県の隠岐諸島
九州(※古事記には、次のように書かれています。「この島も身体が一つで四つの顔を持つ。筑紫の国をシラヒワケと言い、豊国をトヨヒワケと言い、肥の国をタケヒムカヒトヨクジヒネワケと言い、熊曾の国をタケヒワケと言う。」)

壱岐(いき。長崎県壱岐郡。飛石状をなす島)

対馬(つしま。長崎県対馬。九州と朝鮮半島の間に位置する)

佐渡(さど。新潟県の日本海最大の島)

本州(大倭豊秋津島=オオヤマトトヨアキツシマ)

このように、八つの島をお生みになったので、この国を「大八島国=おおやしまのくに」と言うのです。

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2009/01/06

日本の神話(国生みの話・その二)

日本列島の誕生(一) 国生み
注 この話は、男女の営みに関する表現が在ります。

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 ある時、天の神様達は、イザナギノミコトとイザナミノミコトに「この漂える国をよく修理め(オサメ)固めて完成せよ。」とおっしゃって、天にある玉飾りの矛(ほこ)をお授けになられました。

 この矛は天之瓊矛(アメノヌボコ)といってイザナギノミコトとイザナミノミコトは、天からつながっている天浮橋に立ってその矛を下し、海水をかき鳴らして引き上げると、矛先からしたたり落ちる塩が積もり重なって島となりました。
これが淤能碁呂嶋(オノゴロジマ)です。

 イザナギノミコトとイザナミノミコトは、その島に天から降り立って、天の神聖な大きな柱(天之御柱)をお立てになり、その柱を中心として大きな御殿(八尋殿)を作られました。

 ある時イザナギノミコトがイザナミノミコトに「おまえの体はどのようにできているのだ?」と問うと、イザナミノミコトは「私の体は段々に整ってきましたが、一カ所だけ整わないところがあります」と答えました。
イザナギノミコトはこれに答えて、「わしの身も段々に整ってきたが、一カ所だけでき過ぎのところがある。だから、わしの身の余分なところでおまえの身の足りないところを刺し塞いで、国土を生もうと思うが如何」と言いました。
イザナミノミコトもこれに賛同して、二神で天之御柱を逆に廻って反対側で出会って契り合うことにしました。

 二神が出会ったとき、イザナミノミコトが先に「なんとすばらしい男性よ」と唱え、あとからイザナギノミコトが「なんと美しい女性よ」と唱えたと言うことです。
それぞれが言い終わったあと、イザナギノミコトは「女が先に唱えたのはよくなかった」と言ったが、いくら神々でもここまで来て簡単に止まるものではありません。
体位を立てて交わり、生まれたのが蛭子神(=水蛭子(ヒルコ))と淡島ででした。
蛭子神は発育が悪く、3歳になっても足が立たなかったので、二神は後に葦船に乗せて彼を海に流してしまいます。

以下 明日に続く。

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2009/01/05

日本の神話(国生みの話)

神々の出現

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 昔むかし、この世界で最初に天に、現れましたのは、アメノミナカヌシノカミ(天之御中主神)という神様でした。
次に、タカミムスビノカミ(高御産巣日神)とカミムスビノカミ(神産巣日神)という神様が、出現なさいました。
この三柱(みはしら。※神様の数は、「柱」で数えます。)の神様は、そのお姿を地上には、直接現しませんでした。

 その次に、日本の国がまだ海に浮かぶ脂のごとく、くらげのように漂っていた時に葦(あし)の芽が萌え上がるように現れたのは、ウマシアシカビヒコジノカミ(宇摩志阿斯訶備比古遅神)とアメノトコタチ(天之常立神)という神様でした。
これらの五柱の神様は、コトアマツカミ(別天つ神)といって、それぞれ独身(ひとりみ)で現れた天の神様たちです。

 その後、クニノトコタチノカミ(国之常立神)とトヨクモノカミ(豊雲野神)の二柱の神様が独身で現れました。
その次からは、ご夫婦の神として五組の神々が現れました。
そのうちの最後に現れましたのは、イザナギの神と(伊耶那岐命=イザナギノミコト)とイザナミの女神(イザナミノミコト=伊耶那美命)のご夫婦の神様です。
(以上、クニノトコタチの神からイザナミの女神までを「神代七代(かみよななよ)」といいます。※ご夫婦の神は、二柱で一代です。)

以下 続きは明日から、人間同様、感情の起伏のある神々のお話です。

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2009/01/04

1月の星空のお話

星空の輝き

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 平成21年も三日目に成りました。
大晦日から元旦にかけては、天候が悪く、星空も初日の出も北部九州では、無理でした。
けれど昨晩から、未明にかけて、おおいぬ座のシリウスが南中(真南にくること)の時で、青白い輝きが印象的でした。

 冬の時期、晴れ渡った夜の空には、オリオン座をはじめとする冬の星々が、澄んだ空気とジェット気流の影響できらきらと輝きます。
星は、太古の昔から輝いていたわけですが、この星空を眺め、昔の人はどのように感じ、何を考えていたのでしょうか。
美しいと感じたのか、また、神秘的と感じたのでしょうか。
それとも人の手の届かない天上界を宇宙と呼ぶ概念がないころは、神様のつくった世界と考えていたのでしょうか。

 ところで、夜空に輝く無数の星々は私館の身近にある「太陽」と同じように自ら光を放ち、輝いている恒星ですが、はるか昔には、この恒星と太陽系内の土星や火星といった太陽の反射光で輝いて見える星との光る原理の違いが解明されていませんでした。

 恒星は、それぞれ太陽と同じ核融合反応によって輝いており、現在までの観測、研究の結果から私たちの銀河系(天の川)には約2000億個程度存在するといわれています。
その銀河の端から端までの距離は10万光年あるといわれていますので、いかに広大かおわかりいただけると思います。
空間だけでなく、時間的にも気が遠くなるような長い時間が経過しており、太陽が生まれて既に50億年程度経過しているといわれ、人類の歴史などは、ほんの一瞬に相当するような感じかもしれません。

 更に、お隣の銀河であるM31アンドロメダ銀河までは約200万光年の距離があると云われています。(なんだか気の遠くなるような数字ですね)
そうした遠い距離にあって、また、億年単位の長い間、輝き続けている星々を私達は、今見る事ができるのです。
例えば、M31は、200万年前の姿を見ていることになります。

<1月の星空>

 1月の星空では、以前このブロクで紹介した、オリオン座が南の空に畏怖堂々と見られますが、その周囲に冬の星座が取り巻いています。
東にすばるのあるおうし座が見られ、そこから反時計回りに見ていくと、ぎょしゃ座、ふたご座、こいぬ座、いっかくじゅう座、おおいぬ座、うさぎ座そしてエリダヌス座と見ていくことができ、ふたたび元のおうし座に戻っていきます。

 1等星以上の明るい星も多く、オリオン座には赤く輝くベテルギウスと青白いリゲル、おうし座にはオレンジ色のアルデバラン、ぎょしゃ座には黄色いカペラ、ふたご座にはポルックス、こいぬ座の白く輝くプロキオンそしておおいぬ座には全天一明るい恒星のシリウス(天狼星)があります。

 又、冬の天の川も見られます。暗い夜空の場所まで出かければ、ぎょしゃ座からいっかくじゅう座にかけて、夏の天の川に比べたら淡い輝きが静かにそっと輝いているように感じます。

 宮沢賢治の童話「よだかの星」や「銀河鉄道の夜」などには星や星座がたくさん登場してきますが、物語を読みながら、本物の星を想い浮かべることができたらきっとステキなことですよね。

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2009/01/03

アンデスの昔話(Ⅸ)

パコ「シャーマン」について (後編)

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シャーマニズムの概念は、あまり広く一般には知られていません。
シャーマンの起源は、「人類の夜明け」、人類がこの世に誕生した頃に遡ります。
世界中にシャーマンは存在してきましたが、一般の人々の理解度の違いにより、各地域でのシャーマンに対する受け入れ度合いは大幅に違います。

昔、西欧諸国では、キリスト教による宗教裁判の影響で、カトリック世界と相反するシャーマ達を、魔女や黒魔術を使う悪魔使いの異端者と呼び、無理矢理処罰をしていました。
公衆の面前で火あぶりにされたり、絞首刑にしたり、過酷な体罰を与えて尋問したり、少しでも反宗教を匂わせたものは、告発され異端審問にかけられ厳格な処罰を受けてきました。

大昔から続く伝統的な集落では、シャーマンは村の長(おさ)として、病院はないので現代の医師と同等の治療師として尊敬されています。
ネイティブの村(集落)では、シャーマンの幅広い知識と技術は、人々に崇拝されてきました。
今でも、多くの人々に高く評価され敬われています。

 シャーマンは目に見えないエネルギーと働き、歌や祈り・踊りにより多次元と交信しては、必要な情報を取り寄せて人々の魂・心・体を癒し、薬草や花・樹木などの効能に卓越していて、自然界と調和して生き、リーダーとしても大きな力を持っています。
アマゾンのシングー、シピボ、 ティティカカ湖近くのカラワヤ、アヤラチ、海岸地方のクラカ、山岳地方のパコ、ヤティリなどの先住民部族のシャーマンは、千里眼、語り部、歌い手、ミュージシャン、ダンサーetcとして知られています。

 人々は、治療のお礼として、シャーマンに様々なものを贈ります。
報酬の有無に関係なく、常にシャーマンは特別な大きなセレモニーの前に、必ず大宇宙の聖霊達と繋がり、歌や踊りを介して全生命のために、断食・禁欲をして長時間祈り続けます。
そして、全村人と共に、冬至、夏至などの特別な日に、雨、雷、山々、動植物、農産物etcの聖霊を招いて、大きな祭りを開催します。

 近代の西洋諸国の人々は、「動物のスピリットの力」「魂の旅」「夢の解釈」などシャーマンの伝えるメッセージを、ファンタジーや子供の頃からの空想、作り話だと見下して、シャーマンの仕事を過小評価してきました。
古代は西洋の人々もシャーマニズムの知識を持っていましたが、世界が近代化するのつれて、過去や無意識下に封じ込め、純粋な魂の力を忘れてしまいました。

 そして、ネイティブの人々の生活様式を、「過ぎ去った大昔の野蛮な原始人の生活を、未だに信仰している時代錯誤した、流行やテクノロジーの進化に遅れ見捨てられた、可愛そうな人達」などというレッテルを貼っては馬鹿にして、受け入れようとしません。
シャーマンの行う、火・歌・踊り・供物・祭りなどの、神聖な儀式のもたらす偉大な力を理解するための、人生での経験がない為、自らの狭い観念のフィルターを通して物事を見るので、的を得た説明ができないのです。
又、シャーマンがどこまで様々な次元を支配して、計り知れない深い智慧を持ち、信じられない程の神秘的な力で、なぜ、この現実世界を動かすことができるのか、全く理解できないでいます。

 私達の魂は、人類の原初の頃と、深い繋がりを保っています。ですから、私達皆がシャーマンであると言えるのです。
 
 シャーマニズムは、宗教のひとつではありません。聖職者もいません。
教会もありません。成すべき任務も戒律もありません。
シャーマンはどこにも属していないので、模範となる形や技術を学校で勉強する必要もなく、自らの独特の経験で見えない領域を独学し、自分流の技を確立して働きます。
自然界のスピリットを呼ぶのではなく、スピリットはいつでも周りにいることを知っているので、彼らを見て話し掛けては一緒に生を分かち合う、神聖な遊びをしているのです。
全てのシャーマンが宇宙の神秘に精通していて、どんなことでも独流で説明でき、大宇宙と同じくらいの限界のない幅広い知識を持っています。

 シャーマンは、自己の外側にも内側にも、神を探し求めません。探すという行為は、その時点で、探す必要のある対象を作ってしまうのです。
神を表すときに、頭の中に浮かび上がってくる様々な観念から観念へと迂回しては遠回りすることなく、忙しい思考を手放して、子供のような純粋な気持ちでいれば、即神であることを知識を越えた体験で会得してるのです。
過去でも未来でもなく「今ここ」に全意識を集中して、調和から乱れている箇所に宇宙エネルギーを繋げ、治療やセラピーをして調和させ神の意識に繋げます。


 シャーマンは聖人ではありません。
大宇宙の大調和へ導く、家族のように親しみのある「道先案内人」です。

アンデスの昔話は、今回で終了致します。

 


2009/01/02

アンデスの昔話(Ⅷ)

パコ「シャーマン」について (前編)

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 世界中の各村々、様々な文化圏、気候の異なる国々では、目に見える物質世界を越えた、目に見えない神秘世界を見て聞いて感じ取ることのできる、特殊な能力を持った人々が存在してきました。
ある人は生まれたときから、また、ある人は人生の転機となる大きな出来事に遭遇した結果、この神秘世界を感じ取る能力に目覚めます。

 アンデスでは、パコ(シャーマン)の仕事をする人には「神の印」が降ります。

例えば、母親の子宮の中か、1人で野山を歩いているときに、雷の一撃を受けた人(!)はパコになる素質があると言われます。
特に3回雷に打たれた人(!!!)は偉大なパコになると、言い伝えられています。

 パコは、一般の人々が知らない、宇宙や自然界のエネルギーに精通していて、自己の内側「精神世界」への旅を繰り返し、日常の物質世界の常識とは異なる視点から、深く自然界の聖霊や依頼人の魂の中に入り、心と体を癒します。
外側ではなく、内面の光を見つめて瞑想し、大宇宙のスピリット達の光の世界をまざまざと見て体験しては、より高度な回路を切り開き、幾度もの経験を積んで、神秘世界を支配する力を得、パコの秘儀を習得します。

 多くの人が、シャーマンのことを、「神官・治療師・村の酋長(リーダー)呪術師・魔女・サイキック・霊媒師・神秘主義者・占い師・預言者・白魔術・黒魔術使い・聖者・巫女・イタコ・マスター・グル・メディスンマン・セラピスト・ミュージシャン・ダンサー・アーチスト・誇大妄想の精神異常者(笑)」などと勘違いして、シャーマンの定義が混乱しています。

 シャーマンは、大木が多くのの枝を持つように、この世界に物質が現れる原因となるスピリチュアリティの世界に生き、あらゆるジャンルの仕事を網羅した深い知識と経験を持った、絶え間なく沸き出でる泉のような変幻自在な存在です。
様々な手法で、自己を最高興奮状態にまで高め、神懸り(シャーマニック・エクスタシー)状態に入って、異次元の超意識に自由に出入りすることができます。

 「シャーマン」の語源は、極北地域の言語「ツングース語」で、「SAMAN(サマン)」に由来するとされます。
今でも、世界中のあらゆる民族にはネイティブのシャーマンが存在し、古代から伝わる伝統的な儀式を守り続け、また、独特な個性溢れる儀式を編み出しています。
私達の意識の大元となる「無意識(深層意識)」には、様々な次元(時空間)へ続く、いくつもの扉が開かれています。

 シャーマンの男性も女性も「異次元世界を自由自在に動き回る旅人」です。
呼吸法・歌・音楽演奏・踊り・炎・タバコなどの煙・覚醒作用をもたらす植物etc、独自の技法を用いて深いトランスに入り、精神世界へ旅立ちます。
過去・現在・未来を透視して占ったり、病の本質の情報を得て人を癒したり、夢の解釈をしたり、太陽・月・山・川・海・空・雲・動植物などの自然界の聖霊とつながって、人や大地を癒したり、天候を変えたりします。


                                 (次回へつづく・・・) 



                          





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