ラーマヤナ(14)・森の物語・其の三
森の物語・其の三

<ジャターユの死>
シータが一人残されたのを見ると、ラーヴァナは僧に姿を変え、小屋に近づきました。
しかし、ラクシュマナが描いた線を超えようとすると、炎が燃え立って邪魔をします。
しかたなくラーヴァナは線の外側からシータに声をかけました。
「奥様! 今日は誰からも施しを受けていません。何か少しでもこちらへお持ち頂けませんか」
シータは少し迷いましたが、食べ物を持って外へ出ました。
シータが線を越えるやいなや、ラーヴァナはシータをひっ捕まえました。
「何をするのですか!」
シータは声を上げましたが、ラーヴァナは元の姿に戻り、シータを天の馬車に押し込めました。
「我はランカの王、ラーヴァナ。さて、私の手からお前を救い出せる者はいるかな」
その様子を見た禿鷹のジャターユがシータを助けようとラーヴァナに襲い掛かりました。
「この恥知らずめ! すぐに止まるのだ!」
ラーヴァナは、シータを凄まじい速度ではしる、天の馬車に乗せるとそれは、金色に輝き、インドラの天馬の様に翔けます。
ラーヴァナはシータの耳元に口をよせ、ある時は脅し、ある時は哀願するように話しかけるのです。
魔王は、彼女を胸に抱きしめています。
シータは、始めこそ抵抗したが、今はもうその気力も尽きました。
だが「ラーマ!ラーマ!」と叫び続ける事は止めませんでした。
やがて、天の馬車は、速度を上げ、丘を越え、谷を越えて飛び続けます。
シータは、鷲の爪にかけられた、小さな蛇のように、身もだえしながら声を立てて泣いていました。
いっぽうラクシュマナはやっとラーマのところへ辿り着きました。
「兄上! 悲鳴が聞こえたので様子を見に来たのです。一体どうしたのですか」
「いや、私は悲鳴など上げてはいない。お前の言ったことは正しかったよ。あの鹿はやはり悪魔だったんだ。私に射られて正体を現し、お前とシータの名を叫んだのだよ。もう姿を消してしまったから、早く小屋へ戻ろう」
ところが戻ってみると、小屋にはシータの姿がありませんでした。
不安に感じた二人が小屋の付近でシータを探していると、傷つき、瀕死の状態で倒れているジャターユに気づきました。
「魔王ラーヴァナがシータを連れ去った・・・。私は奴を止めて、シータを助けようとしたが、翼を斬られてしまったのだ。ラーヴァナはシータを天の馬車に乗せて逃げ去った・・・。シータは目印に自分の宝石を地面に落としていったよ・・・」
そこまで話し終えたジャターユは、ラーマの腕のなかで息を引き取りました。
父王の旧友の死に、ラーマとラクシュマナは深く悲しみ、手厚く弔いました。
ラーマとラクシュマナはシータを探す旅に出ることとなりました。
そしてある日、悪魔に出くわし、大口を開けて二人に喰らいつこうとした悪魔を、ラーマは一瞬にして斬り殺し、二人は悪魔の死体を荼毘に付しました。
すると驚いたことに、火の中から人間の男性の姿が現れたのです。
「ありがとうございました。私は呪いによって悪魔に姿を変えられていたのです。呪いを解いてくださったお礼をしなければなりません。シータ様をお探しですね。スグリーヴァ王を訪ねるとよいでしょう。きっと彼はあなた方の力となりましょう」
そう告げると男性の姿はかき消えました。

<ジャターユの死>
シータが一人残されたのを見ると、ラーヴァナは僧に姿を変え、小屋に近づきました。
しかし、ラクシュマナが描いた線を超えようとすると、炎が燃え立って邪魔をします。
しかたなくラーヴァナは線の外側からシータに声をかけました。
「奥様! 今日は誰からも施しを受けていません。何か少しでもこちらへお持ち頂けませんか」
シータは少し迷いましたが、食べ物を持って外へ出ました。
シータが線を越えるやいなや、ラーヴァナはシータをひっ捕まえました。
「何をするのですか!」
シータは声を上げましたが、ラーヴァナは元の姿に戻り、シータを天の馬車に押し込めました。
「我はランカの王、ラーヴァナ。さて、私の手からお前を救い出せる者はいるかな」
その様子を見た禿鷹のジャターユがシータを助けようとラーヴァナに襲い掛かりました。
「この恥知らずめ! すぐに止まるのだ!」
ラーヴァナは、シータを凄まじい速度ではしる、天の馬車に乗せるとそれは、金色に輝き、インドラの天馬の様に翔けます。
ラーヴァナはシータの耳元に口をよせ、ある時は脅し、ある時は哀願するように話しかけるのです。
魔王は、彼女を胸に抱きしめています。
シータは、始めこそ抵抗したが、今はもうその気力も尽きました。
だが「ラーマ!ラーマ!」と叫び続ける事は止めませんでした。
やがて、天の馬車は、速度を上げ、丘を越え、谷を越えて飛び続けます。
シータは、鷲の爪にかけられた、小さな蛇のように、身もだえしながら声を立てて泣いていました。
いっぽうラクシュマナはやっとラーマのところへ辿り着きました。
「兄上! 悲鳴が聞こえたので様子を見に来たのです。一体どうしたのですか」
「いや、私は悲鳴など上げてはいない。お前の言ったことは正しかったよ。あの鹿はやはり悪魔だったんだ。私に射られて正体を現し、お前とシータの名を叫んだのだよ。もう姿を消してしまったから、早く小屋へ戻ろう」
ところが戻ってみると、小屋にはシータの姿がありませんでした。
不安に感じた二人が小屋の付近でシータを探していると、傷つき、瀕死の状態で倒れているジャターユに気づきました。
「魔王ラーヴァナがシータを連れ去った・・・。私は奴を止めて、シータを助けようとしたが、翼を斬られてしまったのだ。ラーヴァナはシータを天の馬車に乗せて逃げ去った・・・。シータは目印に自分の宝石を地面に落としていったよ・・・」
そこまで話し終えたジャターユは、ラーマの腕のなかで息を引き取りました。
父王の旧友の死に、ラーマとラクシュマナは深く悲しみ、手厚く弔いました。
ラーマとラクシュマナはシータを探す旅に出ることとなりました。
そしてある日、悪魔に出くわし、大口を開けて二人に喰らいつこうとした悪魔を、ラーマは一瞬にして斬り殺し、二人は悪魔の死体を荼毘に付しました。
すると驚いたことに、火の中から人間の男性の姿が現れたのです。
「ありがとうございました。私は呪いによって悪魔に姿を変えられていたのです。呪いを解いてくださったお礼をしなければなりません。シータ様をお探しですね。スグリーヴァ王を訪ねるとよいでしょう。きっと彼はあなた方の力となりましょう」
そう告げると男性の姿はかき消えました。
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