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2008/10/14

「アドルフに告ぐ」 作品内容を少々。

「アドルフに告ぐ」を掲載した処、多くの方から、知らない、内容を知りたいとのお言葉を頂きましたので、少々荒削りですが、内容を少々。

<物語>
 1981年、イスラエル。初老の日本人男性が、ひっそりと墓地の一角に佇み、其処にある墓に花を供えた。 彼の名は、峠草平。40年前、3人の「アドルフ」に出会い、そしてその数奇な運命に立ち会うことになった彼は、全ての終わりを見届けた今、その記録を一冊の本として綴ろうとしていた。
時は、1936年、ベルリン・オリンピックに湧くドイツへと、遡る……。

 第二次世界大戦当時の日本とドイツを舞台に、アドルフという名前をもつ3人の男がたどった運命を描く長編マンガです。
1936年、ベルリンオリンピックの取材でドイツにきていた峠草平は、そこで留学中の弟が殺されていることを知ります。
やがて弟が殺された理由が、彼がアドルフ・ヒトラーの重大な秘密を文書にして日本へ送ったためであることが明らかになってきます。
その文書とは、ヒトラーにユダヤ人の血がまじっているという出生の秘密を明かすものでした。

一方、神戸に住むドイツ総領事館員のヴォルフガング・カウフマンも、本国からの指令を受けて、その文書の行方を追っていました。
そのカウフマンにはアドルフという息子がいました。
カウフマンはアドルフを国粋主義者として育てようとしていましたが、アドルフは、自分と同名のユダヤ人アドルフ・カミルと親友だったため、ユダヤ人を殺してもいいと教えるナチスドイツの考え方には反発を感じていました。
しかし、アドルフ・ヒトラーという独裁者が支配する恐怖の時代に、ふたりのアドルフの運命は大きくねじ曲げられていくのでした。

<主な登場人物>
峠草平
 協合通信のドイツ特派記者。W大陸上の元花形選手。ドイツに留学する弟をもつ。ベルリンオリンピックに湧くドイツで、弟から掛かってきた一本の電話が、彼の人生を大きく変える事になる。

アドルフ・カウフマン
 熱心なナチス信奉者のドイツ外交官を父に、日本人の由季江を母にもつハーフの少年。神戸に住み、ユダヤ人のアドルフ・カミルとも仲良く暮らしていた。しかし、父の強い要望で、ナチスの幹部養成所AHS(アドルフ・ヒトラー・シューレ)へと送られることとなった彼は、必死の抵抗もむなしくドイツへと送られてしまう。カミルとの強い友情と、再会を胸に発った彼であったが、狂気の影は少年の魂を貪ろうとしていた。

アドルフ・カミル
 神戸へと亡命したユダヤ人の少年。実家はパン屋である。長い日本暮らしで、流暢な関西弁を話す日本人として成長していくが、ユダヤを弾圧するナチスに抵抗を試み、恩師である小島先生とともに、水面下での活動を開始する。いつかユダヤ人が弾圧されずに暮らせる世界を夢見つつ……。

アドルフ・ヒトラー
 あえて説明する、必要はありませんね。

登場人物は、多数に及びゾルゲ事件で、有名なリヒャルト・ゾルゲも登場します。当時の歴史に興味を持たれている方なら、登場人物を見ただけで、引き込まれる作品ではないでしょうか?

<付記>
この作品の掲載誌はマンガ雑誌ではなく、1983年 1月6日から1985年5月30日まで、週刊文春(文藝春秋)に連載されました。
更に、編集長からの「徹底的にシリアスな大河ドラマを」という求めに応じて描かれたという事もあって、手塚治虫の青年マンガ作品の中でも、ひときわシリアスでハードな社会派ドラマとなっています。
日本での舞台は、手塚治虫が少年期を過ごした戦前・戦中の神戸を中心に描かれていて、手塚治虫が過ごした当時の神戸の雰囲気がよく描かれているところも注目すべき部分です。
連載中に体調をこわして入院するなどした為に、後半はエピソードが大幅にカットされ、単行本化のときに描き加えられました。
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