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2011/09/17

人類の軌跡その199:歴史の狭間で⑭

<第二次世界大戦前夜の周辺諸国:フランス悲劇の陸軍大国その②>

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フランス海軍 戦艦リシュリュー

◎軍  備

 フランスは、対独宣戦布告を行った直後、第一次世界大戦の時と同じく、大量動員を行い全人口(4000万人)の1/8の500万人と云う規模でしたが、大量の熟練工迄を動員した事により、軍需工場が操業停止する等、経済的な大混乱を発生させました。

陸 軍

 第一次世界大戦時に、従来の輸送手段で有った馬に代わり、いち早く自動車を取り入れる進歩性を有していたフランス陸軍でしたが、大戦後は、時代錯誤とも言える防御的退化性を示し、前述した輸送手段については、自動車から馬に逆戻りし、更に戦車運用に関して、歩兵の為の補助的な役割しか与えられず、各歩兵部隊に分散配置されてしまいました。

 又、防御思想の極致で在るマジノライン建設は、膨大な軍事予算を必要とし、更に政情不安による軍事費削減も重なり、新規兵器調達費、兵器開発費等が大幅に削減された結果、独仏開戦時には、物量に於いてドイツの対抗可能でも、装備内容に関しては多種多様な戦車、中には第一次世界大戦時に製造された旧式戦車が第一線に配備されていたと云うお粗末さで、とてもドイツに対抗できる状態では在りませんでした。

海 軍
 
 ヨーロッパ屈指の陸軍国フランスは、世界各地に保有していた海外植民地と、本国との海上交通路(シーレーン)を確保する必要が在り、特に地中海域にはアフリカ進出を狙うイタリアを牽制する意味から、その軍事力に対抗できる海軍力を配置しましたが、その内容は、当時弱体化したイギリス海軍や、凋落傾向にあった陸軍とは対照的に近代化が進んでいました。
之は、海軍大臣だった故ジョルジュ=レイグの手腕と海軍総司令官フランソワ=ダルランの能力によるところが大きく、開戦時には、前弩級戦艦3隻の他、イギリスの巡洋戦艦に相当する26,000t級ダンケルクとストラスブールが在籍しており、35,000t級リシュリューとジャン=バールも竣工寸前でした。
この2隻は当時世界最強の戦艦と成る筈で、更に18隻の近代型重巡が配備され、28隻の対魚雷用艦艇(イギリスの軽巡に相当、さらに24隻が建造中)を保有していました。

 しかし、第二次世界大戦では、地上戦で陸軍が早期にドイツに撃破された為、海軍の活躍が殆ど無く、更に戦闘艦艇がドイツに引き渡されてドイツ海軍に編入される事を恐れたイギリス首脳部が、フランス領モロッコ等の海外植民地の各港に係留中のフランス艦艇を攻撃する悲劇が発生しました。

空 軍

 空軍力の配備機数は1938年に最低線まで落ち、その後、回復したものの、ドイツに遠く及ばず、この原因は、フランス航空産業の国有化に失敗し、機体製造に不可欠なアルミニウム生産が少なかった為と云われています。

【参考 第一次世界大戦の人的被害について】

 死者150万人、更に負傷者は500万人に上り(そのうち身体障害者150万人)、死者に関して、連合国中ではロシアに次いで、ワースト2で在り、実に30歳以下の若年人口の1/8に達し、人口統計学上からも、既に人口が横這い状態のフランスにとっては致命的被害と云えるものでした。

続く・・・

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