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2011/10/03

人類の軌跡その208:歴史の狭間で23

<第二次世界大戦前夜の周辺諸国:アメリカ合衆国 繁栄の陰に>

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◎1920年代の大繁栄

 無傷の戦勝国アメリカは、第一次世界大戦後の1920年代、大戦での軍需特需によって重工業が発展し、帰還兵による住宅・自動車購入等の消費の拡大、モータリゼーションの発展による自動車工業の拡大によって、空前の好景気に沸き、「永遠の繁栄」と呼ばれる経済的成功を成し遂げました。

 しかし、農業の機械化に起因する過剰生産により、農産品価格の暴落と、相次ぐ気象異常が追い打ちをかける形となり農村は疲弊し、更に農業不況に加えて、鉄道や石炭産業も不振に成っていたにもかかわらず、株式や不動産への投機熱が煽られ、経済はバブルの様相を呈していました。
戦後のベビーブームの終息や移民の停止により、住宅需要は20年代後半には半減しており、第一次世界大戦の荒廃から回復出来ない、ヨーロッパ諸国の購買力が回復せず、アメリカ国内の工業生産量が過剰に成りつつ在りました。
しかし、政府は、自由放任主義を取り続け、適切な景気抑制策等の経済政策を行おうとしませんでした。

◎世界大恐慌

 この様な状況下で、1929年10月24日10時25分、ゼネラルモーターズの株価が80セント下落した事をきっかけに、株価が大暴落しました。
しかし、ウォール街の大手株仲買人達が、協議して買い支えを行う事で合意した為、株価は値を戻して、数日間は平穏を保ちます。

 後にこの日は「暗黒の木曜日(Black Thursday)」と呼ばれる様に成り、この日だけで1289万4650株が売りに出されました。
更に5日後の10月29日には、24日以上の大量の株が軒並み売られ、大暴落が発生し、午後の取引開始早々には、市場を閉鎖する事態に陥り、この日だけで約1640万株が売りに出され、株価は平均43ポイント下がり、9月の約半分程度に迄成りました。
投資家はパニックに陥り、株の損失を埋める為様々な地域・分野から資金を引き上げ始めて行き、後にこの日は「悲劇の火曜日(Tragedy Tuesday)」と呼ばれる様に成りました。
終にアメリカ経済への依存を深めていた、脆弱な各国経済も連鎖的に破綻する事と成り、1929年から1932年にかけての工業生産は50%近く下落、実質GNPは35%以上下落、卸物価は30%以上下落し、失業率は1929年には3.2%であったものが、1932年には24.9%まで上昇しました。

続く・・・

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