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2012/02/02

人類の軌跡その297:新大陸へ①

<大航海時代①>

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◎大航海時代とは

スペイン、ポルトガルをはじめとする西欧の国々が、大西洋やインド洋に進出していった時代を大航海時代と呼びます。
15世紀の末から16世紀の初期を指す言葉で、ヨーロッパ人が世界に拡大していく最初の時代に成ります。

◎大航海時代が始まった理由

 当時スペインやポルトガルは、当時建国間もない国家でした。
両国が存在するイベリア半島は、8世紀初頭以来イスラム勢力の支配下に在り、フランスとの国境地帯に住むキリスト教徒の領主達が、少しずつイスラム勢力から領土を奪回していきました。
一般にこの祖国回復運動をレコンキスタと呼び、この戦いで生まれたのがポルトガルとスペインでした。

イベリア半島最後のイスラム教国グラナダ王国が、スペインによって滅亡したのは1492年、コロンブスがスペインの援助でアメリカ大陸に到達したのが同じ年なので、イスラム教徒との抗争の中で、大航海を援助したのです。この時期のスペイン、ポルトガルには猛烈な領土拡大への意欲が存在し、イスラム教徒との抗争の中で養われた、キリスト教の布教と云う宗教的な背景も存在していました。

 更に、両国は王室権力強化の為に財源を求め、海に囲まれたイベリア半島の利点を活かし、海上貿易に着目します。
当時最大の利益をもたらすものが、香辛料貿易でした。
香辛料は軽く輸送が容易であり、高価で取引され、当時のヨーロッパでは同じ重さの銀と交換されました。
当時のヨーロッパ人は香辛料無しでは、食生活が成り立たなかったのです。

 時代の食生活に関して、ヨーロッパは緯度が高く、寒冷な地域で本来農業生産に適していませんでした。
必然的に、小麦等の穀物栽培以外に豚や牛等の家畜も飼育し、森や休耕地で放し飼いが基本でした。
肉は干し肉、薫製等保存の為に加工しますが、その多くは塩漬けにして樽に保存します。
是等塩漬け肉は、冬の食料として、保存されますが冬とは言え肉は傷み、やがて腐りかけた肉等も食べる事になります。
十字軍等を発端に東方の産物である胡椒をヨーロッパ人は知り、胡椒を腐りかけた肉に掻ければ、臭みが見事に消えてしまい、一度胡椒の味を知ると日常的な必需品と成りました。

 地中海交易圏でイタリア商人が、イスラム商人から輸入した重要な商品が香辛料でした。
胡椒は、インド西海岸のマラバール海岸や、ジャワ、スマトラ、マライ半島で栽培されていました。
クローヴ(ちょうじ)、ナツメグはインドネシアのモルッカ諸島周辺のみで、栽培されていました。
どの場所もヨーロッパからは遙かに遠いアジアであり、是等の香辛料はインド商人、アラビア商人、イタリア商人等多くの仲買人を経て運ばれますから、ヨーロッパでの末端価格は驚く程高価に成ります。
胡椒を扱うヨーロッパの小売商人は、風や息で吹き飛ばないように窓を閉め切りマスク着用して、慎重に量り売りを行いました。

続く・・・
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