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2012/05/05

人類の軌跡その368:清朝⑧

<清朝その⑧>

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マテオ・リッチ<左>と徐光啓<右>

◎ヨーロッパ人宣教師の来航

 明の時代の後半から、ヨーロッパ人宣教師が中国に入国しました。
宣教師達は、まず西洋の科学技術を手土産に、中国の支配者階級に取り入ろうと考え、一方中国の歴代皇帝は、西洋技術を珍重し、宣教師を迎え入れます。
しかし、キリスト教に入信する事は無く、この姿勢は清の時代でも同様でした。

※代表的な宣教師

 マテオ・リッチ。
中国名は利瑪竇(りまとう)。
宣教師達は中国名を持って活動しました。

 彼はイエズス会士で、中国布教の先駆者で在り、1601年、初めて明の万暦帝から中国での伝道許可を得ました。この時、マテオ・リッチが万暦帝に献上した品物は、キリストとマリアの像、バイブル、ロザリオ、台付きの時計、万国図誌。
万暦帝の気に入ったのが台付き時計で、この時計が故障した時、マテオ・リッチが手際よく修理し、皇帝に気に入られたと云います。
この様な事情で布教許可が成されたので在り、皇帝は宗教そのものに関心が有った訳ではありません。

 それでも、マテオ・リッチの持つ科学技術が中国で尊敬の的に成り、以後、中国に入国する宣教師は、科学技術の知識をそなえた者が多く成りました。

 マテオ・リッチが1602年に出版した世界地図が『坤輿万国全図(こんよばんこくぜんず)』。

 『農政全書』を著した徐光啓は、マテオ・リッチに会い、キリスト教に入信しています。
徐光啓は明朝の中枢で大臣として活躍した大物官僚なので、彼の入信はマテオ・リッチの功績でした。
ただ、当時の信者は北京でも300人位で、爆発的に信者が増える事は在りませんでした。
マテオ・リッチと徐光啓が共同で著した数学の本が『幾何原本』です。

 アダム・シャール。
中国名、湯若望(とうじゃくぼう)。
明の末期に徐光啓に呼ばれて、西洋の天文学を基本に暦の改変をおこないます。
彼の著した西洋天文学の本が『崇禎暦書』。
大砲の製造技術も伝授し、明は中国本土に侵入しようとする清軍を山海関で阻止しましたが、彼の造った大砲はそこで大活躍し、呉三桂が寝返る時、清軍への最大の見返りが大砲でした。

 明が滅んだ後は、清に仕えて天文台の長官を拝命しますが、康煕帝の時に、キリスト教に反感を持つ中国人官僚に糾弾されて、逮捕投獄、最後は獄死しています。

 フェルビースト。
中国名、南懐仁(なんかいじん)。
アダム=シャール亡き後、中国の伝統的な暦法よりも西洋の暦法の方が正しいことを証明して、康煕帝の信頼を得て、天文台の長官になりました。
三藩の乱が勃発した時には、康煕帝の為に大砲440門を製造しています。

 ブーヴェ。
中国名、白進(はくしん)。
康煕帝の信頼を得て、側に仕え、勉強好きな康煕帝は、数学や天文学等、疑問がある時はブーヴェに訪ねたと云います。
ブーヴェは中国全土の測量作業を手がけ、『皇輿全覧図(こうよぜんらんず)』を完成させます。

 カスティリオーネ。
中国名、郎世寧(ろうせいねい)。
康煕、雍正、乾隆の三代に仕え、宮廷画家として活躍しました。
円明園という皇帝の別荘の設計を行いますが、之はヴェルサイユ宮殿をモデルにしたものです。
1860年にイギリス・フランス連合軍に破壊されて、現存していません。

 以上の宣教師はすべてイエズス会士です。
歴代皇帝は利用できるなら、宣教師でも何でも利用しました。
イエズス会の側も、まずは中国社会に入り込むことが第一と考えて、中国の伝統文化に妥協します。
具体的には、キリスト教に入信した中国人が、孔子を拝み、祖先の霊を祀る事を認めました。
因みに康煕帝の時代に、中国全土に30の教会が在ったと云います。

 後に、イエズス会に遅れて中国に布教に来た、ドミニコ修道会、フランチェスコ修道会が、イエズス会の布教活動に異議を唱え、中国人に対して如何に布教すべきか論争になり、これを典礼問題と云います。

 北京の宮廷に出入りする宣教師達が皇帝の前で、お互いの非難をはじめます。
清朝の皇帝にとって、典礼問題はローマ教会内の問題で、中国とは何の関係も無いのですが、典礼問題は、ローマ教皇と中国皇帝とどちらが偉いかというような論争に発展して行きました。
やがて、ローマ教皇が、中国人の信者に孔子や祖先を祭る事を禁止する命令を出すと、康煕帝はイエズス会以外の布教を禁止し、次の雍正帝はキリスト教の布教を全面禁止しました。
但し、布教が禁止されただけなので、イエズス会宣教師が宮廷に仕える事は変わりません。

 この時期のキリスト教は、西洋の技術や文物を伝えただけで、中国の文化に大きな影響を与える事は在りませんでした。

清朝終わり・・・
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