人類の軌跡その370:アメリカ合衆国成立以前の北アメリカ②
<17世紀における北アメリカの植民地化②>

スミスを助けるポカホンタス(後世の作で事実とは描写等が異なります)
昨日の続きから
飢えに苦しんだジェームズタウンの住民は、先住民から食料をわけてもらうために奥地に出かけました。
一行はキャプテン・スミスに率いられて、ポウハタン族の集落へ行き、そこで酋長ポウハタンに食料をわけてくれるように交渉しました。
そのときの酋長の言葉が伝わっています。
「キャプテン・スミス殿。あなたがこの地に来たことについて、私は疑問をもっている。私は親切にしてあげたいのだが、この疑問があるので、それほど親切に救い手をさしのべるわけにはいかないのだ。というのは、あなたがこの土地に来たのは、交易のためでなく、私の人民を侵し、私の国をとってしまうためだ、と多くの人が言っているからだ。この人達が貴方にトウモロコシを持って来ないのは、貴方がこの通り部下に武装させているのを見ているからだ。この恐怖を取り払って我々を元気づけるよう、武器を船においていらっしゃい。ここでは武器は要らない。われわれはみな友人なのだから…」。
非常に筋が通った内容と思います。
武器を船においていらっしゃい、というセリフを見るとスミス達がそれまで如何なる態度であったか想像できます。
さて、この様に云われたキャプテン・スミスはどうしたでしょうか。
一説によると、いきなり酋長の横に立っていた弟を、ぐいっと引き寄せて、その頭にライフルの銃口を突きつけながらこの様に言いました。
「トウモロコシを船に積め、さもないとお前らの死体を積むぞ」。
武器で脅されて、ポウハタン族はイギリス人に食料を供給する事になり、ジェームズタウンの人々は冬を乗り切った、と云うのですが。
これとは全く違う話も伝わっています。
此方の話では、食料を求めて奥地に分け入ったキャプテン・スミス達は、ポウハタン族に捕らえられ、村の広場に連行され、スミスは処刑される事に成りました。
スミスが広場の真ん中に引き出されて、両手両足を押さえられてうつぶせに寝かされ、今まさにスミスの首が切り落とされるというその時に、一人の乙女が飛び出してきてスミスの上にかぶさって、命乞いをするのです。
「この白人の男は、きっと悪い人ではありません。どうか命を助けてやって下さい」と、願い出ました。
この女性がポカホンタスで、酋長ポウハタンの娘でした。
娘の願いに負けて、酋長はスミス達を許し、更に、食料までもらってジェームズタウンに帰る事ができた、と云います。
ポカホンタスもスミスとともにジェームズタウンへ行きました。
何故、ポカホンタスがキャプテン・スミスを助けたのか、これは一目惚れという事です。
全然違う二つの話、どちらを信じますか。
常識的に考えて、ポカホンタスの話はイギリス人が作り上げた伝説でしょう。
ただ、ポカホンタスというネイティヴ・アメリカンの娘は実在しているのです。
実際に、ジェームズタウンに住んでイギリス男性と結婚して子どもも生まれています。
但し、夫になったのは、キャプテン・スミスではなく、ジョン・ロルフという人物ですが。
実際のポカホンタスは、人質として、ジェームズタウンに無理矢理連れてこられたのではないでしょうか。
ただ、現在のアメリカ合衆国の主流派である白人達にとっては、少々後ろめたい話なので、それを、恋愛物語に仕立てて語り伝えてきたのではないかと思います。
※ディズニー映画で数年前に公開された『ポカホンタス』は、恋愛バージョンの話を映画化したものです。
先住民の娘ポカホンタスはジェームズタウンでイギリス人と一緒に生活する様に成りました。
彼女は先住民の農業をイギリス人に教えました。
彼女はタバコ栽培を教え、コロンブス以来、ヨーロッパに喫煙の風習が伝えられて、流行しはじめていました。
タバコを栽培してヨーロッパに輸出すればいい儲けに成ります。
ジェームズタウンの人々は黄金は発見出来ませんでしたが、タバコ栽培で成功したのです。
以後、イギリスからタバコ栽培目的で移住してくる人が増加し、イギリスの植民地が農業中心になるのはこれ以来です。
ジェームズタウンのある場所は、ヴァージニア植民地と云い、現在、ヴァージニア州。今でも、タバコ栽培を行なっています。
続く・・・

スミスを助けるポカホンタス(後世の作で事実とは描写等が異なります)
昨日の続きから
飢えに苦しんだジェームズタウンの住民は、先住民から食料をわけてもらうために奥地に出かけました。
一行はキャプテン・スミスに率いられて、ポウハタン族の集落へ行き、そこで酋長ポウハタンに食料をわけてくれるように交渉しました。
そのときの酋長の言葉が伝わっています。
「キャプテン・スミス殿。あなたがこの地に来たことについて、私は疑問をもっている。私は親切にしてあげたいのだが、この疑問があるので、それほど親切に救い手をさしのべるわけにはいかないのだ。というのは、あなたがこの土地に来たのは、交易のためでなく、私の人民を侵し、私の国をとってしまうためだ、と多くの人が言っているからだ。この人達が貴方にトウモロコシを持って来ないのは、貴方がこの通り部下に武装させているのを見ているからだ。この恐怖を取り払って我々を元気づけるよう、武器を船においていらっしゃい。ここでは武器は要らない。われわれはみな友人なのだから…」。
非常に筋が通った内容と思います。
武器を船においていらっしゃい、というセリフを見るとスミス達がそれまで如何なる態度であったか想像できます。
さて、この様に云われたキャプテン・スミスはどうしたでしょうか。
一説によると、いきなり酋長の横に立っていた弟を、ぐいっと引き寄せて、その頭にライフルの銃口を突きつけながらこの様に言いました。
「トウモロコシを船に積め、さもないとお前らの死体を積むぞ」。
武器で脅されて、ポウハタン族はイギリス人に食料を供給する事になり、ジェームズタウンの人々は冬を乗り切った、と云うのですが。
これとは全く違う話も伝わっています。
此方の話では、食料を求めて奥地に分け入ったキャプテン・スミス達は、ポウハタン族に捕らえられ、村の広場に連行され、スミスは処刑される事に成りました。
スミスが広場の真ん中に引き出されて、両手両足を押さえられてうつぶせに寝かされ、今まさにスミスの首が切り落とされるというその時に、一人の乙女が飛び出してきてスミスの上にかぶさって、命乞いをするのです。
「この白人の男は、きっと悪い人ではありません。どうか命を助けてやって下さい」と、願い出ました。
この女性がポカホンタスで、酋長ポウハタンの娘でした。
娘の願いに負けて、酋長はスミス達を許し、更に、食料までもらってジェームズタウンに帰る事ができた、と云います。
ポカホンタスもスミスとともにジェームズタウンへ行きました。
何故、ポカホンタスがキャプテン・スミスを助けたのか、これは一目惚れという事です。
全然違う二つの話、どちらを信じますか。
常識的に考えて、ポカホンタスの話はイギリス人が作り上げた伝説でしょう。
ただ、ポカホンタスというネイティヴ・アメリカンの娘は実在しているのです。
実際に、ジェームズタウンに住んでイギリス男性と結婚して子どもも生まれています。
但し、夫になったのは、キャプテン・スミスではなく、ジョン・ロルフという人物ですが。
実際のポカホンタスは、人質として、ジェームズタウンに無理矢理連れてこられたのではないでしょうか。
ただ、現在のアメリカ合衆国の主流派である白人達にとっては、少々後ろめたい話なので、それを、恋愛物語に仕立てて語り伝えてきたのではないかと思います。
※ディズニー映画で数年前に公開された『ポカホンタス』は、恋愛バージョンの話を映画化したものです。
先住民の娘ポカホンタスはジェームズタウンでイギリス人と一緒に生活する様に成りました。
彼女は先住民の農業をイギリス人に教えました。
彼女はタバコ栽培を教え、コロンブス以来、ヨーロッパに喫煙の風習が伝えられて、流行しはじめていました。
タバコを栽培してヨーロッパに輸出すればいい儲けに成ります。
ジェームズタウンの人々は黄金は発見出来ませんでしたが、タバコ栽培で成功したのです。
以後、イギリスからタバコ栽培目的で移住してくる人が増加し、イギリスの植民地が農業中心になるのはこれ以来です。
ジェームズタウンのある場所は、ヴァージニア植民地と云い、現在、ヴァージニア州。今でも、タバコ栽培を行なっています。
続く・・・
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