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2012/05/15

人類の軌跡その376:アメリカの独立③

<アメリカ独立その③>

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独立宣言への署名

◎独立戦争その③

 第一回大陸会議が開催された頃、イギリスから独立を企てる植民地人は、多数派では在りませんでした。
ところが、翌1775年、イギリス本国から派遣された軍隊と、植民地人の民兵の間で戦闘が始まります。
アメリカ独立戦争の開始です。
戦争という既成事実に則り、独立を主張する世論が、後から生まれてきました。
 
 独立戦争が始まった時、植民地人口は約250万人、この内、イギリス国王に忠誠を尽くす王党派が30万人、独立を目指す愛国派が80万、中立派が120万でした。
この時に独立の世論を盛り上げたのが、トマス・ペインの発行した「常識」を意味するパンフレット『コモン・センス』でした。
植民地の権利を守らないイギリス本国から独立するのが常識だと主張する論文で、12万冊発行されたと云います。単純計算で20人に一人がこのパンフレットを手に入れた事に成りました。

 実際に戦争が始まり、植民地側は植民地軍を編成し、その司令官に選ばれたのがジョージ・ワシントンです。
フレンチ・インディアン戦争での活躍を評価されての起用でした。
ワシントン率いる植民地軍の兵力は1万2000人、その内、泥濘でも歩ける長靴を履いていたのが900人、小銃をは三人に一人の割合でした。
残りの兵士は、サンダル履き、農具を武器に、軍隊というよりは農民一揆で、もちろん、ほとんどの兵士は、軍事訓練を受けていない、素人集団です。
対するイギリス軍は兵力3万、当然こちらは正規軍です。

 兵力も装備も訓練も劣る植民地軍は如何なる戦いを繰り広げたのでしょう。
その戦法は、正面から大戦する事は、殆ど無理な話なので、イギリス軍が、休息中や山間の狭い道を分散して通過したりする時を狙って攻撃を仕掛けます。
相手が反撃に転じた場合は、一目散に退却、植民地軍は地の利が在るので、それを最大限利用して戦いました。
この様な戦法を散兵戦と云い、ワシントンは、植民地軍を良くまとめて負けない戦いを継続しました。

 しかし、この様な戦法では、戦闘期間が長引くばかりです。
植民地がイギリス本国と戦い続ける為には、他国の援助が絶対必要でした。
そこで、ヨーロッパでも有名なフランクリンがフランス等で外交活動を行い、植民地への援助を要請しました。
フランスは当時絶対王政、貴族達がサロンで政治の流れを形作った時代、洗練されたフランス貴族から見ると、アメリカ大陸の植民地人は、どんな粗野な人間だろうかと興味津々でした。
フランクリンは、その期待に応える為に、わざと田舎臭い、野暮ったい恰好、熊の毛皮を身につけて社交界に出入りしました。
しかし、彼の話も面白く、サービス精神旺盛な為、フランクリンはフランス社交界で有名人に成りました。

 そんな努力の甲斐が在り、ヨーロッパ諸国は次第に植民地を支援する様に成ります。
ヨーロッパから義勇兵として植民地に来たのがフランスのラファイエット、ポーランドのコシューシコ、ワシントンの副官として活躍します。
彼等は、後にフランス、ポーランドでも、それぞれ活躍します。

 フランスは1778年に、正式に参戦して、アメリカに軍隊を派遣します。
フレンチ・インディアン戦争の復讐戦で、スペイン、オランダもイギリスに宣戦し、1780年、ロシアがプロイセン、ポルトガル等と武装中立同盟を結成してイギリスに敵対します。
これらの動きは、植民地の独立を支援すると云うより、イギリスにダメージを与えたいという各国の思惑から派生したものですが、国際的な反イギリスの動きが、植民地の独立戦争を有利にしました。

 植民地側が1776年に発表したのが『独立宣言』。
「我々は、自明の真理として、総ての人は平等に造られ、造物主によって、一定の奪いがたい天賦の権利を付与され、そのなかに生命、自由および幸福の追求のふくまれることを信じる。」からはじまる歴史的文書です。

 内容的には、基本的人権、革命権、平等・生命・自由・幸福追求の権利等を謳い、イギリスの思想家ロックの社会契約説の影響を強く受けています。
 独立宣言が独立戦争の最中に出されたのは、ヨーロッパ諸国の援助を得る為に自分達の独立の正統性と、イギリスの暴虐ぶりをアピールするという目的がありました。
この宣言で、国名をUnited States of Americaと表記しました。
起草者は複数いますが、中心となったのがトマス=ジェファーソン、フランクリンも起草者の一人です。

続く・・・

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