2012/07/02

人類の軌跡その417:産業革命と社会運動③

<産業革命その③>

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産業構造の変化、重工業の成立

◎資本主義の確立と社会問題の発生

 産業革命の進展によって、イギリスでは工場制機械工業が産業の中心となります。
工場の経営者、産業資本家が社会・経済・政治の主導権を握るようになります。
これが、資本主義社会で、1830年代以降のイギリスの諸改革は、まさに産業資本家達の主導のもとに行われた改革です。

 資本主義社会のもとで、それまでの社会の構造が大きく変化しました。
まず、伝統的な手工業が衰退し、没落した手工業者は、工場労働者となり、同時に、此の頃のイギリスでは、「第二次囲い込み」といわれる地主による経営規模の拡大化が行われ、多くの農民が農村を離れ、都市に流入していました。
彼らも、職を求めて工場労働者に成りますが、産業革命の進行に従い、工場で働き、賃金を受け取って生計を立てる賃金労働者、プロレタリアートが増加します。

 資本主義社会では、労働者階級が人口の多数を占める様に成り、産業資本家と並んで、社会を動かす二大階級となります。
現在のイギリスでは二大政党は、労働党と保守党ですが、労働者階級と産業資本家の利益を代表しています。
これが、二大政党制のあるべき姿だと思います。

 産業革命が始まった当初は、労働者を保護する法律等は存在せず、しかも、資本家は、労働者を安い賃金で長時間働かせました。
当時は、労働環境が劣悪で、19世紀前半イギリスでは労働問題が深刻化し、低賃金、長時間労働、児童労働が社会問題と成って行きます。

 イギリス政府も、次第に児童労働を問題として取り上げ、1832年イギリス児童労働調査委員会の報告書によれば、6週間に渡って、少女達が午前3時から午後10時乃至は午後10時半まで働かされた事、5分でも遅刻すると、賃金を4分の1カットされ、事故で指を無くした少女もいたが、その段階で賃金支払いが停止された事等が報告されています。

 又、紡績工場、マッチ工場等その業種に関係無く、工場内の空気は汚れ、幼い頃から長時間働き続ける子供達は、肺病等で短命でした。
1842年の「平均寿命の比較調査」では、リヴァプールの労働者の平均寿命はなんと15歳、同じリヴァプールの「知識層・ジェントリ地主」は、35歳ですから半分の短さです。

 労働者は、平均寿命だけでなく、平均身長もどんどん小さく成り、フランス人の平均身長との差がどんどん開いていく事に危機感を覚えたのが、イギリスの陸軍でした。
体が小さければ、白兵戦になれば完全に不利ですから政府としても、問題となりました。

 児童労働、長時間労働の酷い実態が明らかになり、多くの社会改良家の運動も在り、1833年工場法が制定されました。
繊維工業の工場で9歳以下の少年労働を禁止、13歳未満の者の労働時間を一週間48時間、18歳未満のものは一週間69時間としました。
労働時間を制限する法律は、これ以前にも存在しましたが、工場法は工場監督官の制度も施工され、法律が実行される様に成りました。

 また、新興工業都市が急速に発達し、そこに職を求めて人口が集中した結果、様々な社会問題が生まれます。
人口の急増を示す記録として、マンチェスターの人口は、1760年3万人、1861年46万人、100年間で15倍の増加、リヴァプールの人口は、1760年4万人、1861年49万4千人、100年間で12倍の増加したのです。

 人口増加に住宅建設が追いつかず、上下水道も整備されない中で、住宅問題、衛生問題が発生し、また、低賃金や失業等から極端な貧困生活をおくる人も増加し、犯罪も比例して増加、所謂スラム街が、歴史上初めて出現します。
後に、工業化によって多くの国が、同様な都市問題を経験するのですが、イギリスでは世界初の経験でした。
多くの人が、驚きを持って、当時のイギリスの都市の状態を書き記しています。

 「平均寿命の比較調査」でも、農村地帯であるラトランド州では「知識層・ジェントリ地主」は52歳、労働者は38歳であり、どの身分でも都市住民より長命です。
都市は大気汚染や伝染病の蔓延など、劣悪な衛生環境に在った事が想像できます。

続く・・・
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