人類の軌跡その453:アメリカ合衆国⑤
<アメリカ合衆国の発展その⑤>

◎奴隷制度への批判
南北の対立は、経済的な理由だけではありません。
南部で行われている奴隷制度も、対立の大きな原因でした。
「すべての人は平等につくられ、造物主によって、一定の奪いがたい天賦の権利を付与され…」と謳った独立宣言と奴隷制度が相容れる筈は無く、そのことは、当時のアメリカ人も当然わかっていました。
奴隷制度反対の世論を一気に盛り上げたのは、ストウ夫人の小説『アンクル・トムズ・ケビン』(1852)でした。
『アンクル・トムズ・ケビン』
主人公トムは黒人奴隷で、さるプランテーションで働いています。
働き者で正直で、熱心なクリスチャンで、白人から見たら理想的な奴隷です。
農場主である主人も、それなりに良心的な人物で、トムは妻子(もちろん奴隷)を持ち、農場の中の小屋に家族と共に生活しています。
農場主には男の子が居り、この少年が奴隷のトムが大好き。
何時もトムの小屋に遊びに行き、トムも、この少年を可愛がっていました。
ところが、農場主が事業に失敗、借金を抱えて農場を手放す事に成り、農場で働いていた奴隷達も、売られていく事になりました。
トムの様に、家族のいる奴隷にとって、これは悲惨な事で、妻も子供も、バラバラに引き裂かれて売られていく事に成ります。
トムが売られていく時に、農場主の息子の少年が、トムに約束すします。
「ぼくが大きくなったら、農場を取り戻し、トムを買い戻すから」と。
物語は、ここからトムの人生を辿り、彼は様々な白人に転売され、色々な主人に仕える事に成ります。
いくら正直者のトムでも、主人次第でその運命はどうなるか判りません。
読者は、「何とかしてやれないのか」ともどかしい思いで、トムの運命を読み進む訳です。
トムが最後に売られた先が、サディストの白人農場主、奴隷に暴力を振るうのを楽しみにしている様な人物です。そこでも主人には逆らわないトムですが、或る日、主人が、女奴隷に暴行しようとするのを思わず邪魔してしまう。怒り狂った主人が、トムに無茶苦茶な暴行を加え、虫の息に成ったトムが言葉に成らない言葉を呟いているので、何を言っているか聞いてみたら、「この人も神様が救ってくださいます様に」と祈っています。
それを知って、主人は更に逆上、暴行は加速、「重傷」だったトムは「重体」状態になり、瀕死で馬小屋か何処かに放り込まれます。
そこに、最初の農場の少年が成長して登場します。
成人した少年は、農場を再興して、約束どおりトムを探していました。
終に探して当ててみると、トムは当に死の床で、懺悔する少年が見守るなか、トムは死んでいきます。
少年は、ここで悟ります。
「トムを見つけて、買い戻せば良いと思っていたけれど、それは間違い。奴隷制度が問題にある。自分は故郷に帰ったら、農場の奴隷達をみんな解放する」と誓うのでした。
当時の北部の白人達も、この物語に賛同しました。
南部の人々は、「この様な事あるはずがない。何も知らない北部人の作り話だ」と反発した。
奴隷制度反対論は、新たな州が奴隷州か自由州かという問題、南北対立とが深く結びついていたのです。
その中で、奴隷制度の拡大に反対する共和党が結成され、1860年の大統領選挙で、それまで続いていた民主党に替わって、初めて共和党のリンカーンが当選し、南北はついに内戦に突入します。
続く・・・

◎奴隷制度への批判
南北の対立は、経済的な理由だけではありません。
南部で行われている奴隷制度も、対立の大きな原因でした。
「すべての人は平等につくられ、造物主によって、一定の奪いがたい天賦の権利を付与され…」と謳った独立宣言と奴隷制度が相容れる筈は無く、そのことは、当時のアメリカ人も当然わかっていました。
奴隷制度反対の世論を一気に盛り上げたのは、ストウ夫人の小説『アンクル・トムズ・ケビン』(1852)でした。
『アンクル・トムズ・ケビン』
主人公トムは黒人奴隷で、さるプランテーションで働いています。
働き者で正直で、熱心なクリスチャンで、白人から見たら理想的な奴隷です。
農場主である主人も、それなりに良心的な人物で、トムは妻子(もちろん奴隷)を持ち、農場の中の小屋に家族と共に生活しています。
農場主には男の子が居り、この少年が奴隷のトムが大好き。
何時もトムの小屋に遊びに行き、トムも、この少年を可愛がっていました。
ところが、農場主が事業に失敗、借金を抱えて農場を手放す事に成り、農場で働いていた奴隷達も、売られていく事になりました。
トムの様に、家族のいる奴隷にとって、これは悲惨な事で、妻も子供も、バラバラに引き裂かれて売られていく事に成ります。
トムが売られていく時に、農場主の息子の少年が、トムに約束すします。
「ぼくが大きくなったら、農場を取り戻し、トムを買い戻すから」と。
物語は、ここからトムの人生を辿り、彼は様々な白人に転売され、色々な主人に仕える事に成ります。
いくら正直者のトムでも、主人次第でその運命はどうなるか判りません。
読者は、「何とかしてやれないのか」ともどかしい思いで、トムの運命を読み進む訳です。
トムが最後に売られた先が、サディストの白人農場主、奴隷に暴力を振るうのを楽しみにしている様な人物です。そこでも主人には逆らわないトムですが、或る日、主人が、女奴隷に暴行しようとするのを思わず邪魔してしまう。怒り狂った主人が、トムに無茶苦茶な暴行を加え、虫の息に成ったトムが言葉に成らない言葉を呟いているので、何を言っているか聞いてみたら、「この人も神様が救ってくださいます様に」と祈っています。
それを知って、主人は更に逆上、暴行は加速、「重傷」だったトムは「重体」状態になり、瀕死で馬小屋か何処かに放り込まれます。
そこに、最初の農場の少年が成長して登場します。
成人した少年は、農場を再興して、約束どおりトムを探していました。
終に探して当ててみると、トムは当に死の床で、懺悔する少年が見守るなか、トムは死んでいきます。
少年は、ここで悟ります。
「トムを見つけて、買い戻せば良いと思っていたけれど、それは間違い。奴隷制度が問題にある。自分は故郷に帰ったら、農場の奴隷達をみんな解放する」と誓うのでした。
当時の北部の白人達も、この物語に賛同しました。
南部の人々は、「この様な事あるはずがない。何も知らない北部人の作り話だ」と反発した。
奴隷制度反対論は、新たな州が奴隷州か自由州かという問題、南北対立とが深く結びついていたのです。
その中で、奴隷制度の拡大に反対する共和党が結成され、1860年の大統領選挙で、それまで続いていた民主党に替わって、初めて共和党のリンカーンが当選し、南北はついに内戦に突入します。
続く・・・
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