2012/09/19

人類の軌跡その475:アジアに翻るユニオンジャック⑨

<アヘン戦争その③>

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◎アヘン貿易

 イギリスの望む綿工業製品の輸出は叶わず、対中国貿易の赤字だけが増大します。
この状態が何時までも続く事は、イギリスにとって最悪でな状態で、綿工業製品が売れなくても、とりあえず、何かを中国に売って、貿易赤字増大だけは防ぎたい。
そう考えたイギリスが始めたのが麻薬の密貿易でした。
具体的にはアヘンです。

 アヘンは「けし」の樹液から採取されます。
けしの花が咲いた後実がつくのですが、種が完全にできる前に実を傷つけると乳液が出てきます。
これを乾燥したものがアヘンです。

 此処で「けし」に関して、日本では、農業試験場等、特別に許可された農家だけが栽培しています。
けしの実が完全に熟すると、小さい種がたくさんでき、これがいわゆる「けし粒」。
アヘンを精製して造られる薬品がモルヒネです。
現在、病院で麻酔や鎮痛剤として使用されていますが、麻薬で有る事に代わりはなく、その取り扱いや管理も厳格です。

 アヘンを吸引した場合、幻覚作用が起こり、一種の無気力状態に陥ります。
気持ちよく寝ているが、麻薬だから、クスリが切れると禁断症状が起こり、やがては脳が冒されて廃人に成ってしまいます。
中国ではアヘンが流行し始めると、アヘン窟(くつ)淫語で呼ばれる、アヘンを吸飲させる専門店がたくさん出現しました。

 イギリスは、このアヘンに目に着目しました。
昔でも、麻薬は禁止なのは、当然で清朝でもイギリスでも許されものでは有りませんから、犯罪行為と知りつつ、これをイギリスは実行しました。
密貿易で中国にアヘンを販売すれば、アヘンは麻薬なので、中毒性が在り、簡単にやめることはできません。
一度アヘンの快楽を知った者は、その命が尽きる迄、アヘンを買い続け、吸飲が流行して中毒者が増えれば増えるほど、イギリスは富を得る事になります。

 イギリスは、このアヘンの生産をインドでおこないました。
インド農民に「けし」を栽培させ、アヘンを生産し、これを中国広東に運び密輸します。
この販売自体は、犯罪行為なので流石に東インド会社は直接取引に参加せず、民間業者に委ねました。密輸品のアヘンを広州港に持ち込めないので、イギリス商人は、沖合の島影にアヘン貯蔵専用の船を用意して、ここにアヘンを蓄えました。
そこに中国の麻薬販売業者が舟でやってきて、海上で取引がおこなわれますが、支払いは銀です。
 
 イギリス側は、中国人の好みに合わせて、アヘンの味等も改良を加え、中国でのアヘン貿易はどんどん発展してイギリスの対中国貿易の柱に成長して行きました。

 その結果、イギリス、インド、中国の間で、三角貿易が成立しました。
イギリスからインドへ綿工業製品が、インドから中国へアヘンが、中国からイギリスへ茶が輸出され、この商品の流れと逆方向に銀が移動します。
イギリスが買う茶よりも、中国が買うアヘンの金額が大きくなれば、イギリスの貿易は赤字から黒字に成り、実際に1827年には、アヘン貿易が茶貿易を逆転しています。

続く・・・

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