2012/09/20

人類の軌跡その476:アジアに翻るユニオンジャック⑨

<アヘン戦争その④>

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アヘン窟

◎アヘン貿易②

 中国流入アヘン量(年平均)は次の様に増加して行きました。

1800~1804年 3,562箱
1810~1814年 4,713箱
1820~1824年 7,889箱
1830~1834年 20,331箱
*1箱=約60㎏

1820年代くらいから急増しているのがわかります。

 アヘン貿易は中国に如何なる影響を与えたのでしょう?
アヘン貿易の拡大に伴い、銀が急激に中国から国外へ流出し、中国の貿易赤字が始まりました。
しかも、清朝の税制である地丁銀制では、税を銀で納める事に成っており、農民であれば、農作物を売って銀に換えて税金を支払うのですが、アヘン貿易による銀の大量流出で、中国国内の銀価格が高騰しはじめます。
通常より多くの農作物を売却しても、以前のように銀が手に入らず、税金を納める事が苦しく成りました。
之は事実上の増税で、銀の高騰は、諸物価も上昇させ、民衆の生活を圧迫するようになりました。
一方で、清朝政府としては、税金の滞納未納が急増し、物価高と合せて財政難に陥りました。

 又、アヘン中毒患者の増加は、風紀の乱れ、治安の悪化を招きました。
アヘン中毒患者の推定数は、1820年36万人、1829年100万人、1845年3000万人、当時の中国の人口がほぼ4億人ですから、中毒患者3000万人は、全人口の7.5%にあたります。

 中毒患者は、如何なる手段を講じても、アヘンを手に入れたいのですが、一所懸命働く訳では有りません。
財産を切り売りしてアヘンを買う。
家、土地を売って、売るものが無くなったら、女房子供を奴隷に売り、最後は、犯罪に走ってでもお金を手に入れるように成ります。
麻薬が蔓延する事は社会が崩壊する事で在り、アヘン貿易は、中国社会を危険な状態に追い込んでいきます。

 アヘン貿易は、インドにも被害をもたらし、飢饉の増大という形で現れました。
インド農民は、イギリスによって「けし」の栽培を強制される為、その分、食糧生産が減少するのです。
 
 イギリスにも影響が出はじめます。
インドでのアヘン生産が中国販売用としても、大量にアヘンを作ってイギリス国内に侵入しない筈は無く、この時期、イギリスにもアヘンが一般的に広がっていたようで、貧しい労働者の妻が、お乳を欲しがってなく赤ん坊に、アヘンを水に溶かしたアヘンチンキを飲ませていた、と云う文章を目にした事が在ります。
低賃金で、お乳も出ないほどの苦しい生活をしていても、アヘンなら買えたのでしょう。

 私は子供の頃から『シャーロック・ホームズ』が好きです。
イギリスの作家コナン・ドイルが19世紀後半に書いた探偵小説ですが、子供向けに翻案したものではなくて、正規の翻訳を読むと、主人公ホームズは何か事件が発生すると、生き生きと行動するのですが、何も無い時は倦怠感に浸っている人物です。
小説を読んでいると、その様な時、刺激を求めてホームズがモルヒネを注射しているシーンが出てきます。
彼の設定は、成程と思わせるものが在ります。
更に『ホームズ』シリーズには、インド帰りの人物がしばしば登場します。
インドを支配しアヘン貿易を行なっていた、当時の大英帝国の状況を知っていると、此方も成程と思わせる物が多いものです。

続く・・・

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