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2013/01/05

歴史のお話その3:メソポタミア文明③

<メソポタミア文明③>

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◎大洪水(ノアの箱舟)

 人々が神に対する信仰を失い、自堕落な生活を送っている時、ノアだけが信仰を守って敬虔な生活をしていました。
神は、信仰を忘れた人類を滅ぼそうと考えたのですが、ノアだけは助け様とします。
或る日、「方舟をつくれ」と、ノアにお告げ、ノアはお告げに従って、家族全員で箱舟をつくりました。
「長さ300キュビト、幅50キュビト、高さ30キュビト」と、神は方舟について細かいお告げをします。
他の人々は、そんなノアを笑うのですが、やがて大洪水が襲い、方舟に乗り込んでいたノアの家族と、あらゆる動物をつがいだけが難を逃れるのです。

 このノアの方舟の話も、シュメール人の話に起源が在るのです。
シュメール人が残した粘土板の中に『ギルガメシュ叙事詩』と呼ばれる物語が在り、そこにノアの箱舟と良く似た話が書かれていました。
 
 神のお告げ、「シュルパックの人、ウパラ・トゥトの息子よ、家を打ち壊し、舟を造れ。(中略)すべての生きものの種を舟に積み込め。おまえが造るべきその舟は、その寸法を定められた通りにせねばならぬ。(中略)六日六晩にわたって、嵐と洪水が押し寄せ、台風が国土を荒らした。七日目が巡ってくると、洪水の嵐は戦いに敗れた。(中略)そしてすべての人間は泥土に帰していた。(中略)舟は六日間ニシルの山にとどまった。(中略)七日目、私は鳩を解き放してやった。鳩は立ち去ったが、舞い戻ってきた。(中略)私は大烏を解き放してやった。大烏は立ち去り、水が引いたのを見て、ものを食べ、飛び回り、帰ってこなかった。そこで私は(中略)、生け贄をささげた。」(ギルガメシュ叙事詩の洪水物語、高橋正男訳)

 聖書にも大嵐がおさまった後、ノアが鳥を飛ばして陸地が現れたかどうか確かめる場面が在りますが、大変良く似ています。

 キリスト教を信仰するヨーロッパ人は聖書に書いてある事は、真実の物語と考えていたのですが、『ギルガメシュ叙事詩』が発見されることによって、旧約聖書が成立する1000年以上前に、その原型となる話が存在する事が解ったのです。

 洪水神話はメソポタミア地方全域で広く普及した物語であったのでしょう。
古代の説話のひとつとして、聖書が相対化されたという意味で、ヨーロッパ人にとってギルガメシュの物語は大発見でした。

 実際にシュメールの遺跡発掘が進む過程で、彼等の都市国家が大きな洪水に襲われている事も判って来ました。

 『ギルガメシュ叙事詩』には、次の様な記述も在ります。
或る時ギルガメシュは、太陽神ウトゥに訴えます。
「心悲しいことに、わたしの町では、人はすべて死ぬ。わたしは城壁の外を眺めていて、死体がいくつも河面に浮いているのを、見てしまったのだ」

 ティグリス・ユーフラテス河の氾濫の記憶がしだいに大洪水の神話物語に発展したのだと云われています。

メソポタミア文明・続く・・・
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