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2013/01/22

歴史のお話その18:オリエント史③

<オリエント史③>

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セシル・D・デミル「十戒」パラマウント映画1956年度作品より

ヘブライ人

 彼等はその宗教で、後の時代に大きな影響を与える事に成ります
ユダヤ教はやがて、キリスト教、イスラム教の基礎と成りました。

 ヘブライ人は部族集団に分かれて、オリエント地域の到る処で遊牧を中心に暮らしていました。
紀元前1500年頃、一部がパレスチナ地方に定住を開始し、一方別の集団はエジプトに移動しました。しかしながら、エジプトでは、彼等の境遇は悲惨でファラオから次々と圧迫をうけるのですが、聖書にはエジプトを「奴隷の家」と表現される程でした。
そこで、エジプトから逃れようとするのですが、これが有名な旧約聖書の「出エジプト(Exodus)」の物語に成ります。

 時は紀元前13世紀頃、脱出するヘブライ人達を導いた人物がモーセです。
聖書ではモーセは神に導かれ、様々な奇跡を起こしながら、ヘブライ人をエジプトから脱出させるのですが、そのクライマックスが紅海の道を渡る物語です。
チャールトン・ヘストン主演の『十戒』でも描かれているので、私達にも馴染みのあるお話です。

 映画では逃げるヘブライ人の集団を追ってファラオの軍勢が迫って来ますが、モーセ一行の前には紅海が広がり逃れる場所は在りません。
「こんな事なら奴隷でもいいからエジプトにいるべきだった」等の言葉も出る始末ですが、モーセが皆に向かって「主の救いを信じなさい」と叫び、持っている杖を海に差し出すと、暴風が吹いて海が二つに割れ、海の底に道が現れます。
ヘブライ人達はその道を通って逃げる事が出来ましたが、後から追いかけてきたファラオの軍勢が海の道に入ると、とたんに海水の壁が一気に崩れてきて兵士も馬も皆溺れ死んでしまいます。

 現実に起こった現象では無いものの、苦難の末にヘブライ人達が、エジプトから逃げてきた事を象徴している物語と思います。

 エジプトから逃れたモーセ達はシナイ半島に入り、此処で、モーセは神の声に導かれてシナイ山に登ります。
山に登ったモーセに神が語りかけるのですが、此処がユダヤ教成立の第1段階です。
その言葉は「神様は唯一」「他の神様を信じてはならぬ」、これが一神教です。

 旧約聖書では、「私は御前の神ヤハウェ、エジプトの地、奴隷の家から御前を導き出した者である。御前には私以外に他の神が在ってはならぬ。……」
この様に、神の戒自が十個続きますが、宗教なので命令ではなくて戒律なので、「十戒」と呼ばれ、モーセが神と結んだ契約です。
神はこの十戒を自らの指で2枚の石版に刻んでモーセに授け、モーセは山から下りて、ヘブライ人たちに教えを伝えます。

 その後、モーセに率いられたヘブライ人の集団は放浪生活を続けるのですが、長い年月(一説には40年)の後に、ヨルダン川を渡りパレスチナ地方に定住したようです。
 
 さて、このモーセに関する話、余りに非現実的なので、このまま歴史として信じる方は少ないと思いますが、ヘブライ人達がこの物語を信じていた事は明白で、そして信じる事によって彼等は歴史に独特の足跡を残すのです。

 現実の歴史としては、ヤハウェ神への信仰と十戒を持つ様になったヘブライ人達は、紀元前10世紀に自分達の国家を建設します。
この国家がヘブライ王国で、場所は現在のイスラエルとほぼ同じ、首都はイェルサレム。
この町は、後世にイエスの活躍の舞台に成り、イスラム教を伝授したムハンマドが天に昇った場所とされていて、現在でもユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖地なのです。

 ヘブライ王国は、ダヴィデ王、ソロモン王の時代に中継貿易で繁栄しますが、そののち南北に分裂、北部に成立した国家がイスラエル王国(紀元前932年~紀元前722年)、南部に成立した国家がユダ王国(紀元前932年~紀元前586年)。
イスラエル王国はアッシリアにより征服され滅亡し、ユダ王国はアッシリア時代には、国家を維持しますが、アッシリア滅亡後のメソポタミアに成立した、新バビロニア王国に征服されました。

オリエント史・続く・・・
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