2013/01/30

歴史のお話その25:東地中海に開花した文明③

<東地中海文明③>

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◎トロヤ戦争

 シュリーマンが信じたトロヤ戦争の話をご紹介。
女神テティスが人間の男性ペーレウス(ギリシアの王の一人)と結婚するところから始まります。
女神と人間の結婚なので、披露宴は盛大に行われ、神々も出席し、ギリシアの主だった王様達も列席します。
祝宴は大いに盛り上がるのですが、一人だけ宴会に招待されなかった女神がいました。
これが、嫉妬と争いの女神エリスなのですが、結婚披露宴に嫉妬と争いは不要ですかね。
ところが、エリス女神は披露宴に呼ばれない事に嫉妬してしまい、腹を立てた彼女は、披露宴に争いを持ち込みます。
その方法は、宴会場に黄金のリンゴを投げ込むのですが、突然、宴会場に転がり込んできた黄金のリンゴを取り上げて見ると、次のような言葉が書かれていました。

「最も美しい女神へ」

 さて、「そのリンゴは私が貰う権利がある」と、三人の女神が名乗りを上げました。
「私が一番美しい」と三人の女神は大喧嘩を初めてしまい、宴会の席は滅茶苦茶に成ってしまいました。
三人の女神の顔ぶれは、女神ヘラ、彼女は主神ゼウスの妻で、女神の中では一番偉い、世界の支配を司ります。
次が女神アテナ、戦いの女神、最後が美の女神アフロディーテでした。
 
 「私は美しい」と、論戦を展開するのですが決着が着かず、そこで三人はゼウスの処に行って、「誰が一番きれい?」って聞くのですが、ゼウスも困ります(当然)。
思った事を言って残りの二人に恨まれたらたまりません。

 そこで、ゼウスは「美の判定者」を指名して、その人物に最も美しい女神を決めさせる事にしましたが、「美の判定者」とされたのが、人間の羊飼いの少年パリスです。

 此処まで来ると、女神達は意地でも「美しい」と言われて、黄金のリンゴを手に入れたい訳なので、
女神達はパリスのところに行って買収工作をするのです。
その内容は、
 ヘラは、一番にしてくれたら、「貴方を世界の支配者にしましょう」。
 アテナは「あらゆる戦での勝利が、貴方のものに」。
 アフロディーテは「人間の中で一番の美女を貴方の妻に」。
 まさに三択問題です。
この内容は、ギリシア人の人生観が伺えて、最高に面白いですね。

 結果的にパリスは、美女を選択しますが、世界の支配よりも、勝利よりも、美なのです。
ギリシア人らしい選択と思います。

 さて、最も美しい女神はアフロディーテで決着し、彼女は、約束どおり最高の美女をパリスに与えるのですが、それがなんと人妻だったのです。
ギリシアは、スパルタ王メネラーオスの妻ヘレネーです。
パリスは、アフロディーテの手引きで彼女を拐って、自分の妻としますが、パリスは実はトロヤの王子だったのです。
妻を略奪された、メネラーオスは当然激怒(当たり前!)して妻を取り返すため、兄のミケーネ王アガメムノーンに助力を頼みます。
アガメムノーンは、全ギリシアの盟主なので、彼の号令で、全ギリシア軍が出動しました。
海を渡ってヘレネーを奪い返す為に、トロヤに攻め込みましたが、これがトロヤ戦争です。

 ギリシア軍の中には、ギリシア随一の戦士アキレウスもいます。
アキレウスは戦争の発端となった宴会の主役女神テティスが、人間との間に生んだ子で、テティスは死すべき定めにある人間の息子を不死身にする為に、生まれたばかりのアキレウスを不死の泉に浸けます。
その時テティスは、アキレウスの足首をつかんでいたので、そこだけが不死の泉に浸からず、彼の唯一の弱点となります。(アキレス腱)
 

 この様な話を信じて、トロヤを発掘しようとするシュリーマンは、凄いと思います。
ミケーネの遺跡からは、黄金の仮面が出土しており、これは「アガメムノーンのマスク」と呼ばれています。

 このトロヤ戦争が始まって10年目、戦争の最終段階をアキレウスを主人公に描いたのが、ホメロスの叙事詩『イーリアス』です。
因みにホメロスは、紀元前8世紀のギリシア詩人です。
叙事詩『オデュッセイアー』もホメロスの作品で、これは、ギリシア随一の知恵者オデュセイウスがトロヤ戦争の終了後、トロヤから故郷へ帰る長い旅を描いた物語です。

 トロヤ戦争の最終段階でトロヤを撃破する作戦を考えたのが、オデュッセイウスでした。
両軍とも名だたる英雄、勇士は次々に死んでいき、それでも決着はつかず、オデュッセイウスは有名な「木馬の計」を提案します。
全ギリシア軍は撤退するふりをしてトロヤの海岸から引きあげて、浜辺には大きな木馬だけが残っているのですが、木馬にはギリシアの戦士が隠れているのです。

 トロヤ側は「今日も戦だ」、と海岸に来てみるとギリシア軍がおらず、撤退したと思いこみます。海岸に残された木馬を戦利品として、トロヤ城内に持ち込んで、夜は勝利の宴会でした。
トロヤの兵士達が飲みつぶれたのを見計らって、隠れていたギリシア兵が木馬から忍び出、内側から城門を開き、外の兵と合流してトロヤを攻略し、トロヤは炎上して滅亡したと云います。
このトロヤの陥落炎上を描いた絵本が、シュリーマンに強烈な印象を与えたのでした。

東地中海文明・続く・・・

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コメント

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こんばんは

たしかに神話を引用されると、シュリーマンの信念が風変りであることを再確認できます。
普通の考古学者ではなかったからできたことですし、遺跡を破壊しながら発掘する乱暴な発掘も、後には非難されることになりました。
それを差し引いても、立派な業績ではありますが。

バタバタしており、ご訪問が十分でなくすみません。
1ヶ月ほどは、ご容赦ください。

とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。