2013/02/20

歴史のお話その43:ギリシア・ヘレニズムの文化③

<ギリシア・ヘレニズム文化③>

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デルフォイの神殿跡

ソクラテスその②

 ソクラテス自身は本を残していませんが、彼の弟子や友人が彼の行動や言葉を記録しており、その幾つかをご紹介します。

 ソクラテスが40歳代の頃、彼の友人にカイレポンという男がいました。
カイレポンはソクラテスに心酔しておりある時、彼はデルフォイの神殿に行ったのです。
カイレポンは神様に尋ねました。
「ソクラテスよりも賢い人間がいるか?」と、すると巫女に神様が乗り移って言うには「ソクラテスより知恵のある者はいない」。
カイレポン、「やっぱり!」と嬉しくなってアテネに帰って、ソクラテスにその神託を教えたのです。
「デルフォイの神託で、お前がこの世で一番知恵のある男と分かったぞ!」。
当のソクラテスはそれを聞いて、「私よりも知恵のある人はたくさんいる。私が一番知恵者であるはずがない」。
しかし、ソクラテスもこの時代の人なので、デルフォイの神託を信じてもいる訳です。
神様が嘘をつくはずもない、とも思いました。

 そこで、彼は神託の真意を知る為に色々な人を訪ねてまわり、アテネで尊敬を集めている人、知恵者と呼ばれている人、立派な政治家、才能ある芸術家、その様な人物を次々と訪ねて、質問をぶつけてその人の持つ知恵について確かめたのです。

 例えば、ソクラテスはある人を訪ねて質問するのです。
「友人に嘘をつくことは正しいか、不正か?」
相手は答えます。
「それは不正である。」
更にソクラテスは質問します。
「では、病気の友人に薬を飲ませる為に嘘をつくのは正しいか、不正か?」
相手は答えます。
「それは正しい。」
そうすると、ソクラテスはここぞとばかりに突っ込むのです。
「貴方(貴女)は、先ほどは嘘をつくのは不正と言い、今は正しいと言った。一体、嘘をつくのは正しいのか不正なのか、どちらなのかね?」
聞かれた方も困ります。
「そういわれると私にはもう分からない。」
ここで、ソクラテスは追い打ちをかけました。
「貴方(貴女)は、何が正しいことで、何が正しくないかを知らないのに、今まで知っていると思っていたのですね。」

 この様な調子でソクラテスは、アテネの有名人を次から次へと質問責めにしたのです。
端から聞いていれば、こんなに面白い会話は在りません。
多分アテネの若者達が、ソクラテスについて歩いてこの様な会話を聞いたのでしょう。
若者達からは人気者に成りましたが、彼に質問責めにあった有力者達はたまりません。
皆の見ている前で恥をかかされるのですから、困った男と思われても仕方ないですね。

 ソクラテス、多くの人と話をして、最高の知恵者という神託について結論を出しました。
「自分より多くの知識を持つ者はたくさんいる。知恵の量では自分は取るに足らない者だ。しかし、自分と他の者には決定的な違いがある。自分より多くを知っている者も全ての事を知っているわけではない。なのに彼らは全てを知っているつもりでいる。私は何も知らない、無知である。しかし、自分が無知であることを知っている。もしも、自分が他の者より知恵があるとすれば、それを知っているからだ!」

これが、「無知の知」といわれるものです。

ギリシア・ヘレニズムの文化・続く・・・
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