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2013/03/23

歴史のお話その70:ローマ帝國の発展㉒

<ローマ市民の都市生活Ⅰ>

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ポンペイ出土、ローマ時代のパン

◎ローマの物価

 ローマ人がどの様な生活をしていたのでしょうか。
時代はカエサルから五賢帝時代、およそ紀元前50年から250年位を振り返って見たいと思います。
まず、古代ローマの貨幣について,貨幣価値に関する意見がさまざまあると思いますが、手持ちの資料で、2007年現在の日本の貨幣価値に置き換えてみたいと思います。
 
 ローマでは紀元前3世紀初頭から独自の貨幣が用いられ、その後、アウグストゥスが紀元前24年に貨幣制度を改革し、貨幣体系が確立します。
但し、彼は改革以前に存在した単位を大部分継承しているので、紀元前24年以前と全く違う貨幣体制ができたわけでは無く、特に紀元前46年にカエサルのもとで行なわれた鋳造策によって、貨幣体制は実質的に出来上がっていました。

 また紀元後にはインフレが進み、貨幣価値もめまぐるしく変わります。
アウグスティヌスの貨幣体系は3世紀後半まで続くのですが、以下の考察は1世紀末くらいまで、あくまでも参考と考えて下さい。

(1)ローマン・ポンドの金塊から作られる金貨の数

 アウグストゥス時代(前27~後14): 40枚
 ネロ帝時代(54~68): 45枚
 カラカラ帝時代(198~217): 50枚

(2)小麦の値段

 古代ローマ人の主食は「小麦」でした。
 小麦の価格は、貨幣の価値を判断するのに役立つと思います。

 小麦1モディウス(6.55キログラム): ローマでの平均価格は3セステルティウス(12アス)
 1人分の消費量: 月5モディウス(32.75キログラム)、1日約1キログラム(約1.83アス)
 1人1日分の小麦量: 約1キログラムは1.83アスとなる。

 これをパンに加工するとして、1日に必要なパンの値段は、約2アス。
 【参考】 大麦1モディウス(6.55キログラム): 1.5セステルティウス(6アス)= 小麦の半値
 1人1日分のパンの値段: 2アス

(3)貨幣価値

 手持ちの資料では1アスを80円と仮定しています。
 1アス= 80円
 1セステルティウス= 320円

(4)生活費

最低限の生活
 家族4人がぎりぎり最低限の生活を1年間送ることができる額は、400セステルティウス (12万8千円)。
 = 4人、1ヶ月: 約33.3セステルティウス (10656円)
 = 4人、1日: 約1.11セステルティウス =4.44アス (355.2円)
 = 1人、1日: 約1.11アス (88.8円)

中間層の生活
 首都ローマの市民1人が、こざっぱりとした程度に生活しうる生活費は、1年で2万セステルティウス(640万円)。
 = 1人、1日: 約54.79セステルティウス =219.16アス (17532.8円)
 
 但し、この数字は紀元前100年頃で、紀元前46年以降では、この当時よりもインフレが多少進んでいると思われ、この様に年間2万セステルティウスで生活するローマ市民1人が、質素に暮らしつつも必要な奴隷の数は最低2人とみなされています。

ローマ・続く・・・

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コメント

非公開コメント

こんばんは

1年で640万円というのは、現代の感覚からは少し高くも感じます。
市民というのは奴隷を持つほどですから、恵まれた人々なのでしょう。