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2013/03/26

歴史のお話その72:ローマ帝國の発展㉔

<ローマ市民の都市生活Ⅲ>

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ローマ・カラカラ浴場

(7)浴場と貴族の宴席

 市民サービスとして有名な施設が公衆浴場です。
カラカラ帝の造った施設が規模の大きさで有名ですが、それ以外にもローマ市内には千軒以上の公衆浴場が在りました。

 浴場と訳していますが、日本の銭湯とは意味が全く異なります。
日本語に翻訳する時に当てはまる言葉が無く、公衆浴場と訳されて教科書や資料集もそう書いて在りますが実態は全く異なります。
日本にもこれが普及している、フィットネス・クラブとかスポーツ・クラブとか呼ばれている施設が
当に其れです。

 入場料は非常に安く、1/4アス=20円としますが、本当に其れくらい安い利用料金だったのです。
入場するとまずトレーニング・ルームが在り、そこでレスリング、球技、円盤投げ、やり投げの練習で一汗流します。
次はマッサージ・ルーム、ここで身体を解してもらって、いよいよ入浴。
これはサウナで、低温サウナで慣らしてから高温サウナと、二つのサウナが在った様です。
身体をきれいにして暖まった後は、最後にプールでひと泳ぎ。
まさしく、フィットネス・クラブです。

 この後、遊戯室や談話室で、友達と談笑したり、何かのゲームをしたりしていると、やがて腹が減ってきます。
その食堂、景気の悪い時でも最低6皿の料理が出され、そのうち2皿は肉料理、当然ワインも在って是等は別料金では無く、最初の1/4アスの入場料で最後迄遊んで食べられる訳です。
これがローマの公衆浴場です。

 一般市民でこの様な待遇ですから、裕福な市民や貴族はどうでしょう?
この風呂やプールを自宅に持っている人々ですから、彼らの贅沢を言い出したらキリがないので、食事風景を紹介します。

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ローマ貴族の生活風景

 貴族達はしばしば宴会を開きます。
この様な場合、主催者は金に糸目を付けず珍味を手に入れて来て、風変わりな調理を施して、次から次へと食事を出したそうです。

 尚、宴会に出る者達は食事服というものを着ますが、これは食事の時だけ着る使い捨ての服です。
寝そべって食べるのが、正式な食事のマナーです。
彼らは箸(?)もフォークもスプーンも使わず、食事は手づかみです。
寝そべって手づかみで食べるのですから、手はすぐに汚れるのですが、その手を食事服で拭うわけです。
汚してもよい服が食事服なのですが、彼ら金持ちはこの食事服に金をかけて、贅をこらしたりするのです。
その高価な食事服を惜しげもなく汚して、一回の宴会で何回も着替えたりする者も居る訳です。

 彼らの生活は散財する事に情熱をかけ、それが地位・富の象徴だったのでしょう。
アピキウスと云う大金持ちの話があります。
この人は、食道楽でさんざん浪費した後、後10億円分の財産が残っていたのに、貧乏では生きている意味がないと言って自殺しました。

 宴会は続きます。
次々に食事は出てきます。
出席者、満腹でもう食べられません。
そうすると侍(はべ)っている奴隷を呼び、宴会場には多くの奴隷が居るのですが、孔雀の羽を持っている奴隷がおり、その奴隷がその貴族に近づくと、貴族は上を向いて口を開け、奴隷がその口の中に羽を突っ込みますが、満腹の喉に異物を突っ込まれますから、当然戻しますね。
お腹の中のものをすっかり吐き出して、貴族はまた新たな皿に挑むのです。
戻した物は、別の奴隷がきれいに処理してくれます。
これは明らかに異常な光景で、この様な暮らしぶりを退廃と呼ぶのだと思います。

ローマ・続く・・・

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