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2013/04/16

歴史のお話その90:キリスト教の成立④

<キリスト教の成立④>

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イエスの伝道

3、イエスの教えその2

 ユダヤ教のヤハウェ神は厳しい怒りの神です。
アダムとイヴが知恵の実を食べた結果は、楽園追放、人間に堕落に怒り、ノア以外の人類は洪水で破滅させ、バベルの塔も破壊して人類を四方に飛ばして言葉を乱したのです。
怒って罰を与える怖い神と恐れられていましたが、この神の解釈をイエスは変えてしまったのです。

 怒りの神から愛の神へ転換。
神が我々を愛してくれている様に、我々も敵味方の分けへだてを止める様に説きます。
「右の頬を打たれたら、左の頬も差し出せ」、汝の敵を愛せという事ですね。
この言葉は、すごく衝撃的な響きを持って当時の人々に、受け入れられたと思います。
中東地域の伝統は何かと云えば、ハンムラビ法典以来、「目には目を、歯には歯を」の世界です。従って、右の頬を殴られたら殴り返すのが常識、ところが、イエスは左も殴らせてやれ、言ったのです。

 人間は、それまで疑った事もなかった常識を一気にひっくり返された時、そのものに強く惹かれると感覚が在ります。
イエスは当にその効果を狙ったのでしょう。

 それから、イエスは説法で「時は満ちた、神の国は近づいた」と云います。
この「神の国」は「イスラエル」と発音したらしく、イエスの話を聞いた人々の中には「イスラエル」という言葉から過去に栄えたユダヤ人の国家イスラエル王国を連想する人々も数多く存在しました。
その人達にとって、イエスは宗教家の姿を借りてローマからの独立、ユダヤ人国家の復活を計画しているのだ、と期待します。
宗教的な救いと政治的な救い、周囲の人達はイエスに様々な期待を持つ様になります。

 イエスの活動で避けて通れないのが奇跡です。
言葉による布教と同時にイエスは行く先々で奇跡を起こします。
具体的には病癒しが多く、イエスが何処かの町に現れると人々が、病人を連れて来て一種の喧騒状態に成る事が聖書には書かれています。

 イエスの病癒しには、盲目の人の目を開いたり、血の道で苦しむ女性を治したり、色々と出てきますが、精神的な疾患と考えられるものも可也在るのです。
そこへイエスが現れて、悪霊祓いを行い、権威ある者の様に「あなたは治った、大丈夫だよ」と言われたらそれだけでホントに治ってしまう、その様な事は実際に在ります。

 イエスの奇跡の話は聖書にたくさんでてきます。
なかには荒唐無稽なものも多く在る事も事実。
イエスの説教に数千人が集まり、この聴衆にイエスの弟子が食事を配るのですが、パンが5つと魚が2尾、それが総てにも関わらず、全員に配れたという話。
それから、ラザロという若いイエスの支持者が無くなり、イエスが死後数日後に「ラザロ出てこい」と呼びかけると、ラザロが生き返って墓穴から出て来るお話。
これらはイエスの死後、伝説として創作されたと思われますが、要点はこんな荒唐無稽な話でもその当時の人々が「イエスならありえる話だ」と受けとめたということでしょう。

キリスト教の成立・続く・・・

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