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2013/05/03

歴史のお話その105:インダス文明⑨

<ウパニシャッド哲学と新宗教④>

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≪ ラーナクプル・アーディナータ寺院 ≫

◎ジャイナ教とは

 開祖はヴァルダマーナ(紀元前563年~紀元前477年頃)、尊称マハーヴィーラ(偉大なる英雄)。彼は「輪廻」の原因である「業」を身体に付随した物質と考え、苦行を行う事によって前世から付き纏う「業」を消去し、新たな「業」が生じない様にできると考えました。
その為に苦行と徹底した不殺生を説きます。

 「不殺生」、生き物を殺さない事ですが、仏教でも使う言葉なので理解できると思います。
なぜ、生き物を殺さないのでしょう。
此処で云う「不殺生」は、ヨーロッパ的動物愛護精神とは全く関係在りません。
「輪廻転生」をインド人は信じており、死んだら何か別の生き物として生まれ変わります。
例えば、蚊が腕に止まって血を吸っていたら、たたいて殺したくなるのですが、「輪廻」を信じていたらこの行為は不可能です。
何故なら、この蚊は過去に逝去した、友人、知人、家族の生まれ変わりかも知れません。

 「菜食主義」も同じ発想から生まれてきます。
レストランで食事を注文したら牛の肉がでてきました。
しかしこの肉に成ってしまった牛は、過去の知人、友人、家族の生まれ変わりかも知れないと考えたらとても食べられませんね。
この部分が、「不殺生」や「菜食主義」の生まれてくる理由です。

 ジャイナ教は徹底した不殺生で、絶対に生き物を殺しません。
歩いたら蟻等を踏んで殺すといけないので、できる限り歩かず、じっと座って信者がお布施してくれるのを待つのです。
どうしても歩かなければならない時は箒を持って、一歩一歩地面をはいて虫がいないことを確認してから足を踏み出すのです。
ゆっくりとしか歩けませんが、修行ですから仕方が在りません。

 修行者は服を着ている事も在りますが、マハーヴィーラ自身は裸でした。
一切の財産を持たないので、衣類まで捨ててしまいますが、後の時代には衣類を身につけるグループも出てきたものの、初期のジャイナ教とは皆裸です。
今でも全裸の修行者はインドに居り、確か私は高校生か大学生の頃、テレビでインドの聖地の祭りをNHKで特集していたのですが、全裸の男性が一瞬ですが写っていました。
但し、ジャイナ教徒かどうかは分かりませんが。

 苦行は基本的には断食で、「業」を消した後は新しい「業」が身に付かないように断食しながら餓死することを勧めていたようです。
「梵我一如」を実現したのなら、生きている意味も無くなっていますから、そのまま死を迎えましょうと諭しているのです。

 ジャイナ教は現在でも信者がおり、商人等の資産家が多いとの事です。
農業に従事すると土の中のミミズやなんかを殺すかも知れないから、古くからジャイナ教徒は商業に従事したようです。
商人ではありませんが、インド独立の父として尊敬されているガンジーもジャイナ教徒の家に生まれています。

インダス文明・続く・・・
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