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2013/05/16

歴史のお話その116:古代王朝②

<周その2>

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◎周の東遷

 周の時代は大きく二つに分かれ、前半を西周(紀元前1027年~紀元前771年)、後半が東周(紀元前770年~紀元前256年)です。

 前半の都が鎬京、後半の都を洛邑(らくゆう)と云い都が東に移った関係で東周と区別しています。

 遷都について面白いお話があります。
「幽王と褒ジ(ほうじ)の物語」
都が移った時の王が幽王、褒ジはその妃なのですが、絶世の美女でした。
幽王の寵愛を一身に受けたのは勿論ですが、褒ジ妃には一つだけ変わったところが在りました。
彼女は生まれてから一度も笑ったことが無く、いつもすました顔を見せています。
美人なのだから笑顔はどれだけ素晴らしいだろうと幽王は常々思い、そこで、道化師を呼んだり喜劇を見せたり色々なことを行うのですが、何をしても褒ジは笑いません。
この様な状況が続くと、幽王はなにが何でも笑顔が見たいとの願望が、どんどん高まってきます。

 月日が流れる内に、西方から異民族が鎬京を襲撃しました。
この様な時は、鎬京から狼煙をあげて東方の諸邑の諸侯に救援を求めることに成っているので、幽王は狼煙を上げ、それを見た諸侯達は、一大事と手勢を率いて全土から鎬京目指して駆けつけてきます。

 ところが鎬京の城外に集結してみると、異民族の襲撃は誤りで、「いざ鎌倉」とばかりに息せき切って駆けつけてきた諸侯の軍隊は、拍子抜けして肩を落としました。
その光景を城壁の上から褒ジは見ており、大の男達が拍子抜けする様子が面白かったのでしょう。
僅かな微笑みを漏らし、その光景を幽王は横から見てしまいます。
やはり予想通り、素晴らしい美しさで、「もう一度見たい」、と幽王は思ったのです。
どうすれば彼女が微笑むかも判りました。

 こうなると「狼が来たぞ!」のお話の通り、非常事態を知らせる救援要請の狼煙を幽王はあげてしまいます。
幽王が狼煙あげ、諸侯駆けつけ、敵いない、落胆、褒ジ・微笑む、幽王満足、このパターンが何回も続くうちに諸侯も理由が判ってきます。
「王は妃の笑いを見たいが為に我々をだしに使っている。もう狼煙があがってもいざ鎌倉は無い」。当に狼少年の話と同じです。

 やがて、本当に異民族が鎬京に攻め込んできます。
幽王は必死に狼煙をあげるのですが、諸侯は誰一人として救援に駆けつけず、そのまま鎬京は陥落して周は都を東の洛邑に移した、と云うお話ですが、此れも傾国の美姫の喩えでしょうか。

 この話は物語ですが幾分かの真実も含まれていると思われます。
第一に、周が西方辺境の異民族統治に失敗して混乱の中で都を放棄せざるを得なかった事実。
第二に、宗族として本家である周王を盛りたて助けなければならない諸侯が、それを行わない様になり、宗族、宗法の絆がゆるみ始めていること。

 遷都以後、東周の王は名目だけの存在と成り、諸侯を統制するだけの力も権威も無く成り、諸侯の自立化が始まるのです。

 この東周の時代が更に前後半に分けられ、前半を春秋時代(紀元前770年~紀元前403年)、後半を戦国時代(紀元前403年~紀元前221年)と呼びます。
春秋時代は周王の力が衰えましたが、諸侯達の意識として王様を盛りたてなければいけないという意識がまだそれなりにあった時代で、宗法が人々の意識を縛って時代です。
そして、その様な古い意識をかなぐり捨てたのが戦国時代です。

周・続く・・・

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