2013/09/17

歴史のお話その212:語り継がれる伝説、伝承、物語②

<歴史に語り継がれる伝説:失われた国々>

Pembroke-south-Wales-coast-sea-rocks_2560x1600_convert_20130917073955.jpg
ウェールズ海岸

◎イギリスの伝説

 伝説によれば、ブリテン諸島を取巻く海は、少なくとも3つの豊かな大国をその底に沈めました。
一つ目は、ティノ・ヘリグで、現在のコンウェイ湾となっている場所のグウィネッドから北へ国でした。

 ティノ・ヘリグは西暦6世紀に、王達が犯した罪に、神の罰が下り滅ぼされた様です。
王達は、現在のウェールズ海岸から約3kmの海中にあたる地点に在った、リス・ヘリグ宮殿に住んでいました。

 現地に伝わる伝説では、王国に悲劇をもたらしたのは、ヘリグ・アブ・グランナウグ王の罪であったと伝えています。
傾れ込んだ海水は、王とその息子達を除いて、すべての人間を溺れさせました。
生き残った王達は、改心して真面目な生活を送ったと云います。

 ウェールズ海岸のこの地方に住む人々は、何世紀にも亘って、引き潮になると宮殿の遺跡が海中に見えると言い伝えてきました。
しかし、1939年に実施された海底調査の結果、2万㎡にも及ぶ「遺跡」は自然石の集合体で、遥かな太古に沈降した事が判明しました。

◎乱行の果てに

 同様の調査がカーディガン湾でも行われ、もう一つの「失われた国」の伝説も、古くからの夢を裏切ってしまいました。
この国も又、人間の過ちの為に破滅したと云われており、ロウランド・ハンドレッドの物語は、ティノ・ヘリグ伝説の変形であった可能性が強いと思われます。

 この伝説によれば、ロウランド・ハンドレッドは肥沃な大地を持った富裕な国で、その長さ65km、幅32kmの土地を有し、現在のバードジー島と本土を繋いでいました。
堤防と堰が、海から国土を守っており、首都はカエル・グウィッドノと呼ばれ、6世紀初頭、国王グウィッドノ・ガランヒルはここに宮殿を構えていました。

 或る日の事、この国で祭りが催された時、故意にか?戯れにか?、堰の水門が不意に開かれ、国土の全ては海に飲み込まれ、助かった住民は少数でした。

◎失われた故郷の物語

 イングランド南西端のランズエンド岬の西方には、セブン・ストーンズと名前の岩石群が在り、コーンウォールの漁師達の中には「ザ・タウン」呼ぶ者も居ます。
この岩はかつて、コーンウォールとシリー諸島を結んで栄えていたと伝えられる、王国ライオネスの首都の遺跡とされています。

 西暦5世紀、海は驚くべき速度で、ライオネスの国土を侵食し始めました。
住民の中でトレベリアンと言う名前の男性だけが、差し迫る危機を感じていました。
彼は家族をコーンウォールに非難させた直後、ライオネスの国土は大西洋に飲み込まれます。
トレベリアンは馬に乗って、コーンウォールに辿り着く事が出来、生き残ったのは、彼と家族だけでした。

 16世紀になり、セブン・ストーンズの近郊で窓枠等の建具が、漁師の網にかかった事から、ライオネスの首都がその位置に在ったと考えられる様に成りました。

 さて、ティノ・ヘリグもロウランド・ハンドレッドもライオネスも、神話の部類に属するとは言え、これら3つの国の領地には、かつて確かに人が住んでいました。
シリー諸島周辺やコーンウォール、ウェールズ海岸沖の海底の沈降地盤から、住居跡が発見されています。
その場所に住んでいた人々は、次第に内陸部へ追いやられ、そして彼らの子孫の想像力が、波間に沈んだ故国の物語を美化したのでしょう。

続く・・・
スポンサーサイト

コメント

非公開コメント