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2013/12/16

歴史のお話その284:語り継がれる伝説、伝承、物語71

<切り裂きジャックその①>

JacktheRipper1888.jpg
1888年10月13日、イラストレイテド・ロンドン・ニュースによるイラスト。
「With the Vigilance Committee in the East End: A Suspicious Character」


◎伝説に残るロンドンの連続殺人魔

 霧の渦巻くロンドンの夜に、5度目立たない小男が出歩き、5度、男は町の女に声を掛けました。
そしてその度、女が死んで行きました。
ジャック・ザ・リッパー(切り裂きジャック)と呼ばれた殺人鬼の手口で、切り殺されて・・・。

 この小男が誰なのか、数十人の探偵がさまざまな推理をしましたが、決定的な解明をした者は居ません。
その残念な犯罪は、発生時点から120年余りを経た現在もなお、不可解で興味の尽きない謎なのです。

◎スラム街

 ビクトリア時代のロンドン・イーストエンドは、イギリスの表玄関の恥部でした。
腐臭を放つ通りの両側に小さな家が犇めき合い、塵に埋まっていました。
あばら家の中では、ぎっしり詰め込まれた住人達が、可能な限り自分の場所を確保しようと争い、戸外では男も女も子供達でさえ、惨めな稼ぎを得る為に血眼に成り、当たり前の様に法律を犯し、唯一の憂さ晴らしは、数ペニーのジンを買うことだけでした。
この貧困と悲惨の坩堝へ、切り裂きジャックが1888年の秋に踏み込み、恐怖とパニックが遣ってきました。

◎恐怖時代の幕開け

 メアリー・アン・ニコルスは、齢42歳を数え、男を引き付ける色香は失せかけ、その晩は安宿に一夜のねぐらを求める代金4ペニーさえ、持ち合わせていませんでした。
有り金全部をジンに費やしてしまい、だから狭い路地で男が一人近づいてきた時、メアリーはベッドでゆっくり手足を伸ばして眠る機会が来たとしか、考えませんでした。

 彼が物陰に彼女を引き寄せた時も、メアリーは別に驚くことは有りませんでした。
2~3m先には、通行人が居たのです。

 何か怪しいと彼女が気づいた時には、手遅れでした。
切り裂きジャックは、彼女の後ろに回り、口を手のひらで塞ぎ、それから、彼は女の咽喉を切り裂いたのです。
1888年8月31日金曜日の早朝、荷馬車の御者がメアリーの哀れな死体の発見者でした。
是が、切り裂きジャックの恐怖の始まりでした。

 其れから、1週間後、彼は次の仕事を行います。
犠牲者は、その後の犠牲者がすべてそうであった様に、売春婦で47歳のアニー・チャップマンでした。
彼女は、切り裂きジャックの魔手に掛かった時、重度の肺結核でしたが、その死体の足元には、彼女の指輪や僅かな所持金がきちんと並べられていました。
彼女の死に様も、痛ましいものでした。

◎疑心暗鬼

 イーストエンドには、様々な噂が飛び交い、殺人鬼はナイフを、小さな黒い袋に入れているとの噂が、一番に流れ、そのような袋を持っている人間が居ると、決まってヒステリー状態の群集に追い回される事に成りました。
自警団が組織され、街路を徹夜で巡回し、警察が誤認逮捕した人物も、数十人に上る有様でした。

 しかし、切り裂きジャックは何一つ手掛かり残さず、司法医師が推測出来たのは、犯人が左効きで、医学知識の心得が在ると言う事だけでした。

続く・・・

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