2014/03/10

歴史のお話その330:語り継がれる伝説、伝承、物語118

<テーベ・ネクロポリス>

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 上エジプトのナイル河畔、ルクソールにはテーベ・ネクロポリスと呼ばれる岩盤をくり抜いた、3000年前の墓所が在ります。
古代エジプト人が「永遠の家」と呼んだ貴人達の墓です。

 現在、エジプトを旅行する人々にとって、王家の谷はピラミッドと並んで人気のある観光地で、現地を訪問してこの両者を見学しない者はまず居ません。
しかしながら、本当にエジプトの歴史に興味を持つ人物に因れば、王家の谷は前評判ばかりが先行し、ラフミラやメンナ等貴人の墓の方が、遥かに興味深いものが在ると云います。
ファラオの陵墓と違い、そこには絵画や浮彫が在り、古代エジプト人の日常生活が再現されているからだと云われています。

 確かに、王家の谷に関する研究書や写真等は、数多く見る事が出来ますが、「貴人の墓」について書かれた文献が少ないと思われます。
貴人の墓には、先に名前を出しましたラフミラの墓が在り、ラフミラは十八王朝トトメス3世(紀元前1502年~紀元前1448年)の宰相を務めた人物でした。
彼の墓は、一般人の墓よりも大きく、見事な壁画で飾られています。
彼の使えたトトメス3世は戦士王で、しばしば遠征を行いましたが、その留守を預かり政務を代行する職がラフミラでした。
彼の墓所の壁画には、朝貢使節から貢納品を受け取る、姿が描かれています。
その姿は、アーサー・エヴァンズがクノッソスで発見したミノア宮殿のフレスコ画に見られる、衣装を身につけ、同様な髪型をし、「杯を持つ人」に描かれた人物と同じ、上品な横顔をしています。
又其処には、ミノア特産の杯、壷、銀製の牡牛の頭を運ぶ姿も描かれています。
この壁画に描かれた人々は、クレタ島の商人で、長い航海の後、ナイル川をルクソール迄遡って来たのでした。

 貴人の墓でもう一人名前が登場した、センネフェルは下エジプト(テーベ)の長官でアモン神の穀倉・庭園・家畜の監督者でもある人物でした。
陵墓の低い天井には、葡萄の葉とたわわに実る葡萄の実が描かれ、センネフェルの精霊は墓の主と成りながらも、尚もかつての葡萄園を監督者として、見回る姿を彷彿とさせます。

 ファラオの書記役で在ったメンナの陵墓の壁には、メンナがパピルスの小船に乗り、沼で狩をする姿が描かれています。
右手に棍棒を持ち、空に向かって飛びたたんとする鴨に向かって、投げつけようしているその傍らで、妻が彼のバランスを保つ為に、両足を支えて助ける様を描いた壁画は、描き出された色彩に驚くほどの光沢を持ち、メンナの健康的な姿は青銅色に輝き、妻の肌は繊細なアラバスター色を示しています。
メンナ夫妻は老齢に達し、ここの埋葬されたのでしょうが、壁画では、若き貴公子とその妻が、鴨狩りに興じる様を見事に描きだしているのです。

 王家の谷の様にファラオの墓は、大変良く紹介されますが、そのファラオ支えたより一般人に近い人々の陵墓にも当時の生活感が存在すると思われます。

続く・・・


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