22 17~18世紀のヨーロッパ文化③3政治・経済思想 自然科学や哲学を通じて発達した合理的な考え方は、政治思想にも大きな影響を及ぼしました。
16~17世紀には、絶対主義を正当化する政治思想として、王権神授説が唱えられました。
王権神授説は、国王の権力は神から直接授けられた絶対・神聖なものであるから、人民は王権に反抗することはできないとする思想です。
ジャック・ベニーニュ・ボシュエ :Jacques-Bénigne Bossuet(1627年~1704年)
ユグノー戦争中に王権擁護と宗教の寛容を主張したフランスの政治思想家ボーダン(1530年~96年)、イギリス国王のジェームズ1世、チャールズ1世に仕えてピューリタン革命で王党派として活躍したイギリスの政治思想家フィルマー(1589年~1653年)、そしてルイ14世に仕えたフランスの司教・神学者・政治学者ボシュエ(1627年~1704年)等は王権神授説を唱えた代表的な学者で、そしてルイ14世・ジェームズ1世・チャールズ1世等はその信奉者として有名なのです。
王権神授説や国王の恣意的な権力行使を批判する思想として、近代的な自然法思想が唱えられました。
自然法とは、人間が生まれながらにして有している自然権(人間として生まれた以上、すべての人が生まれながらにしてもっている権利)としての生存の権利を守るために、普遍的で永久不変なものとして存在していると考えられた法で、人為的に作られた法(実定法)に優越して存在すると考えられた法であり、自然法思想は社会契約説の基礎と成りました。
フーゴー・グローティウス: Hugo Grotius(1583年~1645年)
オランダのグロティウス(1583年~1645年)は、11歳の時にライデン大学に入学し、14歳で卒業し、16歳で弁護士になった天才でした。
後に外交官に成りますが、宗教上の理由でフランスを経てスウェーデンに亡命しています(1621年~45年)。
グロティウスは、『海洋自由論』(1609年)で、スペインとポルトガルの領土分割に反対し(1493年の教皇子午線によって、東はポルトガル・西はスペインの勢力圏とされていた)、オランダの権益を守るために、公海の自由を主張しました。
更に、三十年戦争の惨禍を実見して、主著『戦争と平和の法』(1625年)を著し、戦時でも国家間・個人間にも守られるべき正義の法があることを自然法をもとに説きました。
このため、グロティウスは「近代自然法の父」・「国際法の祖」と呼ばれています。
トマス・ホッブズ:Thomas Hobbes(1588年~1679年) イギリスの経験論哲学者で政治学者のホッブズ(1588年~1679年)とロック(1632年~1704年)は、自然法思想に基づいて社会契約説を唱えました。
社会契約説は、17~18世紀のイギリス・フランスで展開された政治学説であり、国家・政府は、自然状態(国家・政府が成立する以前の状態)における自然権(人間として生まれた以上、すべての人が生まれながらにしてもっている権利)を守るために、自由・平等な個人が自発的に結んだ契約(社会契約)によって成立したとする学説です。
ホッブズは、オックスフォード大学卒業後、貴族の家庭教師等を生業としましたが、後に絶対王政を支持する者として議会派の攻撃を受けてフランスに亡命し(1640年~51年)、帰国後は政治との関わりを避けて学究生活を送っています。
ホッブズは、主著『リヴァイアサン』(1651年、リヴァイアサンは旧約聖書に出てくる怪物)で、自然状態のもとでは、各人が自己保存の本能に従って自然権を無制限に行使するので、「万人の万人に対する闘争」の状態に陥って自滅するととらえ、人々は自然権(特に生存権)を守ってもらい、闘争状態から脱するために、社会契約を結んで国家を形成しますが、その際国家に自然権を全面的に委譲したのであるから、国家(王)が絶対的な権力をもつのは当然であるとして、専制君主制を擁護しました。
ジョン・ロック:John Locke(1632年~1704年) これに対して、ロックは同じ社会契約説の立場に立ちながら、名誉革命を擁護・正当化し、アメリカの独立革命やフランス革命にも影響を与えました。
ロックは、弁護士の家庭に生まれ、オックスフォード大学に学び、哲学・政治・宗教を学び、後に医学部に転じて医師と成り、1666年にアシュリー卿の侍医・家庭教師となりますが、アシュリー卿がシャフツベリー伯となり大法官に任じられると(1672年)、政治に関係するように成ります。
シャフツベリー伯がホイッグ党の指導者として反カトリックの立場をとり、チャールズ2世の専制政治に反対して失敗しオランダに亡命すると、ロックもオランダに亡命した(1683年~89年)。
名誉革命で帰国し、主著『統治論二編(市民政府二論)』(1690年)を著しました。
ロックは、ホッブズとは異なり、自然状態を自然法のはたらく理性的で平和な状態と考え、紛争を調停する公的な機関がないと戦争状態に陥る危険性があるため、社会契約によって政府を形成しましが、政府に権力を委任したのは自然権(特に財産権)を守ってもらうためであり、政府は人民の信託を受けたにすぎず、従って政府が人民の自然権を守ってくれず、逆に自然権を侵すような圧政を行った場合には、人民には抵抗する権利があり、信託した自然権を取り戻して、政治体制を根本的に変革する権利(抵抗権・革命権)があると主張し、名誉革命を擁護・正当化しました。
このためロックの政治論は、後のアメリカの独立革命やフランス革命に大きな影響を与えたのです。
自然法思想は、重商主義による国家の規制が強かったフランスでは経済理論にも適用され、重農主義の理論を生みました。
重農主義は、国家・社会の富の源泉は農業生産にあるとする経済思想で、自然法に基づいて、農業生産の増大のためには経済活動の自由が必要であると説き、「レッセ・フェール(なすにまかせよ)」をスローガンに掲げ、経済活動に対する国家の干渉・統制の排除を主張しました。
フランソワ・ケネー:François Quesnay(1694年~1774年) ケネー(1694年~1774年)は、『経済表』(1758年)を著し、農業生産増大のために自由放任を主張し、重農主義の祖と成り、又ルイ16世の財務長官(蔵相)に任じられ、財政改革に取り組んだテュルゴー(1727年~81年)も重農主義経済学者として知られています。
エジンバラ・ロイヤル マイルのアダム ・ スミス (1723年-90) 記念碑 18世紀後半に、いち早く産業革命が始まったイギリスでは、アダム・スミス(1723年~90年)が『諸国民の富(国富論)』(1776年)を著し、重商主義を批判し、国民の生産活動全体を富の源泉と見なし、自由放任こそが国の富を増す政策であると説き、アダム・スミスは、自由主義経済学(富の増大のためには経済活動への政治の干渉を排除すべきと説く経済学)を完成し、古典派経済学(アダム・スミスによって創始された自由主義経済学をいう)の創始者となりした。
ジョークは如何?
北朝鮮と韓国が平和条約を結んだ。
一ヶ月以内に韓国は38度線の地雷原を取り除く、
北朝鮮は38度線の戦車部隊を引き上げると双方が確認しあった。
一ヶ月後突如北朝鮮の戦車部隊が南進し38度線を破った。が、そこには取り除かれ
たはずの地雷原があり、北朝鮮の戦車部隊は大損害を出してしまった。
被雷した戦車長が戦車の近くで腰を抜かしていた韓国兵に叫んだ
「このウソツキ野郎!」
続く・・・
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コメント
今日は青空が広がりいい天気になりました。
でも肌さす風の冷たさです。
十日恵比寿の今日は宵えびす、人が多い事でしょうね。
阿部総理は景気はよくなってきたと言っていますが、
我々庶民には影響は全くありません。
依然として経済はよくなっていない、
皆神頼みで憂さを晴らしています。
これが現状ですね。
2016-01-09 15:53 葉山左京 URL 編集
葉山左京様、おはようございます。
蒼く晴れ渡った空が観たいものです。
景気回復とは、無縁の庶民生活は、全く変わりませんね。
初詣もそうですが、願い事の多い方々がどれだけ多いかと思うと考えさせられます。
2016-01-10 06:42 秋葉 奈津子 URL 編集
今日は青空が広がりいい天気になりました。
寒さは昨日より緩くなりましたね。
いつもこのような天気だといいのですが。
恵比寿さんの祭りは三日間と思っていましたら、
今は五日間あるそうです。
理由は恵比寿神社は小さいところが多いので、
多くの人々を三日間ではさばけないとのことでした。
2016-01-10 21:44 葉山左京 URL 編集
管理人のみ閲覧できます
2016-01-10 23:41 編集
葉山左京様、おはようございます。
久しぶりに、雲に邪魔されずに、星達を眺める事ができました。
今日は晴天かと期待したのですが、朝外を見ると雲が広がっていました。
今日は、どんど焼き。
ジロくんと何時も散歩の途中に立寄る、氏神様の境内には、沢山の正月飾りやお札が山の様に積まれていました。
自宅のお飾りやお札もその仲間に加え、今年1年平穏な年になります様にお願いです。
此れで、お正月の行事も終わりました。
総てが普段の生活に戻りますね。
2016-01-11 09:53 秋葉 奈津子 URL 編集
秋葉奈津子さんへ!!♪
ブログ村は、あっという間に「世界史」はトップですし、歴史も順調ですねー。
FC2は中々戻ってきませんが気長にチャンスが来るまで待ちましょう。!「おきてがみ」はとうとう最後ではないでしょうか!?今日は九州出身の将棋棋士の郷田王将の将棋を見て楽しんでいます。ニコニコも最近景気が悪いのか放映が少なくなりました。今日は毎日新聞の中継で見ていますが動画ではありません。ではまた。頑張ってください。!
2016-01-11 14:23 荒野鷹虎 URL 編集
管理人のみ閲覧できます
2016-01-11 14:25 編集
「おきてがみ」のサーバーがパンクしたようで、表示もされなくなりました。
コメントも出せるようにしてほしいものです。
今日は成人式で着物を着た女性たちで街中はにぎわっています。
若いと言うことは華やかで活気があり素晴らしい事ですね。
何となくうらやましくなりました。
2016-01-11 20:24 葉山左京 URL 編集
葉山左京様、おはようございます。
無料ツールなので、場合によっては、終焉を迎える可能性が大きいですね。
成人の日、此方では余りそれらしい姿を見かけませんでした。
私の成人の日は、遥かなり昭和ですが、成人式には出席していません。
母の強いお願いで、振袖姿を写真に収めました。
私の頃は、未だ成人式はそれ程派手では無かった様に思います。
2016-01-12 07:27 秋葉 奈津子 URL 編集