FC2ブログ
2009/01/24

ギリシア神話Ⅹ・冬のある理由そのⅠ

冬のある理由そのⅠ

AbbateB[1]1_convert_20090124193247

 ゼウスの5人の弟妹の中に、デメテルという名の、髪の美しい豊穣の女神がいます。 
彼女は、ゼウスとの間にペルセポネと呼ばれる、それは愛らしい女神を儲けていました。
その愛らしさゆえか、デメテルはペルセポネを異常なまでに溺愛しており、彼女が浮気な神々達の目に付いたら一大事と、半ば隠すようにシチリア島のニンフ達の元に預けていたのでした。

 しかし、そんな美しい少女の噂が知られぬ訳もなく、母デメテルの心配もよそに神々達に広く知られるようになりました。
とは言うものの、母の態度を知る数多の神々は、ペルセポネに手出しするどころではありません。
デメテルは常に目を光らせていたのです。
しかしそんな折、こともあろうにゼウスの弟である、冥界のハデスが彼女に惚れてしまったのです。

 ハデスは早速その事を、ペルセポネの父でもあるゼウスに伝えにいき、結婚の承諾を懇願しました。
デメテルの態度を知るゼウスは、大変困ってしまいます。
デメテルが了承するとは思えなかったからです。
しかし、ハデスの頼みを、無下にする訳にもいきません。
そこでゼウスは、ペルセポネの誘拐を黙認するという形をとったのです。

 シチリア島では、辺り一面にクロッカスやヒヤシンスが咲き乱れています。
その美しい花々と見紛うかのような少女ペルセポネが、ニンフたちと共に野に出きました。
一面を美しい花々でおおわれたこの野に、さらにひときわ目立つ一輪のそれは見事な水仙がありました。
ペルセポネは、そのあまりの美しさに心奪われ、早速手を伸ばしてこれを取ろうとしました。
その時、突然大地は音を立てて二つに裂かれ、ぱっくりと開いたその口から神馬を御して冥界の王は現れ、ガバと少女を掴み挙げると、泣き叫ぶのをよそに黄金の馬車にペルセポネを乗せ、そのまま地の底に潜っていってしまいました。

 彼女の甲高い叫びを聞きつけたのは、女神ヘカテーと、太陽神ヘリオスだけでした。
しかしついに、山々に木霊した、彼女の叫びは母デメテルの耳に届きます。
血相を変えシチリアに向かうものの、既に其処には最愛のペルセポネの姿はありません。

「なんということなの?」

 まるで状況のつかめないデメテルは、力なく呟くと狂ったように駆け回って、陸の上、海の上を捜し歩きました。
出会ったすべてのものに聞いて回りましたが、何の手がかりもなく、探しにやらせた鳥達にも、一羽として知らせをもたらす者は無かったのです。
そうして九日の間デメテルは寝食も忘れ、最愛のペルセポネを探し続け、とうとう十日目の朝に女神ヘカテーと出会い、ヘカテーはこう言いました。

「私は姿は見ていないので、はっきりはいえませんが、何者かがあなたの娘をさらって行ったようです。私にはここまでしか解りませんが、その始終は太陽神ヘリオスが承知のはず。今から参ってヘリオスに伺いましょう?」

この言葉にデメテルは静かにうなずき、二人は太陽神ヘリオスの元へと向かっていきました。

(明日に続く)

スポンサーサイト



コメント

非公開コメント