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2009/03/02

ラーマヤナ(17)・麗しの物語・其の一

麗しの物語・其の一

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<囚われのシータ>

シータが幽閉されているランカ島迄は大変な距離が在りましたが、ハヌマーンは休む事なく空を飛び続けました。
やっとの事で辿り着いたランカ島の町は、四方を高い塀で囲まれ、巨大な体の悪魔が門番をしていました。
そこでハヌマーンは、夜に成るのを待って町へ忍び込む事にしました。
闇に紛れて塀を乗り越えて町へ入り、ラーヴァナの城へたどり着いたハヌマーンは、城の庭の木によじ登って、そこで夜を過ごしました。
明け方、木の上からそっとあたりを見回すと、数人の悪魔に囲まれて、一人の人間の女性の姿がありました。
その悲しみに打ちひしがれた様子は、シータに間違いありません。

「シータ! ランカの王、ラーヴァナさまのお妃にむかえられるとは、なんたる幸せ者。さあ、もうすぐラーヴァナさまがやってくる。早く着替えてお迎えなさい」

 悪魔が口々にシータへ詰め寄っている処へ、ラーヴァナがやって来ました。
悪魔達が一礼してその場を去ると、ラーヴァナはシータに話しかけました。

「いつまでラーマの事を考えているのだ! 富も、力も、勇気も持ち合わせていない奴の事を! つべこべ言わずに私の妃となるがいい!」

 シータはラーヴァナから身を引き、毅然として言葉を返しました。

「太陽と光が常にともにあるように、誰も私を夫から引き離すことはできません。早く私を解放して、ラーマに謝りなさい。彼はきっと広い心で許してくれるでしょう」
「何を生意気な! 良いか、今から二ヵ月後に私と結婚するのだ。従わなければ、お前を八つ裂きにして食ってやる!」

 ラーヴァナの脅し文句にも、シータは怯む事が有りませんでした。

「おろか者! 恥を知るが良い。卑怯な手で私をさらった臆病者!」

 シータの強烈な罵りにラーヴァナは言葉を失い、それ以上は言い返すことなくその場を去って行きました。
シータが一人になったのを見ると、ハヌマーンはシータの前に姿を現しました。

「シータ様。やっとお会いすることが出来ました。光栄の限りです」
「貴方は誰?」

 驚くシータに、ハヌマーンは今迄の事を話し、ラーマから預かった指輪を取り出して見せました。
ハヌマーンからラーマとラクシュマナの無事をきくと、シータはほっとして、ハヌマーンを祝福しました。

「ありがとう。あなたに不老不死の吉祥が与えられますように」
「シータ様、これでもう安心です。貴女の居場所が判ったからには、我らの兵士が悪魔どもを退治させて、貴女様をお救致します。・・・ああ、ところで、私はすっかりお腹が空いてしまいました。ちょっと果物を頂きますね」

 そう言うと、ハヌマーンは庭の果物を次々とちぎってはむしゃむしゃ食べ、しまいには庭の木を根っこから引き抜き始めてしまいました。

「気をつけなさい。番兵達が聞きつけますよ」

 シータの注意にも関わらず、ハヌマーンはすっかり庭を荒らしてしまい、番兵達に見つかってしまったのでした。

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