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2009/03/03

ラーマヤナ(18)・麗しの物語・其の二

麗しの物語・其の二

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<ハヌマーンのしっぽ>

 騒ぎを聞きつけた番兵達が駆けつけ、ハヌマーンを捕らえるべく次々と襲いかかりましたが、ハヌマーンは庭木を引き抜いては投げつけ、獅子奮迅の戦いを繰り広げました。
ハヌマーンはたった一人で数多くの悪魔を倒しましたが、ラーヴァナの息子、メガナンダの操る呪術によって、ついに捕らえられてしまいました。
しかし、実はこれは魔王ラーヴァナと対決する為に、わざと術に落ちたふりをしていただけなのでした。
王子は縛り上げたハヌマーンを従えて、鼻高々と父王の待つ宮殿へと戻りました。

「命知らずの猿め! お前はいったい何者だ?」
「私は猿王スグリーヴァの使者です。ランカの王ラーヴァナ殿、貴方の栄華は終わり、罪の報いを受ける時が遣って来ました。シータ様を解放し、ラーマ様に非礼の許しを乞うのです。」

 これを聞いてすっかり腹を立てたラーヴァナは、ハヌマーンを殺してしまうよう命じました。
しかし、ラーヴァナの弟、ただ一人善き心を持つヴィビーシャナが、使者を殺すのは慣例に反すると諌めた為、別の命令を出しました。

「よかろう、命だけは助けてやるが、体の一部を切り取ってしまえ。そう、その獣の尾に火をつけて、燃やしてやるがいい」

 命令に従って、兵士たちはぼろきれに油を注ぎ、ハヌマーンの長いしっぽの先にくくりつけました。
ハヌマーンは黙ってされるがままになっています。
そしてついに火がつけられると、ぼっと大きな炎が上がりました。

「いい気味だ。尾のない猿が戻ってきたら、お前の主はどう出てくるかな」

 ラーヴァナをはじめ、悪魔達はハヌマーンのしっぽがめらめらと燃えるのを見て、手をたたいて喜びました。
更にハヌマーンを縛ったまま外に連れ出し、ランカの城下町を引き回す事にしました。
噂をきいて、おおぜいの悪魔が見物に押し寄せ、しっぽに火をつけられたハヌマーンを見て、みな笑い、罵声を浴びせました。

 引き回しの行列が町の端まで来た所で、ハヌマーンは自分の体を少し小さくし、するりと縄を抜けました。
悪魔があっけにとられていると、突然強風が吹き、ハヌマーンは風に乗って跳び上がりました。
今度は体を巨大に変身させると、大きな笑い声を上げながら家の屋根から屋根へと跳び回りました。ハヌマーンのしっぽの火は消えておらず、屋根についた火がどんどん広がり、城下町は忽、大火事にみまわれました。
ランカの悪魔達は逃げまどい、ラーヴァナの宮殿へと傾れ込みました。

「ラーヴァナ様! お助けを! 私達の財産はすべて灰になってしまいました…!」

 ラーヴァナはこの様子を見て、なす術もなく呆然と立ちつくし、町だけではなく、宮殿にも火の手が迫り、島じゅうが炎に包まれています。
生き残った悪魔達の間で、噂が囁かれ始めました。

「総ては王様のせいだ…人の妻をさらうという大罪を犯したからだ…ラーマ様の信奉者であるヴィビーシャナ様の邸だけが火を逃れたらしい…」

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