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2009/03/10

ラーマヤナ(25)・都にて・其の一

都にて・其の一

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<ラーマの決心>

 偉大なラーマ王の治世の基、人々は皆協力し合い、誰一人として傷つけ合う者等無く、幸せに暮らしておりました。
貧困や飢えに苦しむ事も無く、動物すらも争う事無く、植物もたわわに花実を実らせていました。
ラーマは毎日沐浴をし、聖仙の教えを受け、兄弟と仲良く暮らしていました。
また町の人々の声に耳を傾けることも忘れませんでした。
もし少しでも困っている人が有れば、直ぐに手助けをする為です。

 そんなある日のこと、家臣の一人が沈痛な面持ちでラーマの前に現れました。
何時もの様にラーマの足元に深々と礼拝すると、しばらく口を開かずに立っていました。

「何事があったのか。何か問題があるならば、包み隠さず話しなさい。どんな悪い話であっても、私は聞き入れるぞ」
「ああ、王様! 洗濯屋の主人が、お妃様に対して酷く失礼な事を申していたのです」

 家臣は声を震わせながら話し始めました。

「何時もの様に見回りをしていた時の事、洗濯屋の家から争いあう声が聞こえてきました。何事かと思って近寄り、その内容を聞いてしまいました。ある不心得な者によって洗濯屋の妻が連れ出され、妻はその翌日、家へ戻ったのです。主人は激しく怒り、このように妻を罵りました。『このあばずれめ! おれは何か月もラーヴァナの基で過ごしたシータ様を受け入れたラーマ様程、心が広くはないぞ! 今すぐにこの家を出て行け!』」
「それから? その主人はどうした?」
「主人は決して妻を許さず、家から追い出してしまったのです」

 そう話すと、家臣は黙って俯いてしまいました。
ラーマは王座を降り、自室へと戻りました。
洗濯屋の言葉がするどく胸に突き刺さり、ラーマはひどく悩みましたが、冷静な気持ちでこの事を考え、自らに言い聞かせました。

「この国が正しく秩序を持って栄えるためには、私はシータ離れなければならない」

 一晩中眠る事の出来なかったラーマは、翌朝3人の兄弟の前で告げました。

「ラクシュマナよ。シータを森へ連れて行け」
「どういうことですか、兄上?」
「神のご意思に他ならない。私の命令を聞けないのか」

 突然の言葉に驚いたバラタが尋ねました。

「一体どういう事ですか? 魚が水無くして生きられない様に、兄上もシータどの無しには生きられないではないのですか」
「その通りだ、バラタ。しかし、私は息子であり兄であり夫である前に、王なのだ。国民の信頼を裏切ることはできないのだよ」

 そうして、昨日の事を兄弟達に告げました。

「その様な言葉を吐くものは地獄へ落ちるが良い!」

 ラクシュマナは大層腹を立てましたが、ラーマの決心は変わりませんでした。

「さあ、どうか私の命令を実行おくれ」
「畏まりました、兄上」

 ラクシュマナはシータを馬車に乗せ、森へと向かいました。

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