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2009/03/11

ラーマヤナ(26)・都にて・其の二

都にて・其の二

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<聖仙ヴァールミキの庵>

 森の奥深く迄辿り着いた所で、ラクシュマナは馬車を止めると、鬱蒼と木々が生い茂る不気味な様子に脅えながらシータが尋ねました。

「ラクシュマナ、この辺りには誰も住んで居ないし、恐ろしい獣がうろついています。なぜこの様な所へ私を連れてきたのですか?」
「お姉様。此れは兄上ラーマの命令なのです。私は貴女をここに置き去りにするよう、申しつけられました」

 余りに信じがたい言葉を耳にしたシータは、その場で気を失ってしまい、慌ててラクシュマナがシータを支えようとすると、どこからか厳かな声が響いてきました。

「ラクシュマナ! シータをそのままにして都へ戻りなさい。心配はいらない」

 これを聞くと、ラクシュマナは急いでその場を離れ、都へと馬車を走らせました。
 シータが目を覚ました時には、もうラクシュマナの姿は在りませんでした。
シータは悲しみにくれ、ぽろぽろと涙を流してすすり泣きました。
ちょうど其の時、聖仙ヴァールミキがそこを通りかかり、ひどく泣いているシータを見つけ、そばに近づいて語りかけました。

「いったいどうなさった?貴女は何者。なぜこんなところで一人で泣いている?」
「私はシータ、ミティラー国、王女にしてコーサラ国、王ラーマ妃です」

 そしてシータは突然この森に連れてこられた事を話しました。

「ヴァールミキ様。私も、一体なぜこの様に突然城を追い出されてしまったのか、全く判らないのです」
「貴女のお父上、ミティラー国王は嘗て私の元で学んでいた。心配は入らない。私の庵で、貴女の夫が迎えに来るのを待つのが良い」

 こうしてシータは聖仙ヴァールミキの庵で質素ながらも信仰に満ちた暮らしを始めました。

 やがて時は過ぎ、シータは双子の男の子を産み落としました。
双子は聖仙ヴァールミキによって、クシャとラヴァと名づけられ、双子は聖仙の庵ですくすくと成長し、やがて聖仙の教育を受け始めました。
聖仙ヴァールミキはシータの物語を歌にして双子に聞かせ、すっかりそれを暗記させました。
シータはお城を追放されてからというもの、自らの名前を明かしていなかったので、双子はその歌が当に自分達の父と母の物語だとは、露ほどにも知りませんでした。

 また聖仙ヴァールミキは、学問だけではなく、武器の使い方も双子に伝授し、二人とも驚くほど上手な弓使いとなったので、聖仙は喜ばしく思うのと同時に、やがてこの弓矢を使わねばならない時のことを思い、憂えていました。

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