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2009/03/16

ラーマヤナ(30)・ラヴァとクシャ・其の三

ラヴァとクシャ・其の三

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<父と子の対面>

 余りにも怖ろしい出来事に驚いたシータは、急いで聖仙ヴァールミキの元へと駆けつけました。

「嗚呼、何と怖ろしい事でしょう、聖仙さま!」

 シータは震える声で今迄の事をすっかり話しました。しかし聖仙は落ち着いた声でシータを宥めました。

「まあ、落ち着きなさい、シータよ。凡ては成るべく様に成るのだ。子供達は偉大な王の息子らしく立派な兵士としての振舞いを為したにすぎないのだから」
「しかし、息子達は罪もない戦士達を傷つけたのですよ」
「いいや、彼らの行動は決して王国の名を汚すことはない。心配するでない。明日になったら私が出かけてこようではか」

 少しも動じる事の無い聖仙の言葉に、シータは大きな不安を抱えながらも、少年達を連れて庵へと戻ったのでした。
翌日、再びラーマと双子の戦いが始まり、前日と同様、ラーマは決して二人を直接矢を射掛ける事は無く、戦いは一日じゅう続き、終にラーマは無敵の矢を番えて叫びました。

「なんと行儀の悪い子供達なのだ! この上は神の思し召し通り、死を与えてやろう!」

 ちょうどそのとき、聖仙ヴァールミキが現れました。

「待た、王よ! それだけはなりませぬぞ。もう争い事はお止めなさい」

 思いがけない聖仙の言葉にラーマは弓矢をおろし、馬車から降りて言いました。

「これは聖仙様。一体どういう事でしょう?」
「この少年達は、紛れもない貴方自身のお子ですぞ。父と息子が戦う事など許されましょうか」
「なんとこれが我が息子とおっしゃいますか!」

 ラーマは何も気づいていなかったかのように驚きの声を上げました。

「その通だ、王よ」

 そして聖仙はシータが森に現れてからの事を総て語りました。

「彼等は貴方の血を引いたお子であるからこそ、このように強く勇ましいのだ。さあ、二人を許し、抱きしめてやってはどうだ」

 聖仙はラヴァとクシャを呼び、ラーマを彼らの父として紹介しました。

「此方はお前達の父上、ラーマ王だ。さあ足元に礼拝してお許しを頂きなさい」

 ラヴァとクシャは聖仙に言われた通り、ラーマの足先に触れて礼拝し、此れまでの振舞いを詫びました。
ラーマは二人に祝福を与えるとしっかりと抱きしめ、父と子の和解を見届けた聖仙が意識を失って倒れているバラタ、ラクシュマナ、シャトルグナに聖水をふりかけると、三人は何もなかったかのようにすっかり元気を取り戻し、二人の息子を膝に抱えたラーマの足元に深く礼拝したのです。

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