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2009/03/17

ラーマヤナ(31)・ラヴァとクシャ・其の四

ラヴァとクシャ・其の四

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<女神>

 親子の和解を喜んでいる場所へ、シータが姿を現し、そのシータの姿を目にしたラーマは喜びで体が震えんばかりでしたが、どう声をかけていいものか、迷っておりました。
聖仙ヴァールミキが二人の間に入って話を始めました。

「王よ。神に誓って申し上げるが、ラヴァとクシャは間違いなくお二人のお子。シータが夫である貴方以外の者の事を考えた事など、一度たりともない。さあシータ、すぐに王と伴に都へと帰るがよい。」

 しかしシータは、まだラーマからは何も言葉をかけられていない為、戸惑っていました。
ラーマは聖仙に向かって言いました。

「ヴァールミキ様。貴方のお言葉を聞くまでもなく、私はシータの純潔をずっと信じておりました。しかし、国民の心ない噂を抑える為には、あの様にするしかなかったのです。あの時森へシータを連れて行ったのはラクシュマナだった。さあ、ラクシュマナ、そのお前がシータを迎えてくれるだろうか」

 ラーマに促されて、ラクシュマナはシータに手を合わせて言いました。

「さあ、どうか総てを忘れて都へ戻りましょう」

 それでもシータは迷って様子で動きませんでしたが、皆に説得されて歩み始めました。
やがて、一行はサラユー川の川岸に辿り着くと、そこでシータは立ち止まり、大地にむかって祈りをささげました。

「母なる大地の女神よ! どうか私を貴方のお膝元にお迎えください。私が一瞬たりとも心を動かすことなく、我が夫だけを愛していた事の証をお示しください。どうか私を受け入れて、この大地に包み込んでください!」

 シータの言葉が終わるやいなや、大地が揺れ、激しい雷鳴が轟き始め、突然大地に亀裂が走り、其処から眩い光が迸り、光の中から大地の女神が姿を現し、シータを抱きかかえると、其のままゆっくりと大地へと戻って行きました。
一同はこの光景に驚き、嘆き、涙を流して叫びました。
ラーマは、余りの出来事に言葉を失い、呆然と立ちつくしていましたが、やがて大声で女神に呼びかけました。

「大地の女神よ! どうかシータを返してください。そうでなければ、私も同じように連れて行ってください! シータなくしてはもう生きて行く事はできません。どうぞ、願いを受入たまえ!」

 すると、厳かに女神の声が響きわたりました。

「悲しむのではありません、ラーマよ。シータは何時でも貴方の傍に居ます。そのすばらしい行いゆえ、天国に迎えられたのです」

 女神の言葉に、皆落ち着きを取り戻し、愈々都へと戻る事になりました。

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