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2009/03/18

ラーマヤナ(31)・ラヴァとクシャ・其の五そして終わり

ラヴァとクシャ・其の五

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<死神の訪問>

  双子王子の帰還に、国中が喜びに満ちあふれ、ラーマは是まで以上によく国を治め、人々は飢えに苦しむ事も無く、平和な日々を何年も過ごしました。
ある日の事、ふと鏡を覗き込んだラーマは、愈々自分がこの現世を離れるべき時がやって来た事を実感しました。
ラーマ、つまりヴィシュヌ神は、人間としての生を終え、神々の世界へと戻るべく、死神をラーマの基へ送るよう、言いつけました。
死神は僧侶に姿を変え、王宮へとやって来ました。
王宮の門ではラクシュマナが死神を迎え、ラーマの処へと案内し、死神はラーマの部屋に入ると、このように言いました。

「ラーマよ。私はヴィシュヌ神に遣わされた死神です。これから私が話す事は、誰にも聞かれてはなりません。一言でも耳にしてしまえば、すぐさま命を落とすでしょう」

 そこでラーマは、ラクシュマナに厳重に入り口を守るよう、伝えましたが、ラーマが部屋に戻るとすぐ、聖仙ドゥルワサが現れました。

「ラクシュマナよ。ラーマ王は在室かな? 急いで御目にかかりたいのだが」
「申し訳ございません、聖仙様。兄王は、只今、重要なお客人と会談中です。何方様もお通ししないよう、仰せつかっています。今しばらくお待ち頂けますでしょうか」

 出来る限り丁寧に応対したラクシュマナでしたが、その言葉に、聖仙はすっかり腹を立ててしまいました。

「ラクシュマナ! 今直ぐ私を通さなければ、お前と、王国に呪いをかけるぞ!」

 それでもラクシュマナはラーマの言いつけを守るために、きっぱりと断りました。

「聖仙様。それでもお通しする事は叶いません」
「よかろう! それではお前はいますぐ命を落とすがいい!」

 呪いの言葉を吐いた聖仙は、ラクシュマナが止めるのも聞かず、ラーマと死神が話し合いをしている部屋の中へと入ってしまいました。
部屋の中へ入ってきた聖仙を見て、ラーマは大変驚きましたが、恭しく挨拶をしてから尋ねました。

「失礼ですが、聖仙様。何人たりとも部屋にお通しせぬよう、ラクシュマナに命じたのですが」
「ああ、確かに邪魔をされたが、今すぐ天国へ行くよう、呪いをかけてやったよ」
「何と言う事でしょう! 聖仙様、今直ぐこの部屋を去ってください。今、ここで起きていることは、誰の目にも触れてはならないのです」

 ラーマに言われて、聖仙は、渋々と部屋を出て行きました。
やがて、ラーマから連絡を受けたシャトルグナが王宮へとやって来ました。

「兄上! 最期の時をお迎えになるならば、どうぞ私も一緒にお連れください!」

 シャトルグナの願いを受けて、ラーマは、シャトルグナも連れて行くことを決めました。
そしてラーマは忠実なる家臣、ハヌマーンにこの様な言葉を伝えました。

「ハヌマーンよ、お前は長生きをしなさい。私の事を忘れる事無く、この世界で、何時までも何時までも幸せに過ごすのだよ。それが私の望みだ」

  愈々ラーマ達は、最期の地、サラユー川へと出発しました。

終わり

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