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2009/09/09

ギリシア神話の神々87

<ヘスティア・温かい家庭の象徴Ⅱ>

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 ヘスティアは、神々の2代目の王クロノスと妃神レアの最初の子として生まれました。
しかし、「自らの子によって王位を奪われる」という予言に怯えていた、父クロノスは娘の誕生を喜ばず、彼女をひっ掴むと頭から丸飲みにして、自分の腹中に幽閉してしまいました。
やがて時を経て、6人姉弟の中で唯一呑まれずにすんだ、弟ゼウスの策謀により父の腹から救出されましたが、後から来た弟妹達に押されて一番底に居たヘスティアは、最後に吐き出され、その為長子でありながら姉弟中最も若い女神となりました。

 優雅で清らかな美女に成長した彼女は、やがて男神達の注目の的となります。
中でも弟のポセイドンと甥のアポロンが、彼女に恋して熱心に求婚しましたが、しかし結婚の意志なく、又自分を巡って身内の2人が、争い合う事を憂えた女神は双方を拒絶し、生涯を乙女として暮らすことを誓います。
この宣誓が神々の王たるゼウスによって認められた為、2人の男神も諦めざるを得ませんでした。

 こうしてヘスティアは、煩わしい恋愛沙汰を引き起こすエロスの矢を受け付けず、心安らかに日々を過ごす処女神となりましたが、周りの男神達の心はそう簡単に平らかにはなりません。
先の2人の他にも彼女に想いを寄せた神がいました。
庭園の神プリアポスです。

 女神レアの祝祭に神々が招かれた折、宴に疲れてうたた寝をしているヘスティアを見かけた彼は、その清楚な美貌と無防備な寝姿にたちまち恋情を覚え、よからぬ魂胆を抱いてそっと忍び寄りました。
彼女の側に屈み込み、のしかかろうとした・・・その瞬間、
近くに居たロバが、目一杯派手に嘶いたのです。
プリアポスも仰天しましたがもっと驚いたのはヘスティア、何しろ目を覚ましたら男が自分の上に屈み込んでいるのですから! 
女神が絹を裂くような悲鳴を上げると、不埒な男神は慌てふためいて逃げていきました。
後日他の神々に「まさかヘスティア様とは知らなくて・・・」と必死で言い訳したそうですが、さてさて、本当に知らなかったのかどうか。

 この事件以来、彼女の危機を救ったロバは聖獣として大切に扱われるようになりました。
他方プリアポスは、彼に恥をかかせたこの獣を憎み、自分への犠牲としてロバが捧げられると大変喜んだという事です。
(なお、このエピソードはヘスティアではなくニンフのロティスの物語として伝えられることもあります)

続く・・・

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