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2009/09/16

ギリシア神話の神々94

<ステュクス・ギリシア版三途の川Ⅱ> 

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 冥府の河神の1人に過ぎないステュクスが、何故不死なる神々の間で、それ程にも尊重される神となったのか? 
それはティタノマキアに際して彼女が立てたある功績のお陰でした。
元々、ティタン神族の一員であるステュクスは、同じくティタン神族に属する従兄弟のパラスと結婚していました。
恐らく、戦神であったと思われるこの夫との間に4人の子供達――権力の神クラトス・腕力の女神ビア・競争心の神ゼロス・勝利の女神ニケ――をもうけ、それなりに幸せに暮らしていたのです。

 しかし、そんな平穏な日々を撃ち破る大事件が発生しました。
神々の王クロノスの息子ゼウスが父と敵対し、オリュンポス山に立て籠もって戦いを挑んできたのです。
クロノスも即座にこれに応じてティタン神族を結集し、オトリュス山に陣を布いて息子達に猛攻を仕掛けました。
ティタノマキアの勃発です。

 10年続いたティタノマキアが、最終的にオリュンポス側の圧勝で幕を閉じると、ゼウスは真っ先にオリュンポスに駆けつけてくれたステュクスを褒め称え、彼女に特別の栄誉を与えました。
それは彼女を神々の誓いの大いなる証人と定め、ステュクス河の水にかけて誓った者は何があろうとその誓いを破ってはならないというものです。

 天界において「ステュクスにかけて誓おう」と言い出す神があると、すぐさま俊足の虹の女神イリスが黄金の水差しを持って冥府に飛び、ステュクス河の冷たい水を汲み取ってきます。
言い出した神は、その水を灌奠しながら厳粛な誓いを立てるのですが、万一その誓言が偽りとなった場合、彼(彼女)は不死の身でありながら呼吸すらしない仮死状態となってまる1年間昏倒した挙げ句、目覚めた後も9年間神々の集いから追放されるのです。

 なお、ここで言う「1年」を普通の暦の8年に相当する「1大年」のことであるとする説もあります。
もしそうなら偽誓の罰は、8年間の仮死状態+72年間の村八分となるわけで、刑期は合わせて80年、可也辛いものがあります。

 以上の特権を手に入れたステュクスは、冥府の一角に輝く銀の柱を巡らした立派な館を構え、1人で悠然と暮らしています。
4人の子供達は一緒ではありません。
彼等はティタノマキア参戦の褒美としてゼウスの側近に任命され、オリュンポスのゼウスの館で暮らしているのです。
これもまた母親として大いに自慢できる素晴らしい名誉ですね。
 
続く・・・
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