<辻 政信氏の失踪:前編>
◎「潜行三千里」の主人公 一国の国会議員が外国で行方不明に成るという事は、その国にとって重大事件です。
海外で行方不明に成った日本人は少なく有りませんが、参議院議員・辻 政信氏が旅行先の東南アジアで謎の様に消えた事件は、日本におけるこの種の事件の中で、最も不可思議な事件なのです。
現職の国会議員が、国会議員という身分で海外旅行に出て、そのまま行方不明に成ったのですから、国会、政府、公安とあらゆる機関が、最高レベルで捜索活動を行ったものの、辻氏の足取りは、或る一点から先が、全く不明になっており、生存、死亡も当時確認されませんでした。
辻 政信氏の捜索は、現代日本の人捜しの中でも、最も興味深いケースと思われます。
辻氏は、当時58歳、昭和27年第25回総選挙に石川県一区から最高点で当選以来、衆議院に3回当選、昭和34年には、参議院全国区から当選しました。
しかし、政治家としての経歴より、辻氏にはそれ以前の経歴に一層興味をそそられます。
陸軍幼年学校から陸軍士官学校、陸軍大学を首席で卒業した秀才中の秀才。
昭和16年、太平洋戦争勃発とともに、日本陸軍が破竹の快進撃をしたシンガポール攻略作戦を、作戦参謀として指揮、一躍その名前を高めました。
更にガダルカナル、インパール作戦等の参謀を務め、戦争終結時には、陸軍大佐でした。
終戦当時、中国大陸に居た辻氏は、直ちに連合国側から、最重要戦争犯罪人に指定され、アメリカ、イギリス、中国の厳しい追求の中で、中国大陸を縦横に波乱に満ちた逃避行を続け、敗戦後の日本に忽然と姿を現します。
生死の危機一髪の間を彷徨、冒険に満ちた潜行の手記を、辻氏は「潜行三千里」と題する本に纏めて出版、昭和25年から26年にかけて大ベストセラーに成りました。
辻氏は、日本の国会議員と言うだけでなく、以上の様な経歴から当時世界的にその名を知られた重要人物でもありました。
続く・・・
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コメント
とても感慨深いですね。
また勉強しにきたいと思います!!
2009-12-24 21:33 ゆうや URL 編集