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2010/02/15

歴史の?その121

<キリスト時代の巻物:中編>

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◎空前の大発見

 現存するヘブライ語の旧約聖書で、1300年以上前の物の存在は、当時知られていませんでしたから、この発見は、当に驚くべき大発見だったのです。

 ジョーンズ・ポプキンス大学の歴史学者で、考古学者でもあるウィリアム・オルブライト博士は、イザヤ書の部分の写真を調査し、この巻物は、紀元前100年前後の物であると鑑定しました。
当時の記録に残る彼の言葉によれば、「全く信じられない様な掘り出し物だ!現代で最も貴重な写本の発見だ!」と言い切っています。

 この発見が契機となって、考古学者や現地の人々は、死海の周辺地域を徹底的に調査し、1956年迄に他の10箇所の洞窟から、巻物の断片が発見されました。
シカゴ原子力研究所の専門家は、最初に発見された洞窟で、一緒に見つかった麻布の断片を燃焼させる、放射性炭素年代測定法によって、これの発見物が紀元前167年から、紀元前233年頃の年代であると判定されました。

 その後、次々と発見が続き、是等の巻物が、何らかの理由によって荒野に隠された、膨大な蔵書の一部である事が明らかになりました。

◎修道院の廃墟

 最初の洞窟から、500m程しか離れていない場所で、キルベット・クムランと言う名前の修道院の廃墟が、発掘されました。
此処は、宗派のはっきりとしない僧侶達の本拠地で、修道院の中央集会所の書写室には、長いテーブルとベンチ、二つのインク壺、更に最初の洞窟で発見されたもの同様な壺が、見つかりました。

 クムラン修道院の人々は、紀元68年頃、ローマ第10軍団の接近に伴い、文書を洞窟に分散して隠したらしく、発見された文書や断片は、大部分がヘブライ語で書かれたものでしたが、ギリシア語のセプトァギンタ、即ち70人訳聖書の断片も幾つか混じっていました。
500巻以上の書物の断片が含まれ、エステル書を除いた、旧約聖書全部が揃っていました。
更には、旧約聖書の注釈書や、修道院の生活と、修養に関する資料とも成りました。

後編に続く・・・


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