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2010/04/22

歴史の?その179:語られる事の無い歴史の世界・前編

<語られる事の無い歴史の世界・前編>

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◎その①:骸骨の即位

 1360年、ポルトガルの古都コインブラで、身の毛もよだつ儀式が行われました。
国王の命令で、高僧、貴族が一人ずつ進み出て、玉座にかけた骸骨の手に口付けをしました。
逸れは、即位したばかりの国王ペドロ・デ・アラゴンの愛妄で、カスティリア公女イネス・デ・カストロの亡骸でした。

 イネスは1342年、ペドロの妃の侍女としてポルトガルの宮廷に上がります。
ペドロは当時皇太子の身分で、彼女と道ならぬ恋に落ちます。
父王アルフォンソは、不義が表沙汰に為ることを恐れ、イネスを打ち首にしてしまいます。

 暫らくの間、ペドロは悲しみと怒りを胸に秘めなければ成りませんでした。
しかし、5年後、王座に就くや、彼は愛人を暗殺した刺客の心臓をえぐり取らせ、そしてポルトガル王妃として、イネス・デ・カストロの骸骨の前に全宮廷を跪かせたのでした。




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◎その②:海に命令したクヌート王

 海に後退を命じ、足を濡らしたというクヌート王(西暦995年~1035年)の物語は、事実で在るのか否か、検証する事は大変困難です。

 もし、事実で在ったとしても、真相は間違って伝えられている様です。
一般の伝承と異なり、最初期の話では、王は愚か者ではなく、極めて謙虚な人物として、語られていました。

 クヌート王の死後100年予後、ハンティントンのヘンリーによって記述された「イングランド史」によれば、王は何事も御意のままにと諂う廷臣達に立腹し、海岸での実験を思いつきました。
海に「下がれ」と命じて、なお波が足元を洗う事を見て、クヌート王は告げます。
「皆の者よ、王の力が如何に虚しく、甲斐なきものか、今こそ知れ。不滅の掟によって天と地と海の敬う神の他に、真の王の名に値するものはないのである」と。

 ヘンリーによれば、クヌート王は其の後二度と、王冠を被らなかったと云います。
逸れは、ウエストミンスター寺院に置いたままにしたとの事でした。

後編へ続く・・・
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