fc2ブログ
2010/05/11

歴史の?その190:歴史を変えた病気②・人類史上最悪の災厄・前編

<歴史を変えた病気②:人類史上最悪の災厄・前編>

middle_1242786882_convert_20100511232617.jpg

 現在確認されている直近の腺ペストの大流行は、1910年の事で、毛皮猟師の貪欲さから、7ヶ月の間に6万人の人々の命を奪いました。
東シベリアで始まり、当時世界的に毛皮の需要が高まり、マーモットの毛皮の取引価格は通常の4倍にまで高騰していました。
マーモットはげっ歯類の動物で、その毛皮は黒テンの代用品として売られていたのです。
以前からこの動物を捕らえてきたモンゴル人達は、時々この動物が奇妙な病気に罹る事を知っていました。

 モンゴル人は誰一人として、病気に罹った動物を捕獲する事は有りません。
マーモットの肉や脂肪は美味と思われていましたが、その地方には「腋の下の脂肪組織の塊は食べてはならない」との戒めが存在し、その腺には、死んだ猟師の魂が入っていると、言い伝えられており、モンゴル人は
この腺に病気を持っている場合が多い事を知っていたのでした。
この病気は、時として人間に感染し、この様な病人をモンゴル人は放置して、その運命に任せました。

 1910年、何万人とも云う中国人が、毛皮ブームに乗じて北部満州に移動してきました。
中国人達は、病気に感染して簡単に捕らえる事が出来る、マーモットに遭遇した時は、むしろ幸運であると考えました。
やがて、その猟師が病気になると、動物から感染した病気が腺ペストとは知らずに、病人を手厚く看護したのです。
ペストは狩猟地帯から、中国東部の鉄道の終点であった、満州里の町を席巻し、終には鉄道沿線に沿って2700kmにも拡大し、何万人もの人々が死んでいきました。

◎蚤による伝染

 ペストは普通、人間の病気と言うより、ねずみの病気で1mmの1/1000を越えない程度の細菌によって発症します。
この細菌は、蚤によってげっ歯類の動物から動物へと媒介されます。
ペストは、大きく腺ペストと肺ペストに大別され、病気に感染したげっ歯類動物の蚤が、人体を刺すと、刺された箇所や鼠蹊部が腫れてきます。
この様にリンパ腺が腫れる事から腺ペストの名前が付き、一方、肺ペストは病気に感染した動物に接触し、細菌を吸い込む事によって感染し、やがて呼吸によって、他の人物へと感染が広がります。

 大流行の時は、その被害が甚大な場合、人口の90%が感染する場合も在りますが、現在は抗生物質による治療の為、発症から数時間以内であれば、ほとんどの患者を救う事が可能となりました。
もし、治療が発症後12時間以上1日程度遅れた場合、腺ペストの致死率は50%、肺ペストの場合は、100%に達します。

次回へ続く・・・

スポンサーサイト



コメント

非公開コメント