FC2ブログ
2008/09/15

「銀河鉄道の夜」第9回

銀河鉄道の夜の中の宗教考

images4.jpg


<献身の思想> 
 賢治の家は元々浄土真宗に属していたが、賢治は父の宗派に逆らい、24歳の時に日蓮宗(法華経)に改宗した。初稿ができ上がったのは1924年付近、賢治が28歳の時であり、銀河鉄道の夜は賢治の宗教の思想にも多分に影響されている。ここでは、賢治の宗教と、物語に出てくる宗教や思想を併せて考察していきます。
 まず、銀河鉄道の夜には、自分を犠牲にして他人を助けるという献身の思想が物語に反映されている部分が多く見られる点に注目しましょう。

1.蝎の火の話→自分の体が真っ赤なうつくしい火となった。
2.かおる子、タダシ、黒服の青年→氷山で船が沈む時、他の助かった人々の身代わりに亡くなった。
3.カムパネルラが川に落ちてザネリを助け、代わりに溺れて死んだ。

以上の三話。

 これ等、献身の教えは、宗教の中に見ることができる。仏教では、法隆寺の玉虫厨子に描かれている、釈迦の前生物語の一つ捨身与虎之図、釈迦が飢えた虎に自分の体を餌として与えた話が有名な話だろう。
 又、キリスト教は、キリストが人類の罪を一身に受けて十字架に架かった事からも解るように、献身の思想が下敷きとなっている。賢治がこれら宗教的な思想から影響を受けて、物語の中の献身を描いたのではないでしょうか。

<銀河鉄道の多宗教>
 銀河鉄道の乗客は、様々な宗教に属しているようで、文章中の、宗教に関係がある可能性が高い物や動作などを抜き出してみると、

七章
1、「白い十字架」 星座、キリスト教
2、「乗客の言葉 ハルレヤ、ハルレヤ。」 キリスト教
3、「黒いバイブル」 キリスト教?
4、「水晶の数珠」 仏教
5、「カトリック風の尼さん」 キリスト教

九章
1、「緑の切符(ところがそれはいちめん黒い唐草のような模様の中に、おかしな十ばかりの字を印刷したもの)」 仏教?
2、「新世界交響楽」 キリスト教
3、「青年の動作、両手を組みました」 キリスト教
4、「十字架」 キリスト教
5、「乗客の言葉 ハルレヤハルレヤ」 キリスト教
6、「神々しい白いきものの人」 不明

 これ等はキリスト教に関する言葉が圧倒的に多く、また、登場人物の名前も欧米のものであることから、物語は意識的にキリスト教の影響を色濃く受けて書かれている事がわかる。 
 又、かおる子、タダシ、黒服の青年の3人に代表されるの多くは、バイブルを持っていたり、ハレルヤ、ハレルヤと言うことからもわかるように、キリスト教信者である。
 しかし、この物語の主人公であるジョバンニは、九章でかおる子と神様について意見が食い違っている事から、キリスト教信者ではないと思われる。乗客は他の宗教にも比較的寛大であり、キリスト教信者ではないジョバンニも十字架に向かって祈っている。一見彼らは宗教が違っても問題無く付き合っているようではあるが、しかし、宗教が違うことで根本的に解りあえないという側面も持っている。それがよく書き表されているのは、九章でのかおる子達とジョバンニの、神様に対する論争であると思う。

以下次回。

無料小冊子「あの人はなぜ、いつも成功するのか」←興味のあるお客様、クリックしてくださいね。
スポンサーサイト



コメント

非公開コメント