FC2ブログ
2008/09/16

「銀河鉄道の夜」第10回

銀河鉄道の夜の中の宗教孝第二回

images2.jpg

<宗教の違い>
 かおる子達もカムパネルラも、自分が犠牲になり他人を助けるという尊い行いをしたにもかかわらず、なぜ降りた駅が違ったのだろうか?どちらも天上を目指しているという共通点があるが、かおる子達が天上に行くためにサウザンクロスで銀河鉄道を降りた後も、カムパネルラとジョバンニはしばらく銀河鉄道に乗っている。そしてカムパネルラは「窓の遠くに見えるきれいな野原」を天上だと信じ、いなくなった。私は、降りる駅が違う理由は、カムパネルラとかおる子たちの宗教が違ったからではないかと思う。キリスト教の最終目的は「永遠の生」であり、仏教の最終目的は輪廻転生からの脱却、つまり「永遠の死」である。この二つの思想は、目的が違う為にどうしても相容れない。かおる子たちはクリスチャンであることは前で述べた。彼女達はサザンクロス(南十字星)で降りている。カムパネルラの宗教はわからないが、ジョバンニとカムパネルラは宗教を超えた(ほんとうの幸)という思想を持っており、その考え方の違いや神様に対する見方の違いから、降りる駅が違うという結果になったのではないだろうか。

 又、宗教、言い換えれば思想の違いは、かおる子達とジョバンニの神様に関する言い争いからもわかる。

第九章 ジョバンニの切符(後)より抜粋 ジョバンニとかおる子の神様論争
「僕たちと一緒に乗って行こう。僕たちどこまでだって行ける切符持ってるんだ。」
「だけどあたしたちもうここで降りなけぁいけないのよ。ここ天上へ行くとこなんだから。」女の子がさびしそうに云いました。
「天上へなんか行かなくたっていいじゃないか。ぼくたちここで天上よりももっといいとこをこさえなけぁいけないって僕の先生が云ったよ。」
「だっておっ母さんも行ってらっしゃるしそれに神さまが仰っしゃるんだわ。」
「そんな神さまうその神さまだい。」
「あなたの神さまうその神さまよ。」
「そうじゃないよ。」
「あなたの神さまってどんな神さまですか。」青年は笑いながら云いました。
「ぼくほんとうはよく知りません、けれどもそんなんでなしにほんとうのたった一人の神さまです。」
「ほんとうの神さまはもちろんたった一人です。」
「ああ、そんなんでなしにたったひとりのほんとうのほんとうの神さまです。」
「だからそうじゃありませんか。わたくしはあなた方がいまにそのほんとうの神さまの前にわたくしたちとお会いになることを祈ります。」青年はつつましく両手を組みました。女の子もちょうどその通りにしました。みんなほんとうに別れが惜しそうでその顔いろも少し青ざめて見えました。ジョバンニはあぶなく声をあげて泣き出そうとしました。
以上本文より引用抜粋

 この文章を見れば、かおる子達とジョバンニの会話が、完全にすれ違っている事が明らかです。ジョバンニとかおる子達の言う「神様」は、根本的に意味が違うようだ。かおる子の言う「神様」とは、キリストの事であると考えられる。それに対して、ジョバンニの言う「神様」とはもっと抽象的なもので、「ほんとうはよく知りません、けれどもそんなんでなしにほんとうのたった一人の神さまです」とある。「神様」はどういうものかわからないが、たった一人の神様は確かに存在していると考えている。そして、その「神様」は、ほんとうの幸を叶えてくれる人なのではないだろうか。そして、「ほんとうの神様」とは、賢治自身の「神様」に対する考え方を反映しているのではないかと思う。
 (ほんとうの幸)を求める賢治は、様々な宗教の中で(ほんとうの幸)を叶える方法を探したが見つからず、独自の考え方の中での(ほんとうの幸)を叶てくれる「神様」を信じ、物語の中に書き表したのではないでしょうか。

ドクターモルツ | 成功するための思考法←興味を持たれたお客様、クリックお願い致します。
スポンサーサイト



コメント

非公開コメント