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2008/09/17

「銀河鉄道の夜」第11回

ザネリの性別論について

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 貴方は、ザネリの性別について、考えてみたことが有りますか?ほとんどの人は、銀河鉄道の夜を初めて読んだ時に、意識せずにどちらかの性別だと思い込んでいる場合が多と思います。しかし、男だと思うか、女だと思うかは、本当にいろいろなのです。ザネリの性別がどちらかという答えはまだ出ていません。少年であるのか、少女であるのかを特定する要素は少ないのですが、ここではその要素を取り上げて、どちらの性別なのかを考えてみたいと思います。

<第四次稿に見るザネリの台詞と描写>

 第四次稿の前半でのザネリは、ジョバンニをからかい、いじめる役として描かれ、九章の最後では、川に落ちたところをカムパネルラが身代わりになることによって助けられるという役で描かれている。
以後本文より抜粋

第一章、午后の授業でジョバンニが質問に答えられなかった時
ザネリが前の席からふりかえって、ジョバンニを見てくすっとわらいました。

第二章、学校が終わった後
ジョバンニが学校の門を出るとき、同じ組の七八人は家へ帰らずカムパネルラをまん中にして校庭の隅の桜の木のところに集まっていました。それはこんやの星祭に青いあかりをこしらえて川へ流す烏瓜を取りに行く相談らしかったのです。

第四章、ジョバンニが牛乳を取りに行く途中、だいぶ暗くなった街角で
 いきなりひるまのザネリが、新らしいえりの尖ったシャツを着て電燈の向う側の暗い小路から出て来て、ひらっとジョバンニとすれちがいました。
「ザネリ、烏瓜ながしに行くの。」ジョバンニがまだそう云ってしまわないうちに、
「ジョバンニ、お父さんから、らっこの上着が来るよ。」その子が投げつけるようにうしろから叫びました。
ジョバンニは、ばっと胸がつめたくなり、そこら中きぃんと鳴るように思いました。
「何だい。ザネリ。」とジョバンニは高く叫び返しましたがもうザネリは向うのひばの植った家の中へはいっていました。
「ザネリはどうしてぼくがなんにもしないのにあんなことを云うのだろう。走るときはまるで鼠のようなくせに。ぼくがなんにもしないのにあんなことを云うのはザネリがばかだからだ。」

第四章、ジョバンニが牛乳屋から帰る途中
  十字になった町のかどを、まがろうとしましたら、向うの橋へ行く方の雑貨店の前で、黒い影やぼんやり白いシャツが入り乱れて、六七人の生徒らが、口笛を吹いたり笑ったりして、めいめい烏瓜の燈火を持ってやって来るのを見ました。その笑い声も口笛も、みんな聞きおぼえのあるものでした。ジョバンニの同級の子供らだったのです。ジョバンニは思わずどきっとして戻ろうとしましたが、思い直して、一そう勢よくそっちへ歩いて行きました。
「川へ行くの。」ジョバンニが云おうとして、少しのどがつまったように思ったとき、
「ジョバンニ、らっこの上着が来るよ。」さっきのザネリがまた叫びました。
「ジョバンニ、らっこの上着が来るよ。」すぐみんなが、続いて叫びました。

第四章、ザネリにからかわれた後町角を曲がろうとした時
 町かどを曲るとき、ふりかえって見ましたら、ザネリがやはりふりかえって見ていました。

第六章、銀河ステーションでジョバンニがカムパネルラを発見した時の、カムパネルラの第一声
 「みんなはねずいぶん走ったけれども遅れてしまったよ。ザネリもね、ずいぶん走ったけれども追いつかなかった。」と云いました。
 ジョバンニは、(そうだ、ぼくたちはいま、いっしょにさそって出掛けたのだ。)とおもいながら、
「どこかで待っていようか」と云いました。するとカムパネルラは
「ザネリはもう帰ったよ。お父さんが迎いにきたんだ。」
 カムパネルラは、なぜかそう云いながら、少し顔いろが青ざめて、どこか苦しいというふうでした。

第九章、ジョバンニにマルソが走り寄って言った言葉
 「ジョバンニ、カムパネルラが川へはいったよ。」
「どうして、いつ。」
「ザネリがね、舟の上から烏うりのあかりを水の流れる方へ押してやろうとしたんだ。そのとき舟がゆれたもんだから水へ落っこったろう。するとカムパネルラがすぐ飛びこんだんだ。そしてザネリを舟の方へ押してよこした。ザネリはカトウにつかまった。けれどもあとカムパネルラが見えないんだ。」
「みんな探してるんだろう。」
「ああすぐみんな来た。カムパネルラのお父さんも来た。けれども見附からないんだ。ザネリはうちへ連れられてった。」

<第三次稿に見るザネリの台詞と描写>

 次に、第三次稿にあるザネリの記述を紹介します。第三次稿では、ザネリが川に落ちたというくだりはかかれておらず、ザネリはただ前半にジョバンニをいじめる役としてでてくるのみなのです。

四章、暗い町角をジョバンニが歩いているといきなりすれちがう。
 一人の顔の赤い、新しいえりの尖ったシャツを着た小さな子が、電燈の向ふ側の暗い小路から出てきて、ひらっとジョバンニとすれちがひました。
顔の赤い、小さな子という形容が加えられている。
「ザネリ、どこへ行ったの。」ジョバンニがまださう云ってしまはないうちに、
「ジョバンニ、お父さんから、らっこの上着が来るよ。」その子が投げつけるやうにうしろから叫びました。
-略-
(ザネリは、どうしてもぼくがなんにもしないのに、あんなことを云ふののだらう。ぼくのお父さんは、悪くて監獄にはひってゐるのではない。わるいことなど、お父さんがする筈ないんだ。去年の夏、帰ってきたときだって、ちょっと見たときはびっくりしたけれども、ほんたうはここにわらって、それにあの荷物を解いたときならどうだ、鮭の皮でこさへた大きな靴だの、となかいの角だの、どんなにぼくは、よろこんではねあがって叫んだかしれない。ぼくは学校へ持って行ってみんなに見せた。先生までめづらしいといって見たんだ。いまだってちゃんと標本室にある。それにザネリやなんかあんまりだ。けれどもあんなことをいふのはばかだからだ。)
ザネリが意地悪をするのは、ジョバンニの父が監獄に入っているせいだという記述が明確にある。

第六章、銀河ステーションでジョバンニがカムパネルラを発見した時の、カムパネルラの第一声
 「ザネリはね、ずゐぶん走ったけれども、乗り遅れたよ。銀河ステーションの時計はよほど進んでゐるねえ。」
 ジョバンニは、(さうだ、ぼくたちはいま、いっしょにさそって出掛けたのだ。)とおもひながら、
「次の停車場で下りて、ザネリを来るのを待ってゐようか。」と云ひました。
「ザネリ、もう帰ったよ。お父さんが迎ひにきたんだ。」
みんなの記述が無く、ザネリが走ったけれども追いつかなかったとのみ書かれている。

以下、明日に続く。

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