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2011/01/03

歴史の?その373:歴史と伝承の狭間⑨

<歴史と伝承の狭間⑨:誤って伝えられた言葉その1>

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◎イングランド人とは小売商人の国民である・ナポレオン・ボナパルト

 この言葉は、一般にナポレオンが話した言葉とされ、プチ・ブルジョア(小企業家)国民としてのイングランド人に、彼が抱いていた軽蔑心の表れと解されています。

 しかし「小売商人の国民」乃至商人集団との表現は、ナポレオンの少年時代から既に印刷物に書かれていました。
従って彼の独創になる言葉とは、言いがたく、まず1766年、イングランドの経済学者ジョサイア・タッカーが政治論文の中で使用し、次には、スコットランドの経済学者アダム・スミスが「国富論」(1776年)で用いたのでした。
又、アダム・スミスと同年代に、フィラデルフィアでは、サミュエル・アダムスがこの言葉を使っています。

 後年、ナポレオンが流刑された頃、この言葉は二人の伝記執筆者のせいで、彼が喋ったものとされる様に成りました。
ナポレオンの医師バリー・オマーラは自著「流刑地のナポレオン、若しくはセント・ヘレナからの声」に1817年2月17日のナポレオンとの対話を載せ、その中で彼がイングランド人について「彼らは商人の国民である」と語ったと書かれています。

 ナポレオンがこの意見に同感していたとは言え、言葉自体はコルシカの愛国者バスクワーレ・パオリ(1725年~1807年)の言葉の引用として語られたものなのです。

 又「購買力のある需要国民を育て上げると言う、唯一目的の為に広大な植民地を建設する事は、一見、小売商人の国民にのみかなう計画に見えるかもしれない」と書いたのは、アダム・スミスで、ナポレオン自身彼の著作を良く知っていました。

その2へ続く・・・

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