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2011/01/04

歴史の?その374:歴史と伝承の狭間⑩

<歴史と伝承の狭間⑩:誤って伝えられた言葉その2>

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◎お菓子を食べさせておやり・マリー・アントワネット

 1789年10月、より公正な新政府をルイ16世に作らせようと、パリの貧しい女性達が、ベルサイユ王宮に行進しました。
伝説によれば、屋外に騒ぎを聞きつけた王妃、マリー・アントワネットは、人々がパンも無く飢えている事を聞いて、”Qu’ils mangent de la brioche”と言いました。
この言葉が一般に「お菓子をたべさせておやり」と伝えられる様になったのです。

 この話は王妃の処刑後、広く伝わり、貧民の苦しみに対する彼女の冷淡さと、愚かさの典型と見なされました。
しかし、彼女がその様な言葉を発した証拠は、何処にもありません。

 この言葉が始めて出現したのは、1760年代、ジャン・ジャック・ルソーの「告白録」中であり、マリー・アントワネットはまだ少女の時代でした。
文中でルソーは、「或る偉大な王女」について語っています。
彼女は、農民にパンが無いと聞いて、”Qu’ils mangent de la brioche”と答えます。
Briocheとは最上級のパンの事で、王女はこの種類のパンの事しか知りません。
従って、この言葉は、親切心の表れだったのでした。

その3へ続く・・・

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