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2011/01/20

歴史の?その388:虚飾と現実その2

<虚飾と現実②:大いなる遺産>

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 ディケンズの小説「大いなる遺産」に登場する老いた世捨て人、ミス・ハビシャムは、実際に男に捨てられた花嫁の話が、物語の下書きに成っているそうです。

 オーストラリアのシドニーに住んでいた、エリザ・エミリー・ドニーソンと云う女性は、悲劇な事に1856年の結婚式当日、祭壇の前で一人でした。
夫と成るべき男性は、終に姿を見せず、この出来事に彼女は深く傷つき、自宅に篭ってしまい、この悲劇の日から30年の歳月、彼女は一歩も戸外に出る事は在りませんでした。

 婚礼の祝宴が開かれるはずだった部屋の扉には、鍵がおろされ、盛り花や披露宴の食事が、手付かずのままテーブルの上で腐っていきました。

◎小説の中の女性

 チャールズ・ディケンズの小説でも、ミス・ハビシャムはエリザと同じ様に生き、そして死を迎えます。
この驚くべき老婦人に初めて会った「大いなる遺産」の若き主人公ピップは、その印象を次の様に語ります。
「花嫁衣裳を身にまとった花嫁は、衣装そのものと同じに、古い花の様に萎れていた。
落ち窪んだ目の光を覗くと、輝かしさは何処にも残っていなかった。
かつて、若い女性のまろやかな体を包んだ衣装も、今は締まり無く緩み、それをまとう体は骨と皮にちぢんでいるのだった」

 ディケンズが、エリザをモデルにミス・ハビシャムを形作ったという、決定的な証拠は存在しません。
しかし、彼は旅行家や新聞記者等と広い交友が在ったので、地球の反対側に住んでいる世捨て人と成った女性の話をロンドンで聞いた可能性は有るのです。

 エリザの婚約者が姿を消してからちょうど5年後、1861年に小説は脱稿されました。

続く・・・
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