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2011/02/23

人類の軌跡その16:忘却・番外編

<エフェソスのアルテミス神殿・ギリシア神話 生と死の大女神>

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 美しくも冷たく、厳しくも恵み深い、ギリシア神話を代表する女神の1人です。
神々の王ゼウスと女神レトの間に生まれた愛娘で、双子の弟アポロン(アルテミスを妹とする説もありますが、彼女の誕生日はアポロンよりも1日早いので、姉とした方が妥当です)と同じく偉大な力を宿しています。

 その権能は、

1.黄金の弓矢で山野の獣を狩り斃す狩猟の女神であると同時に、彼らを愛し護る野獣の女王
2.優しい矢(Agana belea)で女たちを射抜いて苦痛なく即死させる死の女神
3.月満ちた子供を胎内の闇から光あふれる外界へ連れ出す出産の女神
4.成人前の少年少女を保護する処女神

など多岐に渡り、アポロンよりもずっと原始的な、しかしより根源的なやり方で生物の生と死に深く関わっている事が解ります。

 またアポロンと共に光明神としての性格も持っている為、後には月の女神セレネと同一視され、月神としての職能も帰せられるようになりますが、これはいくら何でも過労というものでしょう。
太陽や月の運行は年中無休ですから、これを担当する神は他の仕事はできません。
もしアルテミスが夜毎に天空を駆ける月神であったら、彼女が楽しんだといわれる松明を掲げての夜の狩りはまったくできなくなってしまいますよね。
ですから天体としての月を司るのはあくまでもセレネ、アルテミスはせいぜい月属性の女神の1人と考えて両者を区別しておく方がギリシア神話は解釈しやすいと思われます。
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