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2011/03/07

人類の軌跡その27:忘却⑪

<ヘリオスの巨神像その3>

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◎像に纏わるお話

 ロードス島のヘリオス像は、正しく当時の地中海世界で驚異の眼差しで見られ、世界の七不思議を選んだフィロによれば「ヘリオスの巨像は、単に巨大であるばかりでは無く、人間によって造られた神像の内で、最も完全な形の像であった」と述べていますが、一方では、神像をほぼ完成させたカレスは、設計計算の誤りに気づき、自殺を企てたとも云われ、又カレスが、作品の出来栄えを自慢したとき、ある人物から構造上の弱点を指摘され、誇りを傷つけられたとして、自殺したとも伝えられています。

 ヘリオスの巨像に設計上の不具合が存在したか否かについては、現在では検証のしようも在りませんが、この膨大な資材と人力と歳月を持って建立された巨像は、僅か半世紀程でこの地上から永遠に姿を消す事に成りました。
紀元前227年、この地方を襲った大地震の為に、ロードス島は甚大な被害を被ったのですが、ヘリオスの巨像は無残にも、巨大な両足の部分を残し、膝の部分から倒壊しました。
しかし、倒壊した青銅部分は海中に落下せず、その破片は7世紀後半迄、そのまま岩盤の上に残り、ファラオの一人はもし巨像を再建する計画が在るのなら、それに必要な金銭を提供しても良いと申しでたものの、ロードス島の人々は、おそらく、我々の神は其れを喜ばないだろうとして、断ったと云われています。

 巨像に関する記録は、倒壊してからもその残骸を見た人々によって伝えられ、その残骸の姿でもなお、見る人々を驚嘆させるに十分なものとの事でした。
ローマの博物学者プリニウスが、1世紀の頃、ロードス島を訪れた時、崩れ落ちた巨像を調査した結果、親指の周りを両腕で回せる成人男性は殆ど無く、指の長さは普通の神像よりも長く設計され、崩壊した脚部の中は空洞に成っていたと報告されています。

続く・・・

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